宅配ボックスメーカー。
所定労働時間の最大1割を社会課題の解決につながる活動に費やすことを認める。社員の自主性を養って組織力を底上げするとともに、定着率を高める狙いがある。
同社の取り組みは約400人の全社員が対象で、社会貢献活動に所定労働時間の最大1割まで使用することを可能とする。時間の割り当て方は社員に任せる。平日の午前や午後を定期的に使ったり、一度にまとめて取得したりするケースを想定している。同社の年間就業日数は約250日で、社員は最大25日前後を社会貢献に使うことができる。例えば能登半島地震の復興支援など、地方に行く必要がある時は出張費を支給することも検討する。
会社からも高齢者の孤立、子供の貧困といった社会問題へのアプローチを提案するが、時間を割く活動は基本的に社員に申告してもらう。ナスタの事業に支障を来さなければ、他社への業務支援やイベントでの講演も「社会貢献」とみなす。上長への報告は必須で、活動後はリポートの提出も求める。社会的な意義の大きさやアイデアの新鮮さなどを基準に、半年に5~10人の「優秀賞」を決めて各30万円の活動奨励金を支給する。取り組みにかける費用は給与分を含めて年5億円程度になるとみている。
ナスタは新型コロナウイルスの感染が広がった2020年に単月最終赤字を計上した。業績の回復を狙って目標とする数値管理を徹底したところ「有望な若手が2桁規模で退職した」(同社)。働きがいや愛社精神を高める狙いで社員に「重視したいこと」を聞いたところ、社会貢献への関心が高かったという。
『日本経済新聞』2024/05/21付。
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