おろし金の製造・販売を手掛ける1907年にヤスリの製造販売の会社として創業した。70年代にヤスリの派生商品としておろし金の製造を始め、93年ごろからヤスリの需要減少を踏まえ、おろし金専門のメーカーに転身した。
ツボエは金属にたがねを打ち込んで刃をつくる「本目立て」と呼ばれる技術で製造する。特殊な製造機械を開発することで、従来の手作業では難しかったステンレスなども加工できるようになり、量産化にも成功した。現在は自社ブランドの製品をはじめ、大型フードプロセッサー用のおろし刃やOEMによる製品供給を手掛ける。
とくに2019年からは、自社ブランド製品の開発に注力してきた。従来はOEMが多かったが、発注元への依存リスクを減らすほか、将来的に生き残るには技術や製品の思いを利用者に直接訴求することが重要として、自社ブランドを強化。板前などプロの大根おろしなどを再現できる「ツボエの極上おろし金」などを展開してきた。
そのなかで海外市場も意識して開発したのが「irogami」ブランド。同ブランドでのおろし金「irogami grater」は、1枚の紙のようで、手のふちにかけて食材をおろす。海外でチーズや果皮を削って料理に使うのに注目し、それにも適した刃や持ち方になるよう設計した。今までおろし金を使わなかった層に手に取ってもらいやすいよう、従来のおろし金にない多色展開も特徴。このほど欧米への「irogami」ブランドの製品輸出を始めるにあたり、ホームページでも商品のコンセプトや開発の歴史を英文で紹介し、情報発信にも力を入れている。
『日本経済新聞』2023/11/29付。
https://tsuboe.co.jp/