妻の旅を企画する | 直球オヤジの自由奔走生活

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座右の銘は「"行きたい"、"やりたい"、"欲しい"と思った時が"その時"」。55歳で早期退職し、高齢者と呼ばれるまでの今が"その時"。趣味のバイクや自転車は年齢的に待ったなし。エコノミーな生活で趣味を楽しむ。これをどう追い求めるかが、このブログのメインテーマです。

自分自身の旅ばかりでなく、カミさんの旅行も段取るのが我が家のしきたり。そんなカミさんが「北海道へ行きたい!」と言いだした。さて、どんな旅程にしてみせようか。

別に夫婦仲が悪い訳ではない。ただ、夫婦とは言えども考えや嗜好に違いがあるのは当然で、私もカミさんも”
自由人”で、他人に縛られたくないから各自で旅に出ることが多い。しかし、カミさんは私と違って旅の経験もノウハウも乏しいし、「思い立ったが吉日」人間でもない。そんな彼女が「函館に行きたい」と言い出した。私の基本原則は「やりたけりゃ、やればいい」であり、そう思う人間が自らの意思に基づき動くこと。だからしばらく放っておいた。

「函館に行きたい」と宣言しながらも一向に動こうとしないので、カミさんの案を聞くと、新幹線で函館までビャーっと行って、泊って、再び新幹線でビャーっと帰ってくるという。「
何の捻りも芸も無いな」と揶揄すると、「じゃあ、『キンさん(私のあだ名)トラベル』、よろしく!」と丸投げして来た。まあ暇だしぃ、少しでもカミさんのために尽くしたい・・・などという殊勝な考えは毛頭無いが、誰にも得手不得手はある。それに、彼女の好きなようにやらせるとムダに高いお金を支払うこともありうる。ここはカミさん御用達のパーソナルな旅行代理店として勝手出ることとなった。

自宅のある静岡から函館まで、単に新幹線で往復するのではつまらない。片道は
船を使おう。函館と並んで北海道の港町の中で良い風情を醸し出している町、小樽がある。小樽は私が好きな町のひとつ。この町を組み込みたい。東海道新幹線と上越新幹線を乗り継げば午前中に新潟に着ける。新潟からは小樽への長距離フェリー(新日本海フェリー)が出ている。フェリーと言っても今時の長距離フェリーの多くには雑魚寝の部屋は無く、個室化が進んでいる。今回の場合、下から二番目のグレード(ほぼ個室)で12500円。決して高くない。昼の12時、新潟から20000トン近い大型フェリーに乗って出航するれば、翌朝(4時半!)小樽に着く。


新潟~小樽を結ぶ大型フェリー

 

小樽に着いたら小樽運河や旧国鉄手宮線の廃線跡を散策し、「北一硝子」や「ルタオ」でショッピングを楽しみ、その後鉄道で函館へ向かう。隣町の札幌に出て室蘭本線経由の特急に乗れば速くて簡単だが、それでは面白みが無い。小樽からニセコ方面を経由して太平洋側の町、長万部へと函館本線が伸びている。ただこの路線のこの区間、本線と名が付いているものの北海道新幹線が札幌まで延伸した末には廃線となることが決まっているほどの超ローカル線。単線で特急は走っておらず時間もかなり掛かる。しかし、是非この路線に乗ってもらいたい。運行本数は非常に少なく、日没前に函館に着けるダイヤはワンチャンスしかないが、フェリーは早朝に着くので十分間に合う。

函館に着いてからの宿泊はどうするか。カミさんの要望を聞く。するとある
ホテルを指定してきた。ここだけはしっかり自分自身で探しあてていた。そのホテル、何と朝食付きで17000円もするという。私のツーリングでは5000円前後が中心なのに!なんということか。「お前をそんな人間に育てた覚えはない!」と言うと、「あんたに育てられた覚えはない!」と言われ、「あんたが行くんじゃないんだからさぁ」とカミさんに一蹴される。ごもっとも。それでも安い方がいい。カミさんが調べたのは「楽天トラベル」だったが、私がそのホテルの公式サイトや他の宿泊予約サイトで同じ日の料金を調べたら、以下の通りだった。

函館の某ホテル(一泊朝食付き)
 楽天トラベル:17050円
 じゃらん:16050円(1000円引きクーポン利用)
 Yahoo!トラベル:15350円(paypay事前支払い)
 公式サイト:15500円

15350~17050円というように
1700円もの開きがあるのに、同じサービスを享受できるのだから、一番安いサイトで当然予約する。

函館からの帰路はどうするか。通常ならば新函館北斗駅から新幹線に乗って帰るだろうが、ここは
木古内駅から乗ってもらおう。函館駅から木古内駅まで「道南いさりび鉄道」が伸びている。味も素っ気もない新幹線など乗らず、ノンビリとローカル線の風情を楽しみながら木古内まで行き、そこから新幹線に乗れば特急料金も1000円以上安くなるし、何よりも津軽海峡を臨みながらゆったりとした旅が楽しめる。木古内駅では一時間以上の待ち合わせになるが、駅前に道の駅があり、そこで昼食が摂れる。誰もが行く函館だけに注目せず、ちょっと離れた田舎町にも目を配ってみよう。こうして木古内を昼過ぎに出発すれば、さすがは新幹線!19時には静岡に到着できる。

こんな計画に沿ってキップを購入したり、予約を入れたりすることになるが、特に
JRのキップは買い方によって料金がかなり違ってくる。例えば、小樽から函館へ行き、翌日東京で途中下車し、その後静岡へ帰る場合、乗車券の買い方でこうも違う。

 小樽~函館、函館~東京、東京~静岡:21120円
 小樽→静岡、新函館北斗~函館(往復):16390円
 
つまり乗車券をぶつ切りで買うよりは、
通しで買った方が全然得だということ。それは距離が長ければ長いほど顕著になり、今回の場合その差は4730円にもなる。また、特急の指定席を購入する時には、その路線の売りとなる風景が臨める側(例えば、進行方向の左側とか)を申し出れば空いている限りゲットできる。そんなことを具体的に書いたメモをカミさんに渡し、「みどりの窓口でこれを見せて買えばいい」と言うと、カミさんは「駅員に何か聞かれても答られない」と不安を漏らす。「俺が買いにいったら、あんたの”ため”にならん」と言うと、「今さらこの歳になって、ためにならんでもいい。もう遅い」と反論する。そこに書いた通り買えばいいだけなんだけどなぁ。「しょうがねえなぁ、俺が買いに行ってやるよ」となった。

こんなやり取りをしていたら、私自身も北海道に行きたくなった。18歳で始めて北海道を走り、それから半世紀、今まで北海道ツーリングは
19回(自転車も含む)。もう走っていない道は無い。と言いたいが探せばまだ少しはある。この歳になったらいつバイクに乗られなくなるかわからない。身体的な要素が影響するバイクツーリングにおいては特にそう。来年の今頃はどうなっているか予想できない。「やりたいことは、やれる内にやっておく」。これがこの歳における大原則


目を凝らして探せばまだ走ったことが無い道は残されている

 

カミさんの旅はこの程度で済ませ、そろそろ自分のツーリングの企画をしよう。今回行けば20回目。これで最後となるか。毎回そんなことを言っているが、幸いにもまだ大丈夫。さあ、企画を練るとしよう。