五日間のツーリングから帰って来た。今回も無事故、無違反、無転倒、賞罰無しで終えることができた。これは決して当たり前のことではないが、この結果は必然か、偶然か。
ツーリングに出る度に「生きて帰ってこられるかなぁ」と、歳とともに高まる心配性と相まって懸念が増幅する。しかし、もうこの何十年も何事も無く無事にツーリングから帰ってこられているし、いわゆる「ヒヤリハット」も殆どない。そんな私はどんなことに注意を払ってバイクツーリングを楽しんでいるのか、自分の内在する意識を振り返ってみた。
ようやく雨も上がり、静かな峠道でしばし休憩(山形県)
Ⅰ.事故を起こさないために意識していること
バイク歴が半世紀を超えた。その間に事故を3回経験している。どれも軽微で、内2回はバイクに乗り始めた16歳の頃。一つは右直のもらい事故(私が直進。ケガは打撲程度)、もうひとつは、私が一時停止を怠り自転車と軽く接触(相手にケガは無し)。直近の事故は30年以上前の正面衝突事故。衝突と言っても軽くぶつかっただけでケガは無かった。しかし、全面的に私のミスだった。この3回という頻度が他人と比べて多いのか少ないのかわからないが、もう30年以上「やっちまったぁ!」という事態を起こしていないことからして、少しは糧になっているようだ。そんな私はツーリングで何にどう気を付け、そして実践しているのか以下にまとめてみた。
①市街地を避ける
交通事故の大多数が交差点で起きていることは広く知られている。ならば車も人も多い市街地はできるだけ避けた方が無難。その町に用は無く、通過するだけならば広域農道やバイパス、時には高速道路を利用し、無用な市街地に踏み入れないようにしている。
農村地帯では広域農道も多く、それを使うと市街地を回避できることがある
ご覧の通り、交通量は極少(群馬県)
➁黄色は止まれ。でも後ろに注意!
バイクにとって交差点で怖いのが右直事故。黄色信号で直進しようと突っ込むと、そのリスクはより高まる。だから黄色になったら素直に止まるようにしている。でも後ろに注意。後ろの車が止まる気配も無く突っ込んでくるかも。
➂右折待ちの車から、自分のバイクが見える位置取り
先行車の後ろにピッタリ付いて交差点を直進しようとした場合、対向車線の右折待ちの車から自分のバイクは見えているだろうか?右折待ちの車からこちらが見える位置取りを心掛けて、交差点を突っ切るようにしている。
④コンタクトレンズで視力を確保
私は強度の近眼でメガネでは矯正視力が十分に出ない。四輪車ならそれでも支障は無いが、私のツーリングでは落ち葉や落石が散乱している路面の状況をもっと把握したい。そんな私は一日で使い捨てるコンタクトレンズを使っている。矯正はメガネより強くでき、視界も広く、歪も無い。ヘルメット脱着にも支障がない。出発前に使い捨てコンタクトレンズを装着し、その夜に投宿したらポイと捨てるだけ。一回当たり両目で150円程度。
⑤雨の日は視界を確保
バイクにはワイパーが無い。ヘルメットのシールドに撥水剤を塗布して水が付着し難いようにし、できるだけ視界を確保している。
⑥酷暑、極寒期には乗らない
あまりにも暑過ぎると意識が朦朧としてくることもある。バイクは熱いエンジンを股下に抱えているのだから尚更酷い。寒いと指先の感覚が鈍くなり、ブレーキレバーを握るのに支障が出る。首も動かしにくく、周囲の確認が疎かになりがち。こういう時期には無理して乗ることはない。
⑦考え事を持ち込まない
プライベートや仕事の悩みをライディング中に考えない。意識はライディングに集中!とは言え、「考えるな!」と言っても考えてしまうのが人間。深刻な悩みがあるのなら、ツーリングは取りやめだ。
⑧野生動物の飛び出し注意
人も車もほぼ皆無の無人の山間部でよく出会うのは野生動物。経験的に出会う頻度が多い順は、鹿>猿>狐>猪>熊。特に鹿は飛び出してくるから厄介。北海道は特に多いが全国どこでも頻出しており、バイクが衝突し死亡事故も起きている。鹿は夜間や日の出前が多いそうだ。
⑨夜間は避ける
人や車、野生動物だけでなく、路面の状況も把握し難い夜間は走らないようにしている。風景も臨めないしね。高齢者なのだから、早めに宿に着いてゆっくりしよう。
⑩一か八かはしない
起伏のある直線道路。前方をゆっくりと車が走っている。バイクなら瞬時に追い抜けるが、アップダウンで前方が十分確認できない。「まあ、閑散路だし対向車は来ないだろう」などと追い抜くことは絶対にしない。
⑪突然右折する車に注意
前を走る軽トラックを追い抜こうと思った瞬間、ウインカーも出さずにその車が右折してきたというシーンは、田舎道でのあるある。交通量も少なく、速度差が大きくても追い抜きには細心の注意を払う。
⑫早めに発見、早めにライン修正
ブランドカーブだらけの酷道、険道では正面衝突の危険をはらんでいる。そんな道では早い時点で対向車の有無を確認し、もし対向車を視認したら早めに自分の進行方向を修正できるライン取りをしている。決してキープレフトが正解とは限らない。
⑬メリハリ付けたライディング
速度さえ落とせば全てOKとは思っていない。市街地や山間部の集落内ではスピードは控えめにしているが、交通量と道路状況などによってそれなりのスピードで走っている。どこでも分別なくかっ飛ばすのではなく、シチュエーションによってメリハリ付けて走る。これがバイクの醍醐味であり、それが事故を起こさないためにも重要なことだと私は思っている。
霧雨の中、林道は適度な緊張をはらむ走りが楽しい
ただ、不安材料は熊との遭遇(宮城県)
事故を起こさないために私が心得ていることは、まあ、こんなところかな。次回は、対人対物事故に至らない転倒や取締りキップを切られないよう心掛けていることを書こうと思う。
(次回に続く)