パソコンを捨てるのも楽じゃない | 直球オヤジの自由奔走生活

直球オヤジの自由奔走生活

座右の銘は「"行きたい"、"やりたい"、"欲しい"と思った時が"その時"」。55歳で早期退職し、高齢者と呼ばれるまでの今が"その時"。趣味のバイクや自転車は年齢的に待ったなし。エコノミーな生活で趣味を楽しむ。これをどう追い求めるかが、このブログのメインテーマです。

3年半ほど前にパソコンを買い換え、それまで使っていた古いパソコンをようやく先日処分した。わかっていたが、パソコンを捨てるのは簡単じゃなかった。

パソコン(以下PC)は普通のごみではないし、不燃ごみや粗大ごみとして
自治体は回収してくれない。PCは「資源有効利用促進法」に基づき、家庭で不用となったPCを回収しリサイクルする仕組みがあるので、それに則った形で回収することになる。それは洗濯機や冷蔵庫と同様なのだが、PCの厄介な点は個人情報の塊だという点。洗濯機や冷蔵庫は大きく重いので運ぶのは大変だが、お金さえ払えば回収されそれで終わる。しかしPCはそんな簡単に割り切れない。私の場合ネット通販だけでなく、金融機関などの取引もPCを介しているので慎重になる。これを懸念してこの3年半、机の上に不用なPCが放置されたままとなり、物を貯めこまない性格の私やカミさんが住む我が家では異例な存在だった。

PCを廃却するのは長い人生の中で初めてではない。以前は、PC本体から
ハードディスク(HDD)だけ取り出して保管していた。HDDはさほどかさ張らないし、ヤバい情報が入っているから手元に残し、HDDを取り除いたPCを無料で回収してくれる業者に送り処分してもらった。今回もその手を使おうと思ったが、今回廃却する予定のPC(ディスプレー一体Type)を分解しようとしたら、本体のカバー類を外すネジが全く見当たらず、どうやって筐体を分解したらいいのかわからない。筐体のカバーさえ外せればHDDにアクセスできるはずだが、入口からつまずいた。HDDを装着したままでの廃却は怖い。どうしたものか。

今一度、基本に戻って取説を読んでみた。すると、取説にPCを譲ったり廃却する時の処置方法が書かれていた。私のPCには
HDDを完全消去するツールソフトが最初からインストールされているらしく、それを使って処置すれば個人情報の漏れは防げることがわかった。購入する場面で捨てることまで気にしていないから、そんなツールがインストールされていることを購入後10年近く経って初めて知った。しかし、3年近く起動させていないPCは果たして立ち上がるか。恐る恐るスイッチを入れる。良かった。時間は掛かったが起動できた。起動できたならば、取説が無ければ絶対にわからない手順でHDDを完全に消去するプロセスに切り替わる。そして「Enter」を押すと消去開始。すぐに終わると思ったら、全て消去し終わるまで半日以上費やした。

その間に、消去後の作業について調べる。このPCをどこにどうやって引き渡すか。無料で回収してくれる業者の広告を以前見たことがあるが、
無料には裏があるもの。ちょっと心配だ。メーカーの対応はどうなっているのか。PCメーカーのHPで情報を探す。それによれば、2003年10月以降に販売された家庭向けPCには「PCリサイクルマーク」が貼付されており、その対象製品ならば、送料も含めて無料でメーカーが引き取ってくれることがわかった。私のPCは年代的には該当するが、PCリサイクルマークなんて貼ってあったかぁ?PCの後ろを隈なく探すと、小さくて目立たないシールが見つかった。まるで見つけて欲しくないかのような佇まいだが、とにかくこのPCはメーカーが責任持って回収してくれる機種だということのよう。メーカーならば機密情報漏洩について少し信頼できるし、今回自ら完全消去も行っているから二重に安全策を講じたことになる。

こうして対応方針は決まったが、回収してもらう
手続きはどうやるのか。その手続きはHP上から申し込むことができる。その際は機種名とシリアルNoを入力する必要があるのだが、PCの後ろを見ると高齢者の目ではほぼ判読不明なほど小さく、長ったらしい文字列が記入されている。とりあえずその部分をスマホで写真に撮り解読すると、それが正式な機種名とシリアルナンバーだった。これで必要事項は揃った。HP上から回収を申し込んだ。

申込み後、回収手続きが無事に済んだのかメールすら来ず、待つこと約一週間。
エコゆうパックの案内が届いた。それには私の住所や氏名、送るPCの機種などが記入された送り状が同封されており、PCを送る時にその送り状を貼付する。箱は自分で用意することになっているが、私のPCはディスプレー一体Typeなので大きく、スーパーマーケットの段ボール置き場でこのPCが収まる空き箱は見つからず、仕方なくホームセンターで市販の段ボールを入手した。今回は完全無料を狙っていたのに、これにてその目標は達成できなくなったが、まあ数百円の出費だ。こうして入手した段ボールにPC本体とキーボードを収め、引き取りに来た日本郵便に手渡して全ての作業が完了した。

いやはや
手が掛かること。PCは高価だし、捨てようと思っても個人情報が洩れたら怖いし、それを完全に消去する方法もよくわからないし、どういう手続きを踏んだらいいのか、ここまで紆余曲折があった。それらひとつひとつのことはさほど難しいことではないのだが、PCの廃棄なんて10年に一度くらいしか行わないので以前のことは正確に憶えておらず、いちから調べ直すことになる。そして、その過程で把握したいくつもの手順を踏まえないと、この小さな箱を安全に捨てられないことを改めて実感した。その中でも特に悩ましいのが、PC内の情報を消去する点だった。

PC内のファイルを普通に削除しただけでは、その道の人の手に掛かれば復活できてしまうという。メーカーのHP上には「データの扱いについてはお客様による管理が前提になります。お客様のデータは、
お客様ご自身の責任において消去をお願いします」とさらっと書かれているが、この”消去”が問題なのだ。今回の場合、幸い取説に詳しく書かれていたので迷うことは無かったし、パソコンも起動できたから良かったが、これが起動できないPCだったら、また完全消去ツールがインストールされていなかったら行き詰っただろう。

使わなくなったPCが、多くの家庭でヒッソリと置かれているのではなかろうか。スマホの活用が増えるほどその傾向は高まると思う。そんな
PCを断捨離したくても容易じゃない。便利な世の中になったとはいえ、昔なら悩まなかったこのようなことであらぬ不便を強いられる。ひとつ確実に言えるのは、この手の面倒なことは、頭と体がまとまに動く内にやっておいた方がいいということ。先延ばしてもPC内の機密情報は消えない。ややこしいことほど先送りせず手を打つことをお勧めします。