我が家における災害への備え | 直球オヤジの自由奔走生活

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座右の銘は「"行きたい"、"やりたい"、"欲しい"と思った時が"その時"」。55歳で早期退職し、高齢者と呼ばれるまでの今が"その時"。趣味のバイクや自転車は年齢的に待ったなし。エコノミーな生活で趣味を楽しむ。これをどう追い求めるかが、このブログのメインテーマです。

大地震の揺れから無事に逃れられても、その後は過酷な避難生活が待ち受けている。能登半島大地震はそのフェーズに入って来たようで、その厳しい状況は想像以上のはず。過去の震災を契機に我が家ではその都度対策を講じてきた。それをまとめてみた。

私は地方の政令都市で
小さなマンションに住んでいる。戸建てではないので、マンションの住民のことも視野に入れて対策を考え、賛同を得た上で策を講じてきた。これは面倒な反面、個人ではなかなか手が付けられないことを、マンション管理組合として費用も含めて対応できるメリットもある。私がマンションの理事長を務めていた5~6年前、防災対策を一気に整備した。その実例を書いてみる。

1.携帯発電機
 大地震になれば、必ず電気は止まるものと覚悟している。電気が無いと何もできないが、大量の電気は望まない。最低限、情報を得たり、家族などと連絡を取り合うため
頻繁に使うであろうスマホに充電できるようにしたい。そこで、マンション管理組合として発電機を購入した。

通常の携帯発電機はガソリンを燃料とするものが大多数だが、ガソリンは長期の保管ができないし、発電機内に残された燃料は劣化し故障の原因になる。そこで選択したのが、カセットガスボンベで稼働する発電機。燃料となるカセットボンベも大量に備蓄が必要だが、入手性は良いし長期保存も可能。発電能力は大きくない(900VA(100V 9A)が、少なくても大量のスマホの充電には十分対応できる。


ホンダ製のカセットボンベで駆動する携帯発電機

町内やマンションに一台あれば、スマホ充電程度には十分

 

2.ポータブルテレビ
 以前、市内で
長時間の停電が起きたことがあった。その時に経験したことは、殆どネットが繋がらなかったこと。停電で自宅内のテレビやネットの固定回線は機能しないし、スマホからのアクセスが集中したのか、ネットから情報は殆ど得られなかった。ならばと携帯ラジオで情報を得ようとしたが、文字や図が無いラジオの音声だけでは限界があった。その経験から、屋外で使用できるワンセグのポータブルテレビをマンションで購入した。画像は粗いが停電してもテレビから情報が得られるようになった。

3.トイレ
 今回の能登大地震でも、これが大きな問題になっているようだ。決してテレビの画面に現れないが、現状はトンデモナイ状況であろうことは想像できる。例え食料がふんだんに供給されるようになっても、
人間は出る物は出るから厄介だ。マンション管理組合としても、段ボール製の非常簡易トイレと大量の汚物処理剤、そしてトイレルームとして使用する小さなテントと消臭剤、ウェットティッシュなどを準備している。前述の発電機やテレビは試しに使ったことはあるが、トイレは未実施。果たして実際に使えるものなんだろうか。「貧すれば鈍する」だろうが、一抹の不安がある。

4.水
 ちょっと古いマンションでは、
屋上に上水道の貯蔵タンクが設置されているので、断水してもこのタンク内に残っている水は使える。但し、このタンクは大容量のものではないので、すぐに尽きてしまう。そこで目を付けたのが、敷地内一階に設置されている大容量の貯留タンク。通常はこのタンクから屋上のタンクにポンプで水を送っているが、停電すればポンプは動かないので、一階の大きなタンクに水が貯まったままとなる。この水が使えるよう、タンクの下部に非常用の蛇口を追加設置した。もちろんこの水も使えば尽きるが、ここに相応の量の水がある安心感は大きい。

5.カセットコンロ
 個人で所有している人も多いだろうが、マンションとして炊き出しができるようカセットコンロを備えている。燃料は前述1項の
発電機と同じカセットガスボンベが使えるから、丁度いい。

6.エレベーター
 私の住むマンションは築30年ほど経ち、近年の大地震を契機に
耐震強化されたエレベーターではない。エレベーター会社と打ち合わせをすると、大地震でエレベーターが損傷した場合、通常時でも即工事ができない状態なので、大規模工事を緊急に行いたいとなっても、かなり長期間待たされ、その工事待ちの間、エレベーターは使えないと言われた。

そこでマンションの大規模修繕工事に合わせエレベーターも
リニューアル工事を行い、耐震性が大幅に強化された。その額は約1000万円。工事期間中の2週間はエレベーターが使えず、エレベーターの工事は費用以外にも大変な点は多いが、これで不安材料が一つ解消した。

7.階段の手摺り
 エレベーターの耐震性がアップされても、大地震になれば必ず停止してしまうし、エレベーターに異常は無くても停電が解消されなければ動かない。そうなると
階段を使わないとならないが、その階段に手摺りが無い。地震の揺れから無事逃れられたのに、階段で転倒という二次災害を起こしたらつまらない。そこで階段に手摺りを設置した。階上の住民にとってエレベーターが使えない苦労は発生するが、少しでも安全に階段を使えるよう、こんな部分にも手を加えた。

8、その他、個人で準備しているもの
 
はスーパーで安売りしてしている2L入りのペットボトルの水を40~50本備蓄している。遠に賞味期限が切れているものもあるが、手洗いやトイレには使えるのでそのまま保管している。また前述3項の携帯トイレも個人で所有している。

他にポータブルラジオ、懐中電灯、ランタン、使い捨てのポリの手袋、小型油圧ジャッキ、ソーラー充電可能なモバイルバッテリーなど。また、大きな家具や電化製品は
転倒防止措置を施している。ただ食料はカップ麺やお菓子など、日常的に食べているものの在庫を絶やさないようにしているだけで、非常食は特に用意していない。

こうして備品類の整備はほぼ実施済みだが、
大きな課題が残っている。それは安否確認。マンションは各戸の玄関扉を閉めてしまえばプライバシーが守られる。この点は大きなメリットではあるが、部屋の中で何か起きても、他人が容易にアクセスできないのはデメリットになる。大地震直後、特に高齢者の一人住まいの宅のインターホンを鳴らしても(停電すればインターホンも使えない)応答が無かったらどうするか。玄関の扉の多くは施錠されているはず。このマンション特有の壁をどう乗り越えるか、その有効な策が現状無い。これが継続課題となっている。

そこそこ災害対策は行って来たが、個人的な出費は大した額ではない。しかし、マンション管理組合として支出した額は、エレベーターも含めれば莫大な費用になっている。「これだけ費用と時間を掛けて準備したのに、その
効果が発揮できないのも、ちょっとつまらないな」などと、過去に一瞬そう思ったことがあった。しかし、能登大地震の光景を見ると、そんな不埒な思いは一蹴された。これら備品類が日の目を見ず、その効果を一度も発揮せずお蔵入りしたまま終わらせられたら、それはそれでなんと幸運なことだと思えばいい。

1月2日に起こった羽田空港でのJAL機と海保機との衝突事故。JAL機の乗員乗客全員が無事脱出できたのは、乗員の日頃の訓練の賜物であり大いに賞賛する。でも、やはりその
訓練の成果を発揮する機会が無い方が、ずっと良いことは言うまでもない。災害や事故への備えとは、時にそういうジレンマ陥ってしまうが、「備え」とはそういうものだと自覚して臨みたい。