関西は難読駅の宝庫 | 直球オヤジの自由奔走生活

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座右の銘は「"行きたい"、"やりたい"、"欲しい"と思った時が"その時"」。55歳で早期退職し、高齢者と呼ばれるまでの今が"その時"。趣味のバイクや自転車は年齢的に待ったなし。エコノミーな生活で趣味を楽しむ。これをどう追い求めるかが、このブログのメインテーマです。

難読駅は日本全国どこにでもある。しかし、全国各地の鉄道路線に乗っていると、関西、取り分け大阪、京都にはその手の駅名が多いと感じる。今回訪ねたそのエリアはまさしく難読駅の宝庫だった。

 

私が住む静岡県の駅を見渡しても、濁点の有無などにおいて正しく読めないかもしれないが、「なんて読んだらいいのか、お手上げ」という駅は殆ど無い。精々思いつくのは、去年JR東海道本線に開業した新駅「御厨」くらい。「みくりや」という名の著名人もいるから、そういうことから知っている人もいるだろうが、ちょっと難しい。でも思いつく難読駅はその程度。しかし、京都や大阪は多い。

 

今回ある用事があり大阪に出掛けた。そのついでに、未乗の路線がいくつか残っている関西エリアの鉄道に乗って来た。大阪市内の路線に乗ると、「大阪って、『橋』が付く駅名が多いなあ」と感じる。肥後橋、渡辺橋、大江橋、なにわ橋、天満橋、京橋、四ツ橋など実に多い。車窓からも大都会を流れる大きな川が見え、大阪はつくづく水の都だと実感する。そういう橋が付く駅名はわかり易い。しかし、「いったい何て読むのか」とか、「えーーー、そう読むのぉ!」と驚きや疑問を感じる駅名も多い。

 

点在する未乗の路線を乗り継ごうとすると、自ずとややこしい経路になってしまうことが多く、どうしても乗り換えが頻繁に発生する。そしてある駅で降りた。思わず唸ってしまった。「放出」駅。「なんだなんだ、この『ほうしゅつ』って」。この字面は駅名や地名に相応しくないように見える。とは言え「ほうしゅつ」ではあるまい。「はなで」、いや「はなて」かなと思っていた。しかし電車から降り、駅に掲げてある表記を見て驚いた。「はなてん」と読む。なぜ「ん」が入るのか。関西人がよく「ナニゆう(言う)てんねん」というように、「ん」を入れることが多いからだろうか。地名だから理由はわからないが、とにかくなかなか正解に辿り着けない。しかし、この程度なら間違いながらも何とかなる。京都は更に難しい。

 

間違っても「ほうしゅつ」とは読みません

 

京都嵐山のその先に、山陰本線の旧線を利用した「嵯峨野トロッコ列車」が走っている。100%観光用の路線で、私はこの手の路線はあまり好まないが、この路線も正式な鉄道なので全線完乗の上では乗らねばならない。乗ってみればそれはそれは保津峡の眺めが素晴らしく、これぞ絶景路線だった。その後、嵐山から嵐電(らんでん)に乗り、市街地へと向かった。

 

 

嵯峨野トロッコ列車は家族連れでそこそこ賑わっていた。コロナ禍でこれなら、最盛期にはすごい賑わいだろう

 

嵐電は京都に残っている唯一の路面電車だが、途中で路線が分岐しており、その駅が「帷子ノ辻」という。この駅名はかなり難易度が高い。「帷」という文字をそもそも見たことが無い。この駅は「かたびらのつじ」と読む。でも「かたびら」って何なの?。「帷子ノ辻」の先にある「西院」も変だ。「にしのいん」とか「さいん」ではなく、「さい」と読む。「さい」だったら「西」だけでいいじゃないかと思うが、ここは京都。そういう場所なのだ。

 


嵐山へ行くにはJR、阪急もあるが、嵐電がお勧め


京都では地下鉄に多く乗った。地下鉄は乗って楽しいものではないので、各地で未乗の路線が多く残ってしまっている。京都も同様だった。京都市営地下鉄東西線に乗り、終点の「六地蔵」駅を目指す。この駅は「ろくじぞう」と普通に読めばいいが、私が乗った電車は途中の「御陵」駅で乗り換えが必要となる。そこで乗り換えないと、滋賀の琵琶湖の方へ行ってしまうから、ここは重要なポイントとなる。私は「御陵」駅を頭に入れて乗車した。

 

しかし、地下鉄は車窓風景が楽しめないこともあり、一瞬他のことを考えてしまった。ハッと気付いたとき、車内アナウンスが「次の〇〇〇駅でお乗り換えです」と告げたが、その〇〇駅を十分に聞き取らなかった。確か「みさ〇〇」とかなんとか言っていたような。ならば大丈夫。私が乗り換えるのは「御陵(ごりょう)」駅だから。と思い返した時、電車は琵琶湖方面に向かい、次の「京阪山科」駅に着いてしまった。いったいどういうことなんだ、これは。とにかく間違って来てしまった「京阪山科」駅で降りた。そこで全てがわかった。「御陵」駅は「ごりょう」ではなく、「みささぎ」と読む。これは読めない。私は皇族の出ではないから、「みささぎ」なんて専門用語は知らないし読めない。全く初耳だ。

 

気を取り直して戻り、ロスった時間をこの先の行程のどこかで取り戻そう。そう考えて、ある策に出た。駅と駅の間を歩いて繋ぎ、ショートカットするのだ。そこで考えたのが、JR奈良線の「木幡」駅と京阪線の「木幡」駅を徒歩で繋ぐことだった。両駅は同じ駅名だが、地図を見ると数百m離れている。この駅の間を歩けばちょっとだけ短縮できそうだ。そこで時間的にどうなるかと、再びスマホを取り出し調べ始めた。ところがJR奈良線の「木幡(こはた)」は出て来るのに、京阪線の「木幡」が出てこない。何故なんだ。「こはた」と平仮名では出ないので、読み方はともかく「木」と「幡」を入力したらようやく見付かった。これはアプリのバグか?。いやそうではない。驚いたことに、京阪の木幡駅は「こはた」ではなく、「こわた」という。非常に似通っているが違う。同じ町にあって近接して存在する同じ漢字で書く駅同士なのに、片や「木幡(こはた)」、片や「木幡(こわた)」とは。ややこしいことしやがってである。

 

京阪には難読駅が多い。全く読めない駅として「樟葉」。この「樟」って漢字自体初めて見たし、読み方の想像も付かない。だから、検索のし様がない。これは「くずは」と読む。今回乗った未乗の京阪「交野線」も読めない。「こうの」ではないだろうな。「まじかの」かと思ったら「かたの」と読む。読めるか!。この交野線の終点の駅がまたまた高難度。「私市」と書いて「きさいち」と読む。「きさま(貴様)」は相手のことなのに、「私」の文字を使って「きさいち」とは全く持って理解不能。京阪本線の中では比較的有名で大きな町「枚方」は、関西圏の人なら「ひらかた」と普通に読めるだろうが、なぜ「枚」を「ひら」と読むのか。普通じゃないんだぞ、これは。と言いたくなる。

 

旅の終盤、まだ少し帰路に乗る予定の新幹線まで時間があったので、これまた複雑な乗り継ぎをしようとアプリで時間を割り出そうとした。しかし、その路線の接続駅が入れられない。その駅はJR片町線(学研都市線)の「鴫野」という。最初「鴨」かと思ったが、メガネを外してよ~く見ると微妙に違う。違うのはわかるが、何て読むのか全くわからない。他の読み方がわかれば何とか入力できるのだが、それもわからない。もう諦めて素直に帰路に付いた。帰宅して調べたら「しぎの」と読む。「しぎ」って鳥はどこかで聞いたことはあるが、どんな鳥かも、どんな字を書くのかも全く知らない。

 

こんな難しい駅名使うなよと言いたくなるが、それはそれはさぞかし由緒正しい地名なのだろう。特に古い歴史のある関西、それも京都や大阪にはそういう地名が多いに違いない。今風を装って「高輪ゲートウェイ」なんて駅名を付けたら、それこそ総スカンだろう。だから難読駅に文句は言わない。精々話のネタにして楽しもうと思う。因みに、帰宅後、関西出身のカミさんに出題したら一つも読めませんでした。