星の夜も お日様の昼も
いつも考えている
愛はそういうもの
でもある時
君は疑いを持ってしまった
愛し続ようと思ったけど
その愛も今は消えてしまった
あぁベイビー
ずっと一緒だったけど
二人が明日いる場所なんて
誰にも分からない
心は 嫌だ というのに
頭では 仕方ないと思ってる
愛し合ってたはずなのに
愛はどこにあるんだい
僕らはとつぜん歌いだした
シャラララララ
とつぜん 歌いだす
シャラララララ
拙ブログにいつもコメントいただいているまーしーさんという方がいらっしゃいます。同じアメブロでモコモコ・グラフィティというブログを書かれています。以前にもご紹介したかもしれませんがこの「モコモコ・グラフィティ」という名前は岐阜県中濃部をカバーするローカルFM曲「FMらら」の番組の名前でもあります。ごきげんなオールディーズ・ナンバーをまーしーさんのうんちくとともに紹介してくれるステキな番組です。

いつもは土曜日の午後1時からの放送なのですが、シルバーウィークの最後の9月23日に番外編のような2時間の「モコモコ・グラフィティ」がオンエアされて、番組冒頭に僕がシルバー・ウィークがらみでリクエストしたシルバーの「恋のバンシャガラン Wham Bam」をかけてもらいました。
曲が終わった後にまーしさんが「なんでこの曲は「Wham Bam」なのに邦題は「恋のバンシャガラン」なんでしょうね。副題に(Shang-a-Lang)というのがあるのからなのでしょうが、WhamだけとってBan Shang-a-Langとするのも分かりません」といった意味のことをおっしゃっていました。
実を言うとこの「バンシャガラン」については前から気にはなってたんですよね。ぼんやりと、たしか「バンシャガラン」というタイトルの歌か歌詞があって邦題を考える際にそこから引用したんだろうなぁと思ってはいたのですが、ちゃんと確かめていませんでした。そこでいい機会なのでちょっと調べてみることに。
と、その前に英題の「Wham Bam」の意味から。Whamといえば音楽ファンであれば英国の2人組ワム!思い出すのですが、意味まで考えたことありませんでした。Whamには「ガツーンという衝撃」や「わっとばかりに(急に)」というような意味があります。Bamの方はおそらくはBangからの派生語ではないかと思うのですが「突然の大きな雑音」のような意味があるようで、ふたつとも似たような意味があります。
>used for emphasizing how suddenly something happened or how suddenly it was done
Wham Bamで検索をかけると上のような一文が出てきます。物事が突然始まることを表しているようです。
We've got a wham bam shang-a-lang
And a sha-la-la-la-la-la thing
Wham bam shang-a-lang
And a sha-la-la-la-la-la thing
となるとサビの「We've got a wham bam shang-a-lang」は「僕たちは突然シャンガランをしだした」みたいな意味になるのですが、では「シャンガラン」って何なんでしょ。
番組でまーしーさんも触れていましたがこの「shang-a-lang」という言葉、検索しても意味は分からないのですが、歌の中にけっこうでてくる言葉です。まんまタイトルにしてしまってるベイシティ・ローラーズのヒット曲なんていうのもあります。
Bay City Rollers & Friends in Shang-A-Lang Show 1975 (Granada TV)
この曲の邦題は「ベイ・シティ・ローラーズのテーマ」というもので、こちらもなんでやねんの邦題なのですが、アップした動画を見ていただければ分かりますが「シャンガラン」という名前のベイ・シティ・ローラーズのTV番組があったようで、そのテーマ曲だったから「ベイ・シティ・ローラーズのテーマ」という邦題になったようです。それにしてもすごい人気です。
余談ですがローラーズといえば最近、再結成のライヴを行うというのが話題になっているようなのですが、その写真を見てもローラズと言われなければ、否言われても、誰やねこのオッサン達という感じです。

閑話休題。この曲の中に
we sang shang-a-lang and we ran with the gang
Doin' doo wop be dooby do eye
という歌詞が何度かでてきます。これで見ると「シャンガラン」というのは二行目の「ドゥ・ワップ」と呼応していてある種の歌の種類をさすものであることが分かります。で、アップした動画を見るとお姉ちゃんたちがキャキャー・ワーワー絶叫しながらローラーズとともに歌っています。こういうの英語ではSing-a-Longっていいますよね。たぶんShang-a-LangはSing-a-Longの派生語でみんながシングアロングできるような、親しみやすい楽曲のことを意味してるのだと思われます。
とするとシルバーの「恋のバン・シャガラン」の原題「Wham Bam(Shang-a-Lang)」の意味は”突然(一緒に歌う)”みたいなものになるのかなと思います。
ここでようやく邦題の「恋のバン・シャガラン」の話に戻ります。

さてシルバーの「Wham Bam」は1976年の6月19日に全米チャートで16位のスマッシュ・ヒットになっています。76年といえば年末に『ホテル・カリフォルニア』が出る年なのですが、前年の6月に発売された『呪われた夜』が全米1位になり、76年の2月に発売された『イーグルス・グレイテスト・ヒッツ』(20世紀アメリカで最も売れたアルバム)でイーグルスが完全にアメリカのNo.1バンドになった年でした。となればレコード会社の考えることはいつも同じ「第二のイーグルス」を探せというか作りだせというやつです。
当時日本でもダン・フォゲルバーグのバック・バンドだったフールズ・ゴールド、元フライング・バリット・ブラザースのリック・ロバーツ率いるファイアフォール、イーグルスのヒット「ピースフル・イージー・フィーリング」の作者ジャック・テンプチンがメンバーのファンキー・キングス、サザン・ロック風味のアウトロウズそして今回の主役のシルバーといったあたりが「第二のイーグルス」としてプッシュされていた記憶があります。

中でもシルバーはメンバーにイーグルスのオリジナル・メンバーであるバーニー・レドンの弟トム・レドンがいることでイーグルス直系みたいな宣伝の仕方をされていたように思います。
ということで以下は完全に僕の妄想による「恋のバンシャガラン」の邦題の顛末です。
「第二のイーグルス」最有力候補としてシルバーの売り出しを任された当時のRCAビクターの担当ディレクターはアメリカでスマッシュ・ヒットしていた「Wham Bam」をシングルとして発売することを決めます。発売に際してタイトルをどうするかなのですが、原題をストレートにカタカナにした「ワム・バム」では何だか分からない。では邦題をつけるかと考えますが、こういう時の常套句として「恋のワム・バム」「愛のワム・バム」「二人のワム・バム」「地獄のワム・バム」(笑)などを考えますが、やはりワム・バムがネックになってどれもイマイチ。
「そういやこの曲、副題があったな 「Shang-a-Lang」シャンガラング、シャンガラン。タイトルと続けて「ワム・バム・シャンガラン」・・・。まてよ「バム・シャンガラン」ってどっかで聞いた覚えがあるな。」

「そうだアーチーズだ。」ジャケットを見ていただければ分かるように68年のアーチーズのデビュー・シングル「Bang Shang-a-Lang」が「バン・シャガ・ラン」の邦題でRCA(当時は日本ビクター)から発売されていたのでディレクター氏の記憶にあってもおかしくないかと。
TVシリーズの中のバンドとして大人気だったアーチーズですが、本国で68年から69年にかけて放映されていたものが日本でも70年に「アーチでなくっちゃ」というタイトルで放映されていたみたい(残念ながら当時僕が住んでいた石川は未放映だったかと)です。日本での放映に際してはアニメのセリフだけでなくアーチーズの歌も吹き替えにされていたようです。吹き替えで歌っていたのはピコこと樋口康雄率いるシングアウトで彼らがレギュラーで出ていたNHKの「ステージ101」でも「バン・シャガ・ラン」が歌われたという記述もありました。「バンシャガラン」というタイトルは音楽ファン(コアな洋楽ファンではない)にとっては割とポピュラーだったんじゃないかと思います。
アーチーでなくっちゃ(日本語版) 恋の勉強 ピコ 昭和45年 Boys and Girls
「バン・シャガ・ラン」の音源は見つからなかったのですが「Boys And Girls」の吹き替え「恋の勉強」、これもなんちゅう邦題や、がありましたのでご一聴を。ピコの中性的なボーカルがなかなかに歌に合うてる気がします。
「「ワム・バム・シャンガラン」やけどなんか分からん「ワム」を取ればなじみのある「バンシャガラン」になるし、これで行くか。でもそれやとアーチーズのタイトルまんまになるからラヴ・ソングの邦題の常套句の「恋の」つけて「恋のバンシャガラン」、いいじゃない。」ってなことで「恋のバンシャガラン」は生まれたのです。
というのがシルバーの「恋のバンシャガラン」の邦題がつけられた顛末ではないかと思います。先にも書きましたが、あくまでも僕の妄想ですが100%外れてもいないんじゃないかと思います(笑)。
PS.ピコのシングアウトと言えばステージ101のテーマみたいになっていた「涙をこえて」のオリジナルで有名ですね。このシングルのアレンジ、バカラックを思わせるような素晴らしいものなのですが、中村八大さん、さすがです。
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