他の市町にあるような行政改革大綱がなく、行政改革を推進する体制も確立されていない春日井市。春日井市役所の組織風土は、デジタル化を推し進めようとしている国の考え方とは乖離している印象を受けますが、市の視点などを問いました。

(春日井市議会 本会議 質疑 末永けい)

末永けい

第111号議案 春日井市事務分掌条例の一部を改正する条例についてお尋ねします。
 本議案は,デジタル化の推進に関する事務を企画政策部の所掌事務とするとのことです。新型コロナによる影響で,日本社会の様々な分野で課題が浮き彫りになり,今,デジタル化が突としてトレンドワードになっています。しかし,コロナ騒動と相まって,慌ててデジタル化だと騒ぎ始めるのは,遅きに失した感があります。なぜなら,2000年にはIT基本法,2014年にはサイバーセキュリティー法,2016年には官民データ活用推進基本法,2019年にはデジタル手続法が制定されており,行政手続のオンライン化などを実現する時間はこれまで多分にあったわけで,本来は,国や自治体として,もっと早く着手しておくべきものでした。
 もとより,地方自治体は,地方自治法第2条において,14項,最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。15項では,常にその組織及び運営の合理化に努めるといった規定があるわけですから,日進月歩に進化するデジタル技術を市民サービスの向上や行政改革に活用する姿勢は常に求められているのではないでしょうか。
 そこで質問ですが,1点目,デジタル化とは,そもそも具体的にはどういうことなのか。ICT活用の取組などはこれまでも行ってきたところですが,これまでとはどのような違いがあるのかお尋ねいたします。
 2点目,デジタル化を推進することによってどのような社会を目指しているのかお尋ねいたします。
 3点目,デジタル化を推進するに当たって,後から何をしようとしていたか分からなくならないように,当初からしっかり目的や目標を立てて推進してほしいと思います。そこで,市としてデジタル化を推進する目的をお聞きいたします。
 4点目,情報システム課ICT推進室との関係はどのようになるのかお尋ねいたします。
 5点目デジタル人材の確保,育成についてはどのように考えているのかお尋ねいたします。
 6点目,デジタル化によって市民サービスがどう良くなるのか,具体的にどのような市民サービスや業務を目指していくのかお伺いいたします。
 7点目,デジタル化の推進に関して,現時点で国から自治体にはどのような要請や通知等があるのか教えていただきたいと思います。
 8点目,菅総理は,去る9月23日,デジタル改革関係閣僚会議において,行政の縦割りを打破し,大胆に規制改革を断行します。そのための突破口としてデジタル庁を創設いたしますと発言,指示を出し,IT基本法の抜本改正を行う予定とのことで,国の動きからは,かなりのやる気とスピード感を感じます。
 行政の縦割り打破,大胆な規制改革ということで,世の潮流は行政改革であり,デジタル化は行政改革の視点で推進することが必須となりますが,他方,デジタル化を推進するにあたって不安なのは,行政改革に後ろ向きな春日井市役所の組織風土です。本市には,他市にあるような行政改革大綱もなく,行政改革を推進する体制が確立されておりません。また,行政改革に関する担当は,なぜか,企画政策部ではなくて総務課のほうにあります。行政改革の事務分掌も,併せて総務課から企画政策部に移さなければ,一体的・効果的に進められないのではないかと危惧しております。
 このように,春日井市役所のこれまでの組織風土は,デジタル化を推し進めようとする国の考え方とは乖離している印象を受けるのですが,市としてはどのような視点で進めていかれるのかお尋ねいたします。

総務部長(長谷川透君) 私からは,第111号議案についての御質問に順次お答えいたします。
 最初に,デジタル化をどう捉えているかということについてですが,これまでに市が行ってきたRPAの導入をはじめとするICTの利活用を含め,デジタル技術を活用した施策全般を指すものと考えております。
 次に,デジタル化によってどのような社会を目指すかということについてですが,国の動向を注視しつつ,市民目線に立ち,行政サービスの様々な場面にデジタル技術を取り入れることで,さらなる市民の利便性や満足度の向上を図っていきたいと考えております。
 次に,デジタル化推進の目的についてですが,今申し上げました市民の利便性や満足度の向上,職員の業務の効率化を目的とするものとします。
 次に,情報システム課との関係についてですが,今回の改正においては,ICT推進室を発展させ,課として企画政策部に移して所管させることを想定しております。情報システム課は,企画政策部による企画立案の段階と各施策の所管部による実施運用の段階それぞれにおいて,技術的側面での連携という形で関わっていくことを考えております。
 次に,デジタル人材の確保,育成についてですが,市では,これまでも,デジタル技術に精通した企業や団体など,多様な主体との連携を図ってまいりました。今後も,支援制度などを活用し,デジタル人材の確保,育成に努めてまいります。
 次に,デジタル化によりどのような市民サービス,業務を目指すかについてですが,市役所に来なければできなかった行政手続を場所や時間を問わずできるようにするとともに,職員もデータを活用して,迅速,かつ効率的に業務が遂行できるような仕組みづくりを目指してまいります。
 次に,国からの要請,通知についてですが,国の基準に適合した情報システムの利用を地方公共団体に義務づける法制上の措置について検討を進めているとの情報提供が総務省からございました。
 次に,国が,縦割りを打破し大胆に規制改革を進めることについての市の考え方についてですが,本市としては,デジタル化の推進に関する事務を企画政策部が所掌する体制とすることで,行政のデジタル化の司令塔として,全庁にわたるデジタル化の取組を推進する考えでございます。

 

【末永けい関連質問】

地方公共団体の組織及び運営の合理化が要請されているなか、職員定数管理計画を未だに作らない春日井市

行革の意識低い→必要ない事業・業務非効率・公務員の残業代等人件費増→市民サービス低下・市民負担増

第5次大綱は行政改革とは言えないものだった。第6次行革大綱はしっかりした中身と推進体制の構築を!