行政が出資する株式会社である所謂、第三セクターは公務員の天下りや公金による補助金や委託料頼みの体質により、経営が自立せず、行政の財政を圧迫することから、改革が求められています。そんなご時世にもかかわらず、春日井市は昨年、新たに第三セクター、高蔵寺まちづくり株式会社を設立しました。市からの補助金や委託料頼みの経営であれば、市役所が直接事業を行うのと同じです。市民や議会から経営の中身が見えにくくなる分、かえって厄介な存在になります(※)。設立されてしまった以上、この会社が市の財政負担=市民負担にならないように、市の補助金や委託料に頼らず経営できているか?市からのまちづくり会社に流れる補助金や委託料の算定を市は甘く見積もっていないか?と言った視点で、チェックしています。(勝川開発株式会社など、他の第三セクターや市役所の外郭団体についても同様なことが言えます。)

(※)さらに、春日井市の場合、第三セクターの情報公開に係る規定がないうえ、役員報酬や市の財政的関与の割合などの市民への情報提供も実施していない(他市は積極的に実施している)ので、そもそも第三セクターを運営する体制づくりができていないと言えます。春日井市では市民が税金を使われている第三セクターの情報を得ることが非常に難しい状態になっているのです。こんな状態のままで大丈夫なのでしょうか?

 

末永けい

報告第19号 平成30年度高蔵寺まちづくり株式会社の経営状況について

 まず,空き家調査についてです。平成29年度に市から受託した空き家調査の対象地区は,JR勝川駅,JR春日井駅,JR神領駅の周辺地域とニュータウンの外にも及んでいますが,なぜそういう業務を高蔵寺まちづくり株式会社が受託するのか。
 高森台団地再生事業との連携についてです。高森台団地再生事業との連携とはどのような内容なのか,詳細の説明をお願いします。
 高蔵寺まなびと交流センター内での収益事業とありますが,具体的にどのような内容なのか。
 収支予算書の資金収支は,749万5,000円のプラスになっておりますが,まち会社としてはこのプラス分を,今後具体的にどのようなことに活用していく考えなのか。

 まちづくり会社は,初年度は収支がマイナスでした。株主資本を取り崩していますが,平成30年度の決算においては,株主資本はどうなっていく見込みでしょうか。
 最後に営業収入の1億9,126万9,000円のうち,市からの指定管理料や委託料,補助金といった市の財政的関与の割合は何%になるかお尋ねします。

(市の答弁)

 初めに,空き家調査についてですが,高蔵寺まちづくり株式会社は,高蔵寺ニュータウンのエリアマネジメントを担うことを主たる目的として設立しておりますが,定款では業務を行う地区を限定しておりません。さまざまな地域の物件を対象とした空き家調査業務を受託し,多くの空き家物件を扱うことで経験やノウハウを蓄積することができ,高蔵寺ニュータウンの空き家等の住宅流通促進業務に還元することができることから受託するものであり,本市といたしましては,その成果を市全体の空き家の住宅流通施策として展開することを期待しております。
 次に,高森台団地再生事業との連携については,UR都市機構中部支社が事業を進めております高森台団地の集約事業におきまして,今後URにおいて検討が進められる集約後の跡地活用において,高蔵寺ニュータウンの価値を高めるような機能誘導などのかかわりや連携を行っていくことを聞いております。
 次に,まなびと交流センター内での収益事業については,コミュニティカフェの営業時間外における有料イベント開催などによる利用料のほか,敷地内に設置している飲料水の自動販売機の手数料収入でございます。
 次に,資金収支のプラス分につきましては,高蔵寺まなびと交流センター内での収益分は,施設の修繕積立金など,施設管理に還元するほか,その他の事業収益は,新たに掘り起こしを行う予定である中古住宅流通促進業務の営業費用など,高蔵寺ニュータウンのエリアマネジメントへ還元していくと聞いております。
 次に,株主資本につきましては,株主資本等変動計算書におきまして,収益分を利益剰余金に繰り入れ,純資産として計上していくと聞いております。
 次に,営業収入のうち,市の財政的関与の割合は97.9%でございます。

 

ひらめき電球97.9%

末永けい
 まず,収支予算についてですが,
市の財政的関与の割合が97.9%と,売り上げのうち,ほとんどが市からの公金であることがわかりました。これでは市が直営でやっているのと変わりません。まち会社は,今後自主事業をどのように確保していく考えなのでしょうか,答弁を願います。
  続いて,資本についてでございますが,先ほど株主資本についてお聞きしましたが,ニュータウン計画では,まち会社は事業者・市民・行政の共同出資ということになっておりまして,国交省のまちづくり会社の設立・活動の手引きでは,「設立当初,行政の出資比率が高く,行政主体であった場合には,民間出資比率を高めることによって,民間主体に移行し,組織としての自立性を高めていくことが望まれます」とされています。したがって,増資等により民間出資比率を高めることについて,今後どのように考えておられるのかお尋ねをいたします。

(市の回答)

 今後の実施事業の確保につきましては,空き家リノベーション賃貸事業の実施や,高森台団地再生事業との連携を行う中での事業化を検討していくと聞いております。また,本市が検討しておりますJR高蔵寺駅周辺の再整備事業における事業に関与していくことも想定しております。
 次に,今後の増資等による民間出資比率の増加につきましては,今後の会社事業の展開を見きわめた上で検討していくと聞いております。

 

(参考)

まちづくり会社の設立・活動の手引き(Q&A)-国土交通省

高蔵寺リ・ニュータウン計画

 

(末永けい関連質問)

高蔵寺まちづくり株式会社のコンプライアンスの問題と、なぜJR春日井、勝川、神領駅周辺地域にまで?

高蔵寺まちづくり会社の中身は?春日井市は他市にならい第三セクターの情報を積極的に開示せよ!

高蔵寺ニュータウンまちづくり会社出資金及び準備金について