春日井市の新たな第三セクター、高蔵寺まちづくり会社は2017年10月2日に設立されました。第三セクターは天下りの温床、公金に頼る緩慢経営、経営責任が不明確、経営効率悪化による住民負担増などのリスクが高く、積極的に情報公開される必要があり、我々市民は厳しくチェックしていく必要があります。第三セクターの役員報酬などの事項は、他市では市がHPなどで積極的に開示されておりますが、本市の場合、市民の皆さまに詳細な情報開示はなされていません。関連議案を含めて質疑を行いました。(末永けい 2017年12月本会議質疑)

末永けい

86号議案 春日井市職員の公益的法人等への派遣等に関する条例の一部を改正する条例について

どのような場合に市の職員を派遣するのか,どのような職員が派遣されるのか。派遣期間についてはどのぐらいなのか、派遣は恒常的に行われるものなのか,一時的なものなのか,派遣職員の給与等の処遇はどうなるのか

 

報告第33号 平成29年度高蔵寺まちづくり株式会社の経営状況について

①今回こういう平成29年度の事業計画で資料があるんですけれども,財務諸表はどのようなものを作成していくのか。

②今回の報告資料については,単年度の事業計画になっているが,資金収支が差し引きマイナスということで,いつになったら黒字化していくのかという点について,市民の皆様を初めとする利害関係者の方がたくさんおられますので,将来の見通し,中長期のビジョン,中長期計画を策定することが必要だと思うんですけれども,その考えはあるのかないのか。

③これから事業規模とか事業の数が増えていくと思いますので,これだけの提供されている資料だけでは経営の実態を捉えることはできませんので,それぞれの事業ごとに採算性のチェックをする必要がありますから,セグメント損益計算書,事業別の損益計算書を策定する考えは?

④発行可能株式総数についてなんですけれども,現在発行済みの株式総数は400株なので,発行可能株式総数を8,000株にしている理由は?

⑤資本金の額が2,000万円と現在なっていると思うがその使い道は?

⑥出資者について,市は50.25%の出資比率とお聞きをしているんですが,その他の出資者についてはどのように決められたのか,出資者の名前とその出資比率は?そして,出資比率はどのように決められてたのか?

⑦役員についてですが,役員報酬は幾らと決められていますか。どこで、どのように決定されているのか。

⑧組織体制について,現在の組織体制と今後の組織体制はどのようにしていくのか。

⑨情報公開に関する規定を整備されているのか,情報公開に関する規定がなければ,その策定について考えは?

 (市の答弁)

86号議案の春日井市職員の公益的法人等への派遣等に関する条例の一部を改正する条例についての御質問に順次お答えをいたします。

 まず,どのような場合に,どのような職員が派遣されるのかでございますが,市の職員を派遣するのは,高蔵寺まちづくり株式会社が,本市の事務または事業と密接な関連を有する事業を円滑に実施するために人的な援助が必要となった場合でありまして,その事業を円滑に実施する上で必要となる能力や資格,経験等を持った職員を派遣するということになりますが,現時点での派遣の予定はございません。

 続きまして,派遣する期間につきましては,人的援助が必要な場合に派遣するということになりますので,その業務に必要な期間で派遣するということとなります。なお,派遣される職員の派遣期間は,最長3年でございますので,それ以上の期間で派遣が必要な場合には,別の職員を派遣するということになります。

 また,派遣する職員の給与等の処遇につきましては,春日井市を退職して派遣されるということになりますので,高蔵寺まちづくり株式会社の規定に基づき給与が支給され,春日井市からの給与等の支給はございません。

 報告第33号に関する質問について,順次お答えをいたします。

 初めに,財務諸表につきましては,事業報告書,貸借対照表,損益計算書,株主資本等変動計算書,個別注記表を作成することとなっております。

 次に,中期経営計画とセグメント損益につきましては,今後の事業展開の中で必要となった段階で策定を検討していくということになると考えております。

 次に,発行可能株式総数につきましては,今後の事業展開を想定し,当初発行株式の20倍の8,000株を設定してございます。

 次に,資本金につきましては,初期の費用や当面の事業規模を想定して設定してございます。

 次に,出資者につきましては,会社の設立趣旨に賛同されたニュータウンにかかわりのある方などと設立することといたしました。出資比率等につきましては,春日井市が1,005万円で50.25%,春日井商工会議所が445万円で22.25%,OKB大垣共立銀行が100万円で5%,そのほか,7者の方から450万円で22.5%を出資していただいております。また,その比率につきましては,各出資者と相談の上,決定をいたしました。

 次に,役員の報酬につきましては,代表取締役と取締役は無報酬,常務取締役は月36万円,監査役は月1万円です。これにつきましては,取締役会で決定をいたしました。

 次に,組織体制につきましては,現在,代表取締役,常務取締役,取締役,監査役の4名体制で,常勤は常務取締役となります。来年度につきましては,取締役1名,常勤職員5名,臨時職員3名を増員する予定でございます。

 最後に,情報公開の規定につきましては,現時点では規定は設ける予定はございませんが,必要な情報公開に努めてまいります。

 

末永けい

①情報公開について,現時点で規定を設ける予定はない,必要な情報公開に努めていくということだが,具体的にどういう情報公開に努めていくんでしょうか?高蔵寺まちづくり株式会社のほうが規定を設ける予定がないのだったら,市が情報公開に関する要綱など規定を整備する必要があると思いますけれども,どうお考えか?

②長期借入金について400万円計上されておりますが,これはどこから借り入れて,何に充当していく予定なのか。

営業収入のうち,委託料,指定管理料,補助金とか,いわゆる市の財政的関与の点についてですが,市の負担する具体的な金額についてお尋ねいたします。

④資金収支差し引きの2427,000円マイナスだが,その理由は?

⑤中古住宅流通促進業務について,戸建て住宅とURの分譲住宅の空き家をリノベーションして賃貸等を行うという説明だが,まちづくり会社が不動産物件の借り上げや取得を行うということは,まちづくり会社が,いわば,空き家リスクと在庫リスクを負うことになりますが,これについてどのように対応していくのか。

⑥住民サポーター制度の導入準備業務について,準備業務の具体的内容は?

⑦空き家の調査業務の具体的内容は?

(市の答弁)

まず初めに,会社としての情報公開についてですが,まず,決算時につきましては,貸借対照表,損益計算書にて議会報告をさせていただきます。また,市民向けにつきましては,必要な情報公開に努めてまいるということでございます。

 続きまして,市として情報公開の要綱を設けないのかということですが,こちらにつきましては,ご意見として,参考とさせていただきます。

 続きまして,長期借入金につきましては,こちらは銀行からの借り入れを想定しておりまして,中古住宅流通促進事業への充当を予定してございます。

 次に,市からの委託額につきましては,2439,000円を予定しております。

 次に,収支がマイナスの理由につきましては,長期借入金を住宅流通促進事業などの事業を実施する際のみに予定しているため,収支の不足が生じるためでございます。

 次に,空き家のリスクにつきましては,戸建て物件は,既に借り手を確保しております。URの分譲住宅につきましては,子育て世代向けに,DIYを含むリノベーション等を実施後,モデル住宅として公開することで,住宅流通のモデル事業に寄与するということを考えております。

 次に,住民サポーター制度導入準備業務につきましては,高蔵寺まなびと交流センターにおいて住民参加による運営を目指していることから,市からの委託事業により,開所前の今年度,その準備作業を実施してまいるというものでございます。

 続きまして,空き家の調査業務につきましては,個人等が所有する戸建て空き家の現地確認調査の業務を予定してございます。

 

末永けい

①中古住宅流通促進事業だと思いますが,長期借入金400万円の具体的な使い道は?

②市の財政的支援について、市からの委託額については2439,000円というお答えがございました。営業収入のうち,パーソナルモビリティ事業の中身が含まれておりますので,この部分を除く部分については,ほとんどが市の委託料,市費によるものだということがわかります。市の財政的関与,すなわち委託料,指定管理料,補助金などの売上というものが,ほとんどを占めるということであれば,市が直営でやっているのと何ら変わらないと思いますので,市からの委託事業に頼るのではなくて,自主事業による収益確保が必要です。自主事業による収益確保ができないのだったら,会社組織にした意味はない。経営の自立性を高めていくために,自主事業による収益確保,これを今後どのように経営のかじ取りを行っていくのか。

(市の答弁)

借入金の内訳ですが,こちらにつきましては,戸建て物件のリノベーション費用を予定しております。

 また,自主事業につきましては,当然でございますけれども,自主事業による収益確保もあわせて行ってまいりたいと考えております。