「ヌードの映画史」というドキュメンタリー映画をみてから、
映像の世界で裸になる女優の腹積もりと、性表現の変革を知りたくなった。
「ディープ・スロート」はみていない。
このドキュメンタリー映画は、アメリカで2年間も上映されつづけた
ポルノ映画「ディープ・スロート」がアメリカ社会にもたらした影響を、
約30年後に検証したドキュメンタリー映画である。
2026年の現在から、50年前の映画。
いろいろと知らんことが多すぎて、ショックを受けた。
ポルノだからじゃない。当時の時代背景がショックだった。
半世紀前の「女性の性」が、こんなにもタブー視されてたなんてショックだった。
わたしが興味をもったポイントは3つ。
①ただのポルノ映画が、なぜここまでヒットしたのか?
②どうして政府は、ポルノ潰しに躍起になった?
③出演者たちのその後は?
①ただのポルノ映画が、なぜここまでヒットしたのか?
「ディープ・スロート」の初回公開は、N.Y.のタイムズスクエアーにある一般的な映画館。
ポルノは裏路地の薄汚い映画館で上映され、
男たちがこっそり入る映画館で上演されるのが常識。
だが、このポルノ映画のプロデューサーは、
このポルノを「おしゃれなポルノ」と劇場に売り込み、上映にこぎつけた。
完全にプロデューサーの戦略勝ち。
敏腕プロデューサーがおったもんやなと調べてみたら、
N.Y.を牛耳るマフィアが絡んでた・・・。
ポルノ産業はマフィアが取り仕切っているから、
頭のいいマフィアの構成員が、劇場を脅して上映させて、
入場料の50%を上納させていたらしい。
興行収入は300億相当といわれていたが、
出演者、監督ふくむ製作スタッフは、安いギャラで作って自身の収入にはつながってない。
マフィアが味をしめて製作会社をつくり、二番煎じ映画を量産し儲けを悪事に流用したとか。
悪い奴らは、知恵が回る。憎らしい。
②どうして政府は、ポルノ潰しに躍起になった?
当時のアメリカはキリスト教保守派との結びつきが強く、
キリスト教では「性交は子作りのための行為」で、快楽を求めることは罪とされていた。
女性は挿入でしか快楽を得られないとされていて、
前戯は不要という考えだった!んな、アホな!
だから「喉の奥に陰核」を持つ女性が、陰核を刺激して快楽を得るために男のアレを咥える映画は、言語道断!となったわけだ。
そしてなんやかんやあって、出演俳優だけが刑事告発されたのだ。
映画に出ただけで、懲役5年を求刑されたんだよ!んな、アホな!
当時の大統領はニクソン。だがニクソンは皮肉にも「ディープ・スロート」というコードネームの内部告発者の告発を受けて、失脚するのである。
それ以降「闇に葬られたタブーを表にだす人」を
アメリカでは「ディープ・スロート」と呼ぶらしい。
ここでようやく『Xファイル』の謎の協力者の
「ディープ・スロート」という名前の由来が腑に落ちた!
余談。
とにかくね、女性をなんだと思ってんだ!って話ですよ。
男が悪いんじゃなくて、キリスト教保守派が悪い。
アダムとイブを本気で信じてる奴らが悪い。
この映画をきっかけに、女性たちも映画館に足を運び、
おハイソさんたちもお洒落してポルノをみて、
なんやかんやで、女性たちの性の解放がはじまったらしい。
なんつうか、フェミニストを怒らせながらも、女性の性開放の一因となったポルノなのだ。
製作者にはそんな意図はみじんもなく、
フェラ特化型ポルノ!めっちゃオモロイし、新しいやん!というノリで作っているのだ。
つまるところ、マフィアたちが世間の空気を先取りした結果になった。
※「ディープ・スロート」で大金を稼いだコロンボ・ファミリーとアンソニー・ペラインは、
その後、脱税で逮捕され映画産業からは身を引いている。
③出演者たちのその後は?
主演女優は、後に「無理やり出演させられた」と訴えるが、
監督にリンダを紹介したのは当時の旦那だし、
旦那はだんなで「こいつ、めっちゃフェラうまいんっすよ!」って
ポルノ映画への出演を売り込んでるから・・・“強要された”は、難しいかも。
ただし、旦那チャック・トレイナーに監禁状態で、無理やり出演させられたと訴えているが、
訴訟には至っていない。
リンダは、出演時はこんなに注目されると思わなく、
その後の人生にどう影響するか想像もつかなくて「後悔」してるってことちゃうかな。
あとは、「金」ね。
監督は、マフィアにおどされて共同制作者の権利を放棄させられたから、
追加でギャラはもらわなかったと言う。
家も裕福ではなさそうなので、本当だろう。
可哀そうなのは男優のハリー。
長いコト“見せしめ”として裁判にかけられ、
結局、ニクソンが辞めてから無罪放免になったが、
悪名がついてまわりアルコール依存症に。
今は立ち直って不動産仲介会社をやってます!と元気そうだった。
※この映画騒動は50年前のことで、このドキュメンタリー映画に出演している人たちの8割はもう、この世にはいない。
なかなかに、いろんな方面でショックだった。
いつか「ディープ・スロート」を観てみたい。
※本当は医学用語でなく、一般通称名称を使うべきだけど、
いろいろとメンドクさそうなので、医学用語にしとります。
_______
2005年・アメリカ
脚本・監督: フェントン・ベイリー、ランディ・バルバート
音楽: スティーヴン・トラスク
出演: リンダ・ラヴレース(主演女優)、ハリー・リームス(男優)、ジェラルド・ダミアーノ(監督)、ディック・カヴェット(トークショー司会者)、ヒュー・ヘフナー(『PLAYBOY』の発刊者)、ノーマン・メイラー(小説家)、ジョン・ウォーターズ(『ピンク・フラミンゴ』監督)、ラリー・フリント(ポルノ雑誌編集長)、エリカ・ジョング(小説家)、ルース・ウエストハイマー(セックスセラピスト)、カミール・パーリア(フェミニスト)
ナレーション:デニス・ホッパー
あらすじ:
1972年に公開され、アメリカ社会に衝撃を与えたポルノ映画『ディープ・スロート』を軸に、その制作背景と社会的影響を検証するドキュメンタリー。主演女優リンダ・ラヴレースの過酷な実態、表現の自由をめぐる裁判、ポルノがアンダーグラウンドから大衆文化へと侵食していく過程を、多角的な証言で描く。性的解放の象徴と搾取の構造、その両義性を冷静に暴き出す一作。
▼女の裸で映画を作る人の心理と、マーケットに興味をもちはじめたきっかけ。
▼ニクソン事件のディープ・スロートの正体


