やっぱ事実をベースにした映画はおもろい。
掘り下げ甲斐がある。
この映画の内容は、実際に起こった事件を再現しているのではなく、
誇張しているというか、警察の対応がエスカレートしていったら、どういう悲劇が待っているか!という警告でもあるのだろう。
この事件、日本語で調べてもなかなか出てこない。
2007年ニュージーランド北部ルアトキに暮らすガイ・トゥホエ族が理不尽に警察に襲撃された事件を扱っている。
この映画の共同制作者のタメ・イティは、2007年に警察が躍起になって探していたガイ・トゥホエ族の人で、
この映画に本人役で出演している。
実際に起きた事件では、人は死んでいない。
ニュージーランド政府が、テロリストに関する新法をたてに、
理不尽な強制捜査を先住民に対して行ったことが大問題になった。
人権だとか、差別的だとか、アメリカでよく耳にする先住民問題とだいたい同じ感じ。
タメ・イティは、この事件が起こる前から過激な活動家であり、アーティストとして有名な人物だった。
タメは見ての通り、ポリネシア系。
ニュージーランドは白人が押し寄せる前は、ポリネシア諸島から流れ着いた人たちが暮らす平和な土地だった。
なのに、あのジョン・クックが大英帝国からやってきて、イギリス領や!と言い出した。
1916年、先住民から土地をとりあげる法律を作っては、暮らしやすい土地を奪いまくる白人に怒った先住民が抵抗したら、
イギリス人に殺されたという、酷い歴史がある。
タメは、先祖が開拓した土地を取り戻そうと声をあげ、常識の範囲内で政府に抵抗し、メディアでも注目されている人物だった。要は、政治家たちにとってめんどくさい存在だったのだ。
またタメは、ルアトキの山奥に若者をあつめ、ガイ・トゥホエ族の伝統と先祖から伝わるサバイバル術を学ぶキャンプを主催していた。
そのキャンプの様子をたまたま通りがかった登山者が目撃し、
「なんか怪しい集団が武器を手に訓練している。テロリストちゃうか?」と通報したもんだから、さぁ大変。
タメがとる行動のすべてをテロリズムと関連して重要人物として警察の行動監視対象となり、強制捜査へふみこんだ。
住民への横暴な態度、子供たちさえもバスに監禁する配慮のなさ。完全武装した警察が、住民を大声で脅迫し、住民を理不尽におびえさせる。まるで、住民全員がテロリストかのように。
結果、理不尽に逮捕された18人のうち、正式に起訴されたのはたったの4人。しかも、テロリズムとは無関係で、銃器の不法所持の罪。身を護るため。
この一連の捜査と逮捕、裁判に政府がかけたお金は、5.5億円!
これにはさすがに、国民(白人含む)も怒り、なんちゅう新法や!と抗議活動勃発した。という着地らしい。
この映画は、新法の危うさ、警察の不誠実さ、先住民へのリスペクトが欠けた政府の視線に警告するため、架空の人物を登場させ、物語にインパクトをあたえて、多くの人の目にふれるよう工夫されている。
はじめこれはノンフィクションに多少の味付けをされただけだろうと思っていたが、
あまりにも悲惨で、愚かな事件なのに、ネット検索しても概要がでてこないから、
もしかして?ほぼフィクション?とおもって英語検索してみたら、こういう事情だったらしい。
わたし知らんかったんやけど、ニュージーランドの国王はイギリスの非常な男チャールズ3世なんだと。チャールズが国王気取りしてる国は、世界に16か国もあるのだとか。そういや、国旗にユニオンジャックあったもんな・・・。
きょうび、イギリス人のあのイヤなヤツを国王にしてるメリットってなになん?と、ChatGTPとCopilotにきいてみたが、パットした回答は得られず。両社とも同じ回答文だった。ようは外交時の「ブランド力」?イギリス製ニュージーランドとか?そんな感じ。もうニュージーランドは単体でブランド力あるんだから、チャールズにお引き取り願えばいいのに。でも、人口の半分以上がイギリス系になってるらしいから、イギリス系の企業の進出やらで、もう縁が切られへんのやろうな。
タダで国王やってるわけじゃないし、職務に対してニュージーランドは金払ってるってあったから、チャールズにも年間ン十億円は払ってるだろうに・・・。
イギリス人って、ながい歴史のなかでずっと悪者で、それを国民も自覚してるってスゴイよな。プライドが、悪人にさせるんやろうな。
調べ甲斐のある映画、久しぶりにみたわ。
時間をめっちゃ消費するから、なかなか手がつけられへんかった。
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2022年ニュージーランド
脚本・監督:テアレパ・カヒ
制作:タメ・イティほか
出演:クリフ・カーティス、ジェイ・ライアン、マヌー・ベネット、タメ・イティ、
・2007 New Zealand police raids - Wikipedia
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