映画 首 「愛」をいっさい感じさせない、残酷な演出 | 気むずかしい いろいろ

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めちゃくちゃ久しぶりに、映画館へ。

 

前情報、なんにもなしで見たから、戦国時代の男色についてこない真っ向に描いてるなんて、

大島渚の「御法度」以来、の衝撃やった。

 

戦国時代も、幕末も、男色って普通に受け入れられていたのに、

どうして現代はこう、特別なものになってしまったんだろうか。

やっぱり明治を境に、日本は変わってしまったのだろうか・・・・。

なんだか残念である。

 

北野作品らしさというか、北野武の価値観なのか、

男同士が接吻や性交をしているのだが、一切<愛>を感じさせない演出になっている。

 

そもそもこの時代、<愛>という言葉がなく<慕う>という言葉が最大限の表現と聞いたことがある。

<慕う>は、<受け入れる>でもあり、<従う>でもあり、契りに近い感覚なのかもしれない。

相手を征服する手段のひとつ。

武器の一つのように描かれていた。

 

情愛なんてものはなく、支配するため、生きるため、所有欲を満たすための武器の一つ。

誰も信用できず、誰にも心を開かず、油断を一切許さず、一瞬のスキを狙う男たち。

 

人の命は、意のまま。罪悪感も、躊躇もない。

のし上がるためなら、なんでも利用する。

 

スゴイ物の捉え方やな。

この映画、スプラッター的描写はかなり抑えられていたけどその分、

心の残酷さがエグい。

 

 

親兄弟を大切にしろ。

自己中心的ふるまいをするな。

人を傷つけるな。敬え。

感謝しろ。

 

ちゅう倫理観でがんじがらめな令和の現在の日本人と

ほんとうに同じ日本人なのか?と思わずにはいれない演出。

 

三谷幸喜「鎌倉殿の16人」とは真逆の描き方。

だれも正解を知らないが、北野武演出の方がリアルなんちゃうかと思う。

 

 

 

直接は殺さないけど、資本主義の上位数%は、追い詰める、なすりつける、見殺すをやってるから、

現代は巧妙になってるだけか。

本質は変わらないのかもしれない。

 

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2023年日本

 

原作:北野武「首」(角川文庫/KADOKAWA刊)
監督・脚本・編集:北野武
出演:西島秀俊、加瀬亮、中村獅童、木村祐一、遠藤憲一、勝村政信、寺島進、桐谷健太、浅野忠信、大森南朋、六平直政、大竹まこと、津田寛治、荒川良々、寛一郎、副島淳、平原テツ、小林薫、岸部一徳

 

木村祐一のヌケ忍、めちゃよかった。

荒川良々の「えっ?」は、彼にしかできない間。

平原テツでてきて、テンションあがった。

中村獅童もよかったが、舌が真っ白で撮影時、緊張で胃を悪くしたんだろうか、そういうトコロが気になって仕方がない。

 

口の中ぐちゃぐちゃにするシーンは、思わず手で顔を覆ってしまった。

もうスプラッターが見れないお年頃になってもうたわ。

 

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信長って、ほんとうはどんな人柄やったんだろうか。