AD配信 #シカゴガール ネットVS独裁者 | 気むずかしい いろいろ

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2023年現在、10年以上続いたシリア紛争は、いったん沈静化している。これを紛争と呼んでいいのかどうか。シリア国民は、10年以上、自国の大統領に砲撃をくらっていたのだ。政権交代を叫ぶ国民をかたっぱしから殺す行為を、“紛争”とは呼べない。アサドが殺した自国民は、30万人以上。

 

アサド大統領による国民殺しがはじまってすぐ、アサドは海外ジャーナリストを追放した。国内のジャーナリストが国外に発信しするのを阻止するため、シリア国内のネット環境を封じた。こうしてアサドは、自分の悪行を国外にバレないように封じ込めたのだ。アメリカやヨーロッパ、国連にバレると、介入されるから。それを畏れて情報を遮断した。

 

それでもシリア国民は、若者を中心に現状を撮影し、弱い電波をたよりにクラウドにデータをアップロードするか、国外にデータを持出し発信し続けた。国外からの援助を得るために。アサドの殺人を止めさせるために。

 

現地から集まった情報や映像を集約し、英訳して、世界に発信しなおし、シリア国内の革命を援助しているのがこのドキュメンタリーの取材対象の少女。シカゴに暮らす19歳の女子大生だ。彼女自身、シリアのマダガスカル出身で、アサド政権に嫌気がさし早々に、家族そろってアメリカに移住した経歴がある。

 

彼女は学業がおろそかになるほど、24時間365日、SNSを駆使して革命を支援する。だが、アサド政権の攻撃はいっこうにおさまらず、銃撃から砲撃にかわり、死者も増える一方。ながびくほどに、仲間を失う知らせをうけ、失望する。アメリカとシリアの距離をかんじ、もどかしさも感じる。

 

そしてついに彼女は、彼らのそばで支援するため、医薬品などの支援物資を持ってをシリアに渡ることにしたのだが・・・。

 

このドキュメンタリー映画は2018年公開だ。アサド政権の攻撃は、2018年もっとも残虐化した。2018年以前に彼女が失望したアサド政権の残虐さは、まだまだ序の口だったのだ。2018年アサドは自国民に、サリンガスと塩素ガスを撒き、女子供も皆殺しにした。国を牛耳るサイコパスなのだ。

 

 

2023年現在、シリア国民はようやくアサド政権からの砲撃におびえず、普通の暮らしを送れるようになったが、破壊の限りをつくされたシリアは、現在、経済的に困窮している。そして完全に平和になったわけでなく、まだ地方では攻撃がつづいているとあった。

 

そして、そもそものはじまりは「打倒!アサド政権」だったのに、アサドはまだ平気な顔をして外交をしている。あの市民の犠牲はなんだったのだろうか・・・・。

 

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2013年製作/アメリカ・シリア/作品時間74分

監督・プロデューサー:ジョー・ピスカテラ  

エグゼクティブプロデューサー:エド・カニンガム  

プロデューサー:マーク・ラインハート

 

 

▼ほんとアジアンドキュメンタリーは勉強になる。

 

 

 

▼この世に神がいるのなら、なぜ神はアサドを守る?罰を与えてくれ。体を最小限までもいでくれ。

 

 

▼おそらくこの映像が、最近のダマスカス。


 

▼どうかこのまま笑顔でいられますように。

 

 

<アジアンドキュメンタリーズより あらすじ>

シカゴ郊外で暮らす19歳の女子学生が、内戦の続くシリアでSNSを駆使しながら現地の活動家を束ね、アサド政権の打倒に動く「革命」を率いる姿を描いたドキュメンタリー映画。インターネットの普及により、彼女はアメリカに居ながら現地のデモを組織し、シリアから届く情報を英訳し、動画をアップしていきます。報道機関がそれらをニュースソースとして使用し、世界にシリアの惨状を伝える発信源になりました。一人の市民がSNSで発信した情報により、国家の歴史が変わることもありうる時代が到来しているのです。SNSで情報を共有する現地の仲間たちは、常にシリア政府からの拷問の危険にさらされていました。パスワードを自白させ、組織の実態を暴かれる可能性があったのです。これは、新時代の「革命」のあり方を示唆するドキュメンタリー映画ともいえます。


 

◆iPhoneやネットが銃に代わる武器になるか◆

かつて、新聞やビラは民主化運動にとって重要な役割を果たしました。インターネットは、それに代わるツールとして大きな役割を果たすようになりました。チュニジアでは、54年間続いていた独裁政権がSNSによって崩壊しました。人々がネットを活用する速さと情報量が、大きな力を持ったのです。それは「共感」を力に変えるツールともいえます。一方で、情報が権力者の手に落ちれば、相手にとっても武器になります。たとえiPhoneやインターネットを通しての革命であっても、活動家たちは命の危険にさらされるのです。それでも、シリアの現状を、国民が自らの手で世界に伝えることが可能になったことは、独裁者や権力者と対峙する上で、大きな力を手にすることになるのです。