文楽 傾城恋飛脚/壇浦兜軍記 琴と三味線と胡弓の演奏にシビレタ | 気むずかしい いろいろ

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会社の勉強会で、先輩方と鑑賞。

はじめて文楽の楽しみ方がわかり、いたく感動してしまった。

 

これは、舞台の上に字幕をつけたり、イヤホンガイドを用意したり、

初心者でも分かるように工夫されてた賜物やと思う。

 

人間国宝の桐竹勘十郎氏率いる、人形遣いの巧みな技に、息をのんだ。

びっくりした。

 

 

◆傾城恋飛脚

罪人の息子と、息子を想う父と。雪が降り積もる極寒の冬、親子の今生の別れをしみじみと描いた作品。

現代の映像であれば、5分ぐらいで描いてしまうシーンを、ものすごく長々と演出する。

それこそ“たっぷり”と。

 

だからこそ、息子を想う父の愛情と、父を苦しませてしまった息子の懺悔と、男を狂わせてしまった遊女の定めの悲しさとが、切々と胸にくる。人形が生きているかのようにみえ、ほんとうに悲しい物語だった。

 

素にもどると、死罪になってすぐに捕まるのわかってて、なんで公金に手を出す?遊女・梅川も、数日の自由のために、追われて追われて、死ぬのわかっていて、なぜ一緒に逃げる?という疑問がわくが、好いた人と夫婦になるのがとても難しい時代だったのだろうか。

 

近松心中もそうだが、見受けしないで、浮気した方がよっぽどマシやで!と思うが、それでは物語にならんのだろう。あの雪のシーンは、めちゃくちゃ美しかった。

 

 

◆壇浦兜軍記

琴、三味線、胡弓の演奏をじっくり堪能した。

1曲10分ぐらいある長尺。

 

花魁・阿古屋が愛した男・平景清の居所を知らないことを証明するため、武士のまえで一糸乱れぬ演奏をするこの場面。

少しでも乱れたら、阿古屋が嘘をついたとなる、緊張感の続く演奏。

とちったら台無しになる30分弱。

まったく乱れナシ。

 

人形遣いは人形を見続け、楽器演奏者は舞台をみずにまっすぐ前をみる。

どちらも微動だにしない集中力。

指揮者もいないのに、弦をはじくタイミングがぴったり。まったくズレない。

 

どうやって合わせてんの???とビックリする。

それはもう、なんどもなんども手がちぎれるほど練習した成果やと思うねん。

 

人間国宝とは、こういうコトかと。

胡弓の微細な弓使いに、シビレた。

 

めっちゃシビレタ。

 

 

ほんとうにコレすごかった。生半可な気持ちでは挑めない演目だと思う。

短い楽曲になれた昨今、1曲あたりがめちゃくちゃ長かったけど、ずっと聴いてられた。

 

すっごいもん見れた。

 

文楽4回目だけど、ようやく見方がわかってきた。

凄さがわかってきた。

うれしい!楽しいことが一つ増えた。

 

 

外人客がけっこういたのだけど、1幕で帰ったのが残念。

2幕であれば日本語わからんでも、演奏のシーンで感動できたはず。もったいない!

 

 

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2023年1月25日 令和5年初春文楽公演 千秋楽

@国立文楽劇場

・傾城恋飛脚(けいせいこいびきゃく) 新口村の段
・壇浦兜軍記(だんのうらかぶとぐんき) 阿古屋琴責の段

 

 

人間国宝:桐竹勘十郎

 

 

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<今日のいちまい>

観劇のあとは、兄さん方と裏難波へ。

 

久しぶりに楽しくて、充実感のある飲み会だった。

文化的な話もできて、めっちゃ楽しかった。

 

会社の人といくと、仕事と職場のメンバーの愚痴と悪口ばかり。

知らない人と店でしゃべると、浅い会話になって物足りない。

 

利害関係がなく、

共通の文化と、言語があるグループ会社の兄さん方、めっちゃいい飲み仲間やわ。

めっちゃ楽しかった。

 

あざっす!