映画 モンスター(2003年) セロンもクリスティーナも、タルタルに太って役作り | 気むずかしい いろいろ

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シャーリーズ・セロンが10Kg以上増量して挑んだ、実在する悲しい殺人鬼アイリーン。

うつくしい体をタルタルにして、底辺をはいずって生きてる女を演じている。

すごい覚悟。

 

がしかし、クリスティーナ・リッチだってえげつない役作りをしているのだ。

こっちも10Kg以上増量してセルビー役に挑んでいる。

“小太り”で誰にも相手にされない、女を実にリアルに演じている。

こっちも賞をとってもおかしくない覚悟。

 

アイリーン33歳、セルビー22歳ぐらいの設定。

 

 

娼婦アイリーンと、レズビアンのセルビーがバーで出会い一緒に暮らすことに。セルビーは、レズビアンであることが両親にバレ、世間体を気にして田舎町に追いやられた身だ。職につかず、アイリーンに生活費をせびるような、自立心のかけらもない女。年をとったアイリーンに、客はなかなかつかず、ふたりの生活はすぐ窮地におちる。

あせったアイリーンは、質の悪い客をつかまえてしまい、手足を縛られレイプされ、逆上し客を銃で殺して金を奪った。

 

大金をもってかえるとセルビーが大喜び。セルビーに愛されている実感がまし、調子にのってセルビーに大口をたたく。

キャリアウーマンになって、リッチな生活をさせてやる、と。

学もなく、職歴もなく、犯罪歴しかないいアイリーンの就活はうまくいくわけがない。

 

ビーチパーティーで 散々 遊んだ女が

勉強した人間と同じになれると思うな

 

と冷たくあしらわれる。

 

 

セルビーに稼ぎが悪いと責められ追い詰められたアイリーンは、娼婦にもどり客を殺して生活費をかせぐことにした。底辺で生きる女が、どん底にまで落ちる。どんどん転げるおちる自分に怯えながら、愛するセルビーに縋るように生きる。

 

だが、人殺しの生活が長続きするはずもない。

 

あの女は 生まれつきの落伍者よ

ニガーとおなじ

 

彼らが悪いんじゃないの

わたしは差別主義者でも 何でもないわ

 

でも 彼らは常に選択を誤るの

そしてそのツケを払うのよ

 

あなたもレズビアンとしておなじような過ちを・・・

 

みんな 苦労をかかえながらも向上するのよ

でないと世の中は娼婦や麻薬患者ばかりになる

 

 

セルビーが世話になった家主の妻が、セルビーを心配してかける言葉に戦慄が走る。

いろんな偏見をギュッと凝縮した、おそろしいセリフだが、

80年代のアメリカのマイノリティーに対する偏見を表している。

 

アイリーンは、父子家庭でそだち兄弟たちを食べさせるために、幼くして体を売る生活におちた事情がある。決して遊んでいたわけではない。

 

80年代、生活のため学べなかった者にチャンスはなく、世間の偏見と思い込みは激しく、さらに虐げられていた。貧しい家庭への支援がなく、子どもが働かざるをえない現実があった。だが、世間はその人たちを厳しく見捨てた。

 

アイリーンのこの事件は、アメリカの社会問題の象徴となっていたのだ。

 

どこで歪んだのか、アイリーンの性格もあいまって、ほんとうにどうしようもない人間に落ちているのだ。正直、わたしはこの二人に、同情のかけらも湧かなかった。

 

 

男と、世間に対する怒り。うまく行かない日々への憤り。セルビーの愛を受けるための強がり。

すべてが、痛々しく、ぶざまな女だった。

ちょいちょいシャーリズ・セロンを思い起こさせる場面があるが、みごとにぶざまな女だった。

 

そして、クリスティーナ・リッチ演じる、自立心のかけらもないセルビーも、クズだった。

たぶん、この映画で一番の性悪が、セルビーだと思うねん。

 

みごとなWクズ演技だったよ。

 

実在する殺人鬼をモデルにした映画だけど、

フィクションも多く入っている。セルビーの設定はだいぶん違うようだが、

逮捕されたとたん、すぐに警察にねがえって、アイリーンに見向きもしなかったそうです。

 

ま、そりゃそうだね。

 

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2003年アメリカ

脚本・監督:パティ・ジェンキンス

出演:シャーリーズ・セロンクリスティーナ・リッチ

 

アマプラにも、ネットフリックスにもない映画。

ツタヤでレンタル。

 

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<今日のいちまい>

スマホを、Xperia Ace IIIにかえたら、

腰抜けるほど、性能が悪い。

 

ピントがぜんぜん合わないし、暗い場所での撮影に弱いし、

モードもなくなってるし、コントラストも弱いし、明かりの微妙な調整がぜんぜんできない。

 

ブレる。

 

コストさげるためにカメラの性能おとしたのだろうか。

7年前の機種の方が、だんぜんキレイにうつる。

 

スピーカーの音も悪い。これは本体がプラスチックになったからだと思う。

 

カメラのソニー、ウォークマンのソニーのプライドを、すべて捨てた最悪のスマホ。

ま、会社の支給品だから仕方ないけど、ほんまに最悪。

 

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外は激寒なのに、室内の観葉植物は、新しい芽が吹きだしてる。

植物的には春の認識なんだね。