映画 スターリン葬送狂騒曲 ソビエト幹部の浅ましさに大爆笑!イギリス ブラックコメディ。 | 気むずかしい いろいろ

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難しい映画、次はロシア前のソビエト。

スターリンをテーマにした映画だから重いんだろうなと思ったら、大爆笑。あまりにもストレートな浅ましさに、大爆笑。

ブラックコメディ―さが独特だなと思ったら、イギリスとフランス制作だった。すっごい納得。イギリスのブラックが効いてる。

めっちゃおもしろかった。

 

コメディだから詳細や会話内容は作り話だろうが、

スターリンの残忍な独裁者っぷり、そのカリスマがいなくなった途端、後釜をねらって浅ましい足の引っ張り合いをする8人の幹部たちの会話が滑稽。ソビエト時代の情報はほとんど知らんから、画面上ではあたりまえのように進められる幹部たちの日常に、驚きっぱなし。こんなに簡単に人を殺し、国民を馬鹿にしてるなんて。ロシア国民が気の毒。反政府活動をする国民を片っ端からとっつかまえて、同胞を売らせ殺す。それに加え、政治関係なく幹部にとって都合の悪い人間も、つぎつぎと無実の罪をおわせて殺す。ほんとうに、人の命が軽い。

 

これほどでないにしろ、中国がウイグル地区の民族やロヒンギャにしている悪行もこれ以上にひどかったりする。あぁ、世界にはもうまともな国はないのだろうか。

 

ちがう。この映画は嘆いているのでなく、嘲笑っているのだ。そんな浅ましい人たちを。

 

 

1953年に脳卒中したヨシフ・スターリン。執務室内で倒れたが、だれも無断で部屋にはいれないため発見されたのは朝食を運び入れた時。下々の人間が勝手に救急車を呼べないため、執務室の入り口を警護していたNKVD(KGBみたいなもの)がNKVD最高責任者に連絡。そして幹部全員8人が集まり、医者を呼ぶかを協議。腕のある医者は全員、逮捕。残っているのはヤブばかり。救えたかもしれない命を、スターリンのププライドをまもるためもたもたする幹部。

 

 

NKVDの元最高責任者ラヴレンチー・ベリヤ。スターリンが指示した「大粛清リスト」を基に、人々を大量虐殺。気に入った女がいれば拉致して強姦。その中には幼い子供も含まれる。映画の中ではでぶっちょのオジサンが演じているのは、コメディ色を出すためと思われる。スターリンの死後、急激に穏健派に。粛清リストの中止、軽犯罪者の釈放などをうちたて、ヒールが、ベビーフェイスに転向する。その手のひら返しが激しく、立場を利用して強行したため、他の幹部から反感をかい、粛清される。眼鏡が鼻で止まるっていいよね。

 

 

スターリンの補佐役ゲオルギー・マレンコフ。スターリンの死後、ベリヤにそそのかされて最高指導者に。ただ、考えがブレまくる男で、人の意見に流されやすくたった9日間で辞任。まぬけな大男として描かれている。

 

 

中央委員会 第一書記ニキータ・フルシチョフ。これをスティーヴ・ブシェミが演じている。こざかしい野心たっぷりにオジサンを演じている。ライバルだったベリヤを粛清するため、罪をなすりつけ大騒ぎし、流されやすい同僚を丸め込む。必死。
 

この映画に出てくる幹部たちはただのオジサン。威厳も、カリスマ性もない。町内会の会合のようなまるで酔っ払いの戯言。そこに皮肉なおかしみがある。ここで描かれているソビエトの歴史は悲惨で、目をそむけたくなるが、それを画策する人間の本質のバカバカしさをものの見事に描いている。

 

久しぶりにみたブラックコメディ。モンティー・パイソンのような、風刺たっぷり。おもしろかったー。さすがイギリス!

 

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2017年イギリス・フランス

原作:ファビアン・ニュリ、ティエリ・ロビン 『The Death of Stalin』

監督:アーマンド・イアヌッチ

出演:スティーヴ・ブシェミサイモン・ラッセル・ビールパディ・コンシダインルパート・フレンドジェイソン・アイザックスオルガ・キュリレンコマイケル・ペイリンアンドレア・ライズボロー、ポール・チャヒディ