ずっと画面に釘付け。
動く油絵から目が離せない。
ゴッホのタッチとはやはり異なるけれど、
アニメーターでなく、純粋に油絵技術を持った画家を世界20か国以上から、
125人の画家の手によって描き出された65,000点!
想像を絶する作業時間。
昔のアニメもそうだったんだけど。
タッチはゴッホに似せてはいるが、より写実的に描かれている。
色使いも、若干ことなるがゴッホが描いた絵画をベースに動き始めるから、
それはそれは美しい。
映画はまだまだ新しいことができるんだなと、可能性の広がりを感じた作品。
物語はゴッホが死んだ翌年から始まる。
ある郵便局長の手元に、ゴッホが実弟テオに宛てた手紙が届けられた。
配達しようにも住所不明で戻ってきてしまう。
そこで、郵便局長は自分の息子アルマンに手紙を託し、テオに届ける旅がはじまる。
アルマンは、ゴッホが最後に過ごした小さな村に到着し、
テオはすでに死んでいることを知らされる。
ならば手紙を誰に渡すのがいいのかを思案し、村人に聴きまわるうち、
フィンセントの死に疑問がでてくる。
「本当に、自殺したのか?」
フィンセントが定宿にしていた宿屋の娘、
フィンセントの健康状態を管理し、彼の作品の理解者だった医師とその娘、
いろいろな人に話をきけばきくほど、混乱するアルマン。
そして兄フィンセントを金銭的に支援していた弟テオの苦悩。
フィンセント・ゴッホは、80点以上の作品をのこしたが、
生前に売れたのはたったの1枚だった。
弟は兄を支援するため全財産をつぎこみ、生活は困窮し、
梅毒第3期になっていた。
ネタバレになるが、アルマンが行きついた結論は、
ゴッホは街の誰かに腹を撃たれたが、
これ以上、弟家族を苦しめたくなくて、死を望んでいたため、
自分で撃ったと主張したのでは、と。
はじまりは、父に命じられてイヤイヤはじめた旅だったが、
ゴッホという不器用で、孤独で、天才な人物に惹きつけられ
彼のために何かをしたいと自ら動き出すアルマン。
彼が動いたことでつまびらかになった事も多く、
そこに焦点をおいて物語をつくったこの映画も面白い。
ゴッホが描いたアルトマン。
いい映画でした。
_______
2017年ポーランド、イギリス、アメリカ