まだ観ていないのなら、レビューを読むのは見送ったほうがよい。
何も知らずに観て欲しい。
ホラー映画として観ると前作「ゲット・アウト」を超えた怖さがある。
前作はちょっとした社会風刺だったが、
今回は分かりやすいものではなかった。
それでも気味悪く、寒気がする。
血や傷口は大して出てこないので、スプラッター苦手な人でもだいじょうぶ。
映画は3人の家族が夜の遊園地を訪れているシーンからはじまる。
母親が父親に5歳ぐらいの娘を「ちょっと見てて」と言って、場を離れる。
父親はゲームに夢中で娘を見ていない。
娘は当然、ひとりでブラブラしはじめる。
ここまで観て、「ははぁ~ん、遊園地で行方不明になった娘が、数年後に発見され何かがおこるんやな」と推測したが、
娘は15分後にあっさり見つかる。ここまでは1986年の出来事。
そして現在。父母娘息子の4人家族がサンタクルーズでヴァカンスを楽しむシーンにかわる。
4人家族の母親はオープニングで迷子になった少女が成長した姿で、サンタクルーズは彼女の故郷。
故郷に戻っても落ち着かず、誰かに見られているとソワソワする。
そして一家がサンタクルーズの遊園地のあるビーチを訪れた夜から、恐怖ははじまる。
<気に入ったシーンと気になるところメモ>
はじめの小さな違和感。
車でビーチに向かう途中、
音楽にあわせて母親がフィンガースナップ(指鳴らし)を息子に教えるが、
リズムが微妙にあっていなかった。
真夜中、敷地の外に手をつないで佇む知らない家族。
怯える家族。立っているだけで、まだ何も危害を加えていない。
危害を加えられていないが、次の展開を想像してじわじわと恐怖感が高まる。
合図とともに子供たちがゴキブリのように散るところで、鳥肌が。
瓜二つの顔をもつ二つの家族が対面。
赤い母親が一瞬、手を広げた時、友好的態度を示すのかと思いきや、
敵意むき出し。
母親だけが言葉をしゃべれる。
赤い分身に襲われた時、ワーキャーわめかず、
言葉は失うも、素早く、機転を利かせて動く娘と息子がよかった。
母親も恐怖に固まるも、キャーキャー叫ばないのがよかった。
※分身をドッペンゲルガーと書かれているが、ちょっと違うような気がするので「赤い分身」とする。
これまで冷静に対処していたはずの母親が、急に母性本能が働き、
赤い分身の娘と息子を殺すのをためらいはじめる。
息子はどこで「罠だ!」と気が付いた?
そしてなぜ急に鏡のように操れるようになった??
後半、どんどん種明かしされる。
どんどん気持ち悪くなる。
そしてちりばめられた伏線が回収される。
<伏線回収(ネタバレあり>
・行方不明後しばらく、喋られなかったのはなぜか。
・プロになれるほどバレエの才能があったのに辞めたのはなぜか。
・なぜ赤い分身のオカンだけが言葉を喋れたのか。
・オカンが赤いオカンを襲う時、一瞬獣のようにうなり声を上げたのはなぜか。
・オカンのフィンガースナップがリズムをとれていなかったのはなぜか。
<分からなかったところ>
・クローンたちは誰が何の目的でつくった?
私なら労働力として使うが、何の役にもたっていない。
・なぜ息子と分身が急にシンクロして鏡面のような動きをした?
・分身全員分の赤いジャンプスーツを揃える財力はどこに?
まぁ、ぜんぶがぜんぶ説明がつくようではホラーとして面白くないから、これぐらいでいいのだけど w。
↓作中で一切補足がなかった「エレミヤ書11章11節」について調べてみた。
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こっからは余談まったくの余談。
エレミヤ書11章11節を調べてみた。
マジで、こんな言葉を信じてる奴いるの?
どこまで「一神教」って、愚かな教えなの?なにこれ?
こんな気が狂った言葉を神の言葉としてとらえてたら、そら戦争もおきるわ。
乱暴に要約すると、こんなカンジ。
お前たちは先祖代々、わたしとしていた契約をやぶり、別の神を信じた。
わたしの言葉に従わないなら、お前たちの上に災いを落とす。
災いが起きても、従わなかった者の言葉に耳をかさない。
お前たちが信じている神は、お前たちを救えない。そんな力はない。
救えるのは主であるわたしだけだ!
これ、ヒトラーの言葉としても違和感ないやん。
ただの独裁者やん。人を従わせるのに脅迫してるやん。
なんじゃ!この器のちいさい「神」はっ???!!はっ??
これ書いた奴、イカレてるやん!
預言者かなんか知らんが、ただのイカレやん!
なんで信じる?なんで現代でも通用させてる?
読めば読むほど、腹たってしゃーない。
せっかく恐ろしく怖い映画だったけど、これ調べたら白けた。
この旧約聖書の話はアメリカでは一般的なんだろうか。
アメリカと日本では宗教観がぜんぜん違うから、
この言葉の捉え方はぜんぜん違うだろうな。
私は暴力や人殺しを正当化する宗教は、全面的に否定する。
全体をちゃんと読まないと、本意は分からないのかもしれない。
それでも、ギブ&テイクを求めるものは「神」じゃない。「商売」だ。
言葉巧みな奴が儲かるように、利用されているだけ。
戦争の歴史を紐解くと、きっかけはいつも宗教に便乗した独裁者かビジネスマンが作っている。
調べるんじゃなかったーーー。白けたわーー。
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2019年アメリカ
監督・脚本:ジョーダン・ピール
出演:ルピタ・ニョンゴ、ウィンストン・デューク、エリザベス・モス、ティム・ハイデッカー