2017年5刷、けっこう売れた本のようです。著者の岩堀先生は医学部の解剖学教授であります。よって他の進化論の本と異なりまずは動物の比較解剖学・組織学という論点から話は始まります。
比較解剖学というのは種類の異なる動物を解剖して得られた知見の異同を知る学問でして当然ながら手作業です。組織学は顕微解剖学ともいいつまりは顕微鏡で標本(プレパラートといいます)を観察する学問です。このプレパラートを作るのに非常な手間と時間がかかること、ご存じの方もいらっしゃることと思います。
それに加えて様々な文献の渉猟があります。全ての動物を自分で解剖する訳にはいきませんからいきおい内外の文献を博搜することになります。
他の進化論者が楽をしているなどとは決して申しませんが岩堀先生のご努力が血の滲むようなものであることは確かだと思います。本書を特徴づけるのはページを彩る多数の図版ですが、本書を繙くとき先生のご努力にも想いを致して頂きたいと願う次第です。
本日もお付き合い下さりありがとうございます。