アッシャー邸の崩壊、と言えばポオのゴシック調名作であります。ここではブラッドベリ「火星年代記」から第2のアッシャー邸、をご紹介します。ポオに対するパロディかオマージュか判別しにくいところです。ただひとつ言えることは痛快極まりない統制社会への反撃ということです。

思想統制が始まった近未来の地球、スタンダール氏は書庫を焼かれて火星へ移住します。そこで建設したのがポオを上回るゴシック調荒涼とした「アッシャー邸」でした。

スタンダール氏は長い時間をかけて慎重に道徳風潮局のお役人と親交を結んでいました。なぜって?もちろん20年待ちに待った復讐を遂げるためです。

スタンダール氏の招待を受けた客人たちはポオの小説の通りに殺されて行きます。オランウータンに喉を切られて煙突に突っ込まれる、4匹の白ウサギに担がれて地下の階段に連れ込まれる、等々。

特筆したいのは道徳風潮局監察官ギャレット氏です。スタンダール氏は犠牲者のロボットを用意していたので惨劇は単なる見世物と思っていたのです。

それでも気分が悪くなりスタンダール氏が勧めるアモンティリャアド酒を3杯飲みます。酔ったところを鎖をかけられレンガの壁に塗り込めるのです。ああ、ポオの小説を読んでいたら死なずにすんだかもしれないのに。

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