『Wild Horses』Gram Parsons | ジョリのブログ

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 世界最高のボーカリストを選ぶのだとすれば、ジョン・レノンでもビリー・ジョエルでもスティーブ・ペリーでもミック・ジャガーでもなく、グラム・パーソンズじゃないかと思うことがよくある。というよりもグラム・パーソンズしかいないんじゃないかと本気で思ってしまう。

 グラム・パーソンズの魅力は、ちょっと説明しにくい。シャウトするわけでもないし、音程もちょっとずれているような、ちょっと下手かもしれないと感じることもある。

 それでも、あえてグラム・パーソンズの良さを表現するなら、中庸の良さ、つまり、普通の歌い方の良さ、というところだろうか。

 力をこめずに普通に歌っている声がいいのだ。低音と高音やいろんなものが混ざりあって、絶妙な声をしている。

 声の優しさ、気高さ、上品さ、ふっと力を抜いたときの、ため息のような歌声。しっとりとして、しみじみとした情感にあふれ、それでいて何か遠いあこがれを感じさせるような、たまらない雰囲気を持っている。この『Wild Horses』を聴いていると、どこか中原中也の切なくてあこがれに満ちた詩が浮かんでくるような気になる。

 

 キース・リチャーズとグラム・パーソンズは友達で、かつキースはグラム・パーソンズとんでもなく評価していた。キースのインタビューとかネットの記事なんかを読んだが、グラム・パーソンズに対するキースの思いいれはすごいものある。

 この曲はキースが作曲して、ミック作詞したらしいが、曲として最初に世の中に出たのはグラムパーソンズがボーカルをしていたフライング・バリット・ブラザーズのレコードのリリースが先とのことだ。その後で、ローリング・ストーンズのアルバムにこの曲が入った。

 ミックの歌う『Wild Horses』もとてつもなくいいが、それでもこの曲に関して言えばグラム・パーソンズの歌う、フライング・バリット・ブラザーズの方が断然いい。それも、これもグラム・パーソンズの歌のおかげだ。

 

I watched you suffer a dull aching pain
Now you've decided to show me the same
No sweeping exit or offstage lines
Could make me feel bitter or treat you unkind
Wild horses couldn't drag me away
Wild, wild horses couldn't drag me away

 

I know I've dreamed you a sin and a lie
I have my freedom but I don't have much time
Faith has been broken tears must be cried
Let's do some living after we'll die

 

 ただやんわりと歌っているようで、じっくりと聴くと、魂を揺さぶるような切ない歌い方なのだ。

 

 グラム・パーソンズ自体は、わがままでクセのあるちょっと変わった人だったらしい。フライング・バリット・ブラザーズでは、酒を飲んでライブに遅刻したりして、クリス・ヒルマンに首にされている。

 金持ちのボンボンで、ハーバードを中退している。父親が早く亡くなり、お母さんが金持ちと再婚して、その母も病気で亡くした。義理の父とは仲が悪く、母のことで大げんかをしたとか、そんなことも書いてあった。場の空気は読まず、ちょっと鼻につくような態度で、そして心に傷を持った、そんなクセのある人間だったらしい。それでも、歌は最高だ。

 グラム・パーソンズの歌は、心の底から揺さぶるような歌だ。この曲をいいと感じる人は限られるかもしれない。 全然、いいと感じない人もいるのもわかる。きっとそういう人も多いと思う。

 しかし、このグラム・パーソンズの魅力に取りつかれてしまうと、この声は、まさに唯一無二の声だと感じてしまう。