日本を離れていた間、家財道具はトランクルームに預けていました。

どうしても捨てられなかった家具や海外では使わないだろうと思ったもの、あるいはインテリアや食器類などもダンボールに詰めて日本に置いていたのですがそれが約6年ぶりに我が家へ戻ってきました。


ダンボールを一箱ずつ開けるたびに懐かしさが箱から溢れ出てきます。

旅行に行ったときに買った置物だとか、昔読んだ本だとか、写真とか。どれもこれも懐かしいものでしたが、ダンボールの隙間に詰め込まれていた新聞紙は広げて見るとそこだけ急に6年前の異次元空間に戻ったような不思議な感じがしました。日本の首相がまだ森さんですから。。。


そのあと、先週の金曜日には同期入社のメンバーが集まって送別会を開催してくれました。

入社したときはみんな学校出たてのまっさらでしたがその後20数年間、同じ会社の中でそれぞれの道を歩んで来た人たちはそれぞれの人生を顔に刻んでいるように見えました。


仕事でも苦労を重ねてきたでしょうし、プライベートでもいろいろなことがあったようです。それでも同じように齢を重ねてきて人生後半に入った人たちには何が幸せかということが問いかけられているのではないかと思えました。

会社の中で地位が上がること、病気もせず健康であること、自分の家を建てること、子供が有名な学校へ入ること、結婚せず気ままに生きてきたこと。。。皆それぞれ一生懸命生きてきた人生です。


お酒が進むに連れて昔話に花が咲き懐かしき日々が思い出されてあの頃に戻ったような気持ちとなり、居心地の良い暖かい場所へ帰ってきたような錯覚を覚えました。それは今の自分が決して不幸せだということではなく、頑張って生きてきた自分を再確認することでもあるのかもしれません。


翌朝になって、懐かしき思い出が鮮明であったからこそ過ぎ越してきた日々の長さを感ぜざるを得ませんでした。

新しい生活を始めようと準備中ですが、一番時間が掛かるのが電話の設置でした。


快適なネット環境を手に入れようと思ってNTTで光フレッツを申し込んだのですが、工事に来てくれるまで2週間かかるとのことで、やっと昨日になって電話とインターネットが開通しました。

今までは東京のうちへ戻ったときだけメールを拾い、ブログを更新してましたがこれからは毎日チェックできます。


少し前まではインターネットの世界はバーチャルワールドと言われてきましたが、ネットの繋がらない暮らしをしていると情報量が極端に少なくて現実世界のことも分からなくなってしまうのだということに気がつきました。ネットの中の世界がバーチャルではなく、リアルな暮らしに変わってきているのでしょうか。


とは言えネットの中のバーチャルワールドも存在し続けていますが匿名性を利用した無責任サイトよりも匿名でありながらも信頼性の高い正直なサイトが増えているような気がします。特に簡単にネット上に情報を公開できるブログが普及してきて自分のありのままの姿をそこに書き残したいという人が増えているのではないかと思っています。


無数の情報が氾濫するネットの世界でハイクオリティな暮らしをするということはどういうことなのか。

今はその答えはありませんが、これから考えていかなければいけないテーマだと思っています。


スッキリしない記事になってしまいましたが日本へ戻って実感しているドイツの暮らしとの違いが生み出すさまざまな戸惑いに自分で決着をつけることができていない現われですね。

何となく今だエトランゼです。



昨夜も送別会。有り難いことです。


今回は私の元上司も引退されるので一緒の送別会となりました。

昔一緒に仕事をした仲間がたくさん集まってくれて嬉しかったのですが、私にとっては送別会というよりも同窓会のような感じがして、昔話に花が咲いてとても楽しい宴でした。


幹事を務めてくださった方が趣向を凝らして、プレゼントだけでなく卒業証書を作ってくださいました。そこには長い会社生活を労わる言葉だけではなくその長い会社生活での歴史が表になって書かれていました。昔々のことなどは古い話を知っている人に聞いたりして作られたのだと思いますが、そこまで私の為にしてくれたということがとても嬉しくて、少しばかりウルウルっとしてしまいました。


会社勤めの中で仕事としての成果も確かにあったとは思いますがそれはいつか消え去ってしまうものです。だけど、昨日集まってくださった人の気持ちはいつまでも私の中で消えることはないでしょう。そして、その人たちといつまでも繋がりが持てれば良いなと思いました。


皆さんどうもありがとう


幹事も方々には特別に感謝します。

(ものもらいに罹ってしまったそうですね、お大事に)

東京・六本木の国立新美術館でモネ大回顧展を見てきました。


国立新美術館は今年の1月にオープンしたばかりの新しい美術館で、黒川紀章氏が設計したことでも話題になりました。ガラス張りの建物ですがたてよこに湾曲した面がガラスの持つ無機質な感じを打ち消し躍動感ある形が表現されていて、外から建物を見るだけで中に展示されてる作品への期待感が高まるような素晴らしい美術館です。


モネ展は7月2日までの開催ですので残りあと数日です。会期末だったからでしょうか、平日の午前中に行ったのにたくさんの人で混み合っていました。

ざっと見た感じでは9割が中高年の女性です。お友達同士、2人3人と連れ立ってモネ見物なんですね。会社勤めで平日の昼間に美術館などへは来たことがなかったので分かりませんでしたが、東京の昼間は中高年の女性が活発に活動しているのだということを知りました。


モネ展は展示してある作品はすばらしいものでした。初期の頃から晩年まで満遍なく作品が集められていましたし、題材も睡蓮、積わら、ポプラ並木、ルーアン大聖堂、サンラザール駅、ロンドンテムズ川、ベネチア、ノルマンディの海岸などなど漏れなく網羅されていて「大回顧展」と名前をつけるに相応しい内容でした。


実は5月の始めにパリのオルセーへ行った時に有名なカササギの絵が東京へ貸し出し中となっていて残念な思いをしたのですが、そのカササギが目の前にあるとあのオルセーの絵がここにあるという気持ちになり、改めて本物なんだなという印象を強くしました。

それと私の住んでいたStuttgartの州立美術館が所有する唯一のモネの絵も東京へ来ていました。これまた久しぶりの再会という感じがして親近感を感じました。


内容は素晴らしい展覧会でしたが人が多くてゆっくり見ることができず残念でした。正に押すな押すなの大盛況といった様相でちょっぴり辟易としてしまいました。

モネの絵は近くで見るよりも5mから10m離れて見ると絵の印象がガラッと変わりその絵に込められたモネの思いが伝わってくると思っていますし、恐らくモネも離れて見られることを想定して描いていたのだと思うのですが、押すな押すなの状況ではそういった鑑賞の仕方は無理でした。


人の多い東京だから展覧会も混んでいると単純に結論付けたくはないのですが、会場に人を入れすぎだと思いますので多少並んで入場を待つ時間があっても会場内はゆったりとしていてくれたほうが有り難いですね。

そして会期末ではなくもっと早い時期に来るとか、夜間開催している日もあるのでそれを利用するなど工夫が必要かも知れないなと思いました。


しかしこれだけの絵を集められるのも東京という街の力だと思います。これだけのモネの絵を一気に見る機会はもうないかもしれません。芸術に親しむチャンスはいくらでもあるのが東京で、それを上手く鑑賞するテクニックが見る側に求められているのも東京なんですね。


9月にはフェルメールの「牛乳を注ぐ女」がやってくるそうです。かつてアムステルダムで見た絵ですが東京で再開できるとは思いませんでした。今から楽しみですが、今度は空いている時間を見つけて鑑賞したいと思っています。



今日は知り合いの若いご夫妻のお宅に招かれてお昼ごはんをご馳走になってきました。


私の家から車で30分ほどのところにある新興住宅地に新しく家を建てられたので一度お邪魔してみたいと思っていました。というのはその新築された家がとてもユニークで生活を楽しむための様々なアイディアが盛り込まれていると聞いていたからです。


まずは玄関。普通の家の玄関ドアは外に向かって開かれますがこの家は内側に開きます。それは訪問してきたお客さんがドアを開けるために一歩うしろに下がらなくても良いようにと気を使われたとの事でした。


玄関の横は土間のようになっていて外に向かっては大きな木の扉があり、内側からは大きなガラス戸で仕切られています。ご夫婦でバイクのツーリングを楽しまれるのが趣味ですのでその広い土間にはバイクが5台も並んでいました。そしてこの土間は吹き抜けになっていて2階の寝室からもガラス戸越しにバイクが見下ろせるようになっています。寝るときも自分の愛車を眺めていたいと言う程ですからかなりのバイク好きですね。


広い居間も吹き抜けで、オープンキッチンですからとても開放感があります。さらに広いウッドデッキがついていますので屋外に向けても自然なつながりがありその先の庭も含めた空間が居住スペースになっているように感じました。反対側の壁は2階まで一面作り付けの本棚になっています。その前に作られた階段と手すりにも工夫があってデザイン面と使い勝手を両立させた上手い設計になっています。


2階にあるひと部屋は天井がガラスになっていてまるでサンルームです。夏場は暑すぎるかもしれませんが冬はポカポカ暖かいでしょうね。そしてその部屋からはバイクのある土間へ下りる階段がついています。

その部屋は階下の居間に向かってもガラスで仕切られているので居間にいながらガラス越しに星や月が見られるそうです。なかなかロマンチックですね。


その他書けば切りがないほどいろいろな工夫がされていて、ご夫婦のセンスの良さが感じられました。そしてそれを理解し現実のものとして形にした建築士の方の力を思わざるを得ません。

新興住宅街というとどこでも同じような家が立ち並ぶ光景を思い浮かべますが、このご夫婦の家は外観もユニークで外から見ただけで強い個性を発しています。もしかしたら使いにくい所もあるのかも知れませんし、既製品のほうが安く上がることもあったのかもしれませんが、自分の思いを形にできた満足感は何物にも換え難いでしょう。

ここにも確かにハイクオリティな暮らしがあると思いつつそのお宅を後にしました。


居間に置かれていた暖炉が活躍する頃に再びお邪魔したいなと思っています。


お土産に頂いた本場山形のさくらんぼ、とても甘くておいしかったです。どうもありがとう。