新型コロナウイルスの起源や米政府の対応について、20232月から下院監査委員会の小委員会が調査を行い、124日最終報告書を公表した。報告書の要旨をまとめると

(1)  ウイルスの流出元は中国の武漢ウイルス研究所で、研究員が2019年秋に流出させた。

(2)  ウイルスは自然界に存在するものではない。

(3)  エコヘルス・アライアンスは国立衛生研究所(NIH)の助成金を流用し中国の武漢ウイルス研究所に機能獲得研究資金を送っていた。

(4)  保健福祉省(HHS)及びその傘下の国立衛生研究所(NIH)、国立アレルギー感染症研究所(NIAID)、疾病管理予防センター(CDC)などの公衆衛生当局は、科学的根拠をもたずに強制的な対策を執行した。

(5)  6フィート離れる、マスク着用、ロックダウン、学校閉鎖などの対策指示は行き過ぎだ。

(6)  バイデン政権のワクチン接種義務化は科学的根拠がない。

(7)  ワクチンは拡散と感染を阻止できなかった。

(8)  公衆衛生当局は感染を通じて獲得される自然免疫を無視した。

(9)  バイデン政権の非科学的・場当たり的なパンデミック対策は、教育、経済、労働、医療、社会に深刻な損害を与えた。

(10)政府の救済資金は不十分な監督により、無駄遣い、詐欺、乱用を招いた。

(11)WHOのパンデミック条約は米国に損害を与える。

(12)NIHのモレンズ博士、エコヘルスのタザック博士、CDCのワレンスキー博士等の責任を問うているが、ウイルス、ワクチン、パンデミック対策の中心にいたNIAIDのファウチ博士の責任を問う記述は見当たらない

→トランプ政権で追及か?

 

米下院監査委員会・COVID19パンデミック特別小委員会・最終報告書(概要)

 

正式発表は2024124日特別小委員会のマークアップ後に議会に提出(520頁)

 

 

20232月調査開始

100通以上の書簡を発送、30件以上のインタビュー、25回以上の公聴会、100万頁超の文書審査

 

COVID19の起源 中国の武漢研究所からの流出の可能性大

1)自然界に見られないウイルス

2)複数の流出事象があった過去のパンデミックとは逆に人から人への感染であった

3)武漢ウイルス研究所は最先端のSARS研究施設があり、不十分な安全レベルで機能獲得研究を行っていた。

4)武漢ウイルス研究所(WIV)の研究者達はCOVID19が生鮮市場で発見される数ヶ月前の2019年秋にCOVID19に似たウイルスに感染していた。

5)科学的な基準によれば、自然起源の証拠があればすでに表面化していたはずだ。

 

近接起源出版物:ファウチ博士はCOVID19の自然発生説の推進を促した。

 

エコヘルス アライアンス株式会社:ピーター ダザック博士は、米国国立衛生研究所(NIH)の助成金(税金)を流用し中国のWIVに機能獲得研究資金を送った。保健福祉省はエコヘルスの資格を剥奪し資金提供を停止した。

(司法省はエコヘルス社の調査を開始した)

 

NIHの失敗:危険な研究への資金提供と監督に関し不十分で信頼性が低く、公衆衛生と国家安全保障に深刻な脅威をもたらした。また、NIHは連邦記録保存法を回避する方法をとっていた。

 

COVID19対策の資金と救済プログラムの問題

 

救済資金:連邦政府と州政府との調整に欠陥があり救済資金の配分の監督に不備があり、無駄遣い、詐欺、乱用の特定に不備があった。

給与保護プログラム:不正な請求が横行、少なくとも640億ドルが詐欺師や犯罪者に奪われた。

不正な失業給付申請:詐欺師は連邦政府の失業給付制度を悪用し1,910億ドル以上の損害を与えた。

中小企業庁(SBA)の失敗:適切な監視を行えず、2億ドルが失われた

国際詐欺:救済プログラムで失った半分は国際詐欺師に盗まれた。

救済資金の監視:適切な監視機能の欠如によりシステムの脆弱性が露呈。

 

将来のパンデミックへの対応

WHOCOVID19への対応においてWHOは中国共産党に屈し、中国の政治的利益を国際的義務より優先させたため大失敗になった。WHO提案のパンデミック条約は米国に損害を与える。

ソーシャルディスタンス:学校や中小企業を追い込んだ「6フィート離れる」は科学的ではなく、ファウチ博士は「突然現れた」と認めた。

マスク義務化COVID19から効果的に守ったという証拠はなかった。

ロックダウン:アメリカ経済だけでなく、アメリカ人の心身の健康にも計り知れない損害をもたらし、特に若い世代に悪影響を及ぼした。

ニューヨークの介護施設への患者受け入れ:当時のクオモ市長の命令は医療過誤

 特別小委員会はクオモ元市長を刑事訴追するよう司法省に勧告した。

渡航制限:トランプ大統領の迅速な渡航制限は人命を守った。

偽情報:公衆衛生当局は偽情報を広めた。適応外医薬品の使用や研究室漏洩説が悪者だと。

 バイデン政権は、SNS企業に特定のCOVID19関連情報を検閲するよう圧力をかけ違憲行為も行った。

 

ワクチンと治療法の開発、連邦政府職員と軍人に対するワクチン接種ポリシー開発

 

ワープ・スピード作戦:トランプ大統領の作戦は大きな成功をおさめた。

ワクチンCOVID19ワクチンはウイルスの拡散や感染を阻止できなかった。

ワクチンの急速な承認:ワクチンの承認を急いだため危険性と有害事象の可能性について警告があったものの、バイデン政権はワクチン接種を義務化した。

ワクチン義務化:義務化は科学的に裏付けがない。バイデン政権は、個人の自由を踏みにじり軍の即応体制を損ない、医療の自由を無視し、充分な政策決定の根拠もないまま国民にワクチン接種義務化を強要した。

自然免疫公衆衛生当局は感染を通じて獲得される自然免疫を無視した。

ワクチン被害報告システム:ワクチン被害について国民に適切な情報提供が出来ていなかった。

ワクチン被害補償:ワクチン被害に対する請求に対し、公平で透明性を持った裁定ができていない。

 

パンデミックに対する政府の対応の経済的影響

ビジネス:強制的なロックダウンにより16万社以上の事業が閉鎖されその内60%が恒久的な閉鎖になった。生き残った企業もサプライチェーンの混乱により悪化した。

医療:医療システムは深刻な打撃を受けた。医療の質の低下、待ち時間延長、診察予約の短縮、診断の見逃しなど。

労働者:失業率は大恐慌時代に匹敵し、「6フィートの距離」などの指針などは、特に低賃金労働者を抱える部門に重大な影響を与えた。

連邦準備制度理事会:パンデミックに対し早期に前例のない対応をとったことにより深刻な経済の落ち込みを防いだ。この継続的な対応は驚異的なインフレを引き起こした。

 

学校閉鎖の影響

学校閉鎖:子供達の学習機会の損失、精神的苦痛、身体的健康の低下を招いた。

疾病管理予防センター(CDCCDCは政治的な教師団体・アメリカ教師連盟(AFT)に学校再開ガイドラインへのアクセスを許し、多数の意見を取り込んだ。

AFTの影響AFTが学校再開ガイドラインに介入したため学校は必要以上に長期間閉鎖された。AFTは科学団体ではなく政治団体。

 (AFTの会長がCDCの元所長との直通電話回線を保有していた)

長期的な影響:学校閉鎖の結果、数十年分の学業の進歩を失い、精神的、身体的健康への懸念が急増し、1217歳の少女による自殺未遂は51%増加した。

 

パンデミックへの備えと行政機関

保健福祉省(HHS)の妨害HHSは特別小委員会の調査を妨害し、上級職員を有罪にしたり名誉を損なうような証拠を隠蔽したり、遅滞させたりした。

エコヘルスの妨害:社長のタザック博士は、資料の編集や改竄を行い、小委員会に虚偽の報告をおこなった。

モレンズ博士:ファウチ博士の上級顧問であるモレンズ博士は、小委員会の調査を請いに妨害し嘘の証言を行い、連邦政府の記録を違法に削除した。さらにエコヘルス社のタザック博士とNIHの助成金プロセスに関する非公開情報を共有していた。

ニューヨーク州の妨害:州行政委員会は数千の文書を隠蔽しパンデミック時のクオモ前知事の失策に関する小委員会の調査を妨害した。

 

AFP 123

新型コロナ、中国研究所流出説を支持 米下院小委員会

2024年選挙で大統領、上院、下院のトリプルレッド(共和党独占)となり政権移行の準備が始まった。改選後の議会は2025年1月3日から、大統領と副大統領は1月20日に就任する。
トランプ次期大統領は次期閣僚の指名を進めている。11月14日、ロバートケネディJr氏(RFK.Jr)を保健福祉長官に指名した。マット・ゲーツ下院議員の司法長官指名などを含め次期上院での承認が不安視されている。
RFK.Jrは、環境派の弁護士、伯父(JFK)と父(RFK)の暗殺等に関する陰謀論主張、反ワクチン派として活動し、2024年大統領選に出馬した後、8月に撤退しトランプ氏への支持を表明した。

 

RFK.Jrの経歴
BBC 11月15日
【米政権交代】 保健福祉長官にケネディ氏を指名 ワクチン懐疑派でケネディ元大統領のおい

ブルームバーグ 11月15日
ケネディ氏の米厚生長官起用に警戒広がる、ワクチンメーカー株下落

RFK.Jr氏は、COVID19のウイルス及びワクチン研究・対策の責任者であった国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のファウチ博士の追及を行っている。下記解説は米国の細菌兵器の経緯とファウチ博士の関与が書かれている。

ロバート・ケネディJr著「人類を裏切った男」(1000頁超)の宮庄宏明氏の解説
上巻
中巻
下巻

下院監査委員会・コロナウイルス・パンデミック特別小委員会は、2023年3月に上院と下院でそれぞれ全会一致で成立した「新型コロナウイルス起源法」に準拠し関係者から情報及び証言を求めてきた。国立アレルギー感染症研究所(NIAID)の前所長ファウチ博士及び国立衛生研究所(NIH)副所長のタバク博士、武漢研究所に研究資金提供したエコヘルス・アライアンスのダザック博士など主要関係者を公聴会に召喚し証言を求めた。特別小委員会の最終レポートは、2024年内に発表される予定。
11月14日、疾病管理予防センター(CDC)、食品医薬局(FDA)、NIHの幹部を召喚し最終確認を行った。

特別小委員会11月14日公聴会のまとめ

現下院は共和党が多数派のため委員会の主導権を握っているが、次期政権の確定を見てから報告書を提出しようとしている。現上院は民主党が多数派であったが、次期上院は共和党が53議席となり委員会の主導権は共和党が握る。以前よりファウチ博士を追求してきたランド・ポール上院議員が次期上院の国土安全保障・政府問題委員会の委員長に就任する予定であり、COVID19の真実を解明したいと述べている。
NEW YORK POST 11月14日
Rand Paul to target ‘COVID cover-up’ as head of Senate Homeland Security committee

年内の下院小委員会報告書提出、来年からのランド・ポール上院国土安全保障委員長の追求、そしてRFK.Jr保健福祉長官の改革により、COVID19の謎が解明されるであろう。

(参考)
RFK.Jrは、反捕鯨団体シーシェパードの支援者(法定代理人)であった
AFP 2013年2月12日
シー・シェパード、日本捕鯨船への接近禁止命令の解除求める
朝日 2024年10月24日
シー・シェパード創設者、4度目の勾留延長 検察側「逃亡の危険」
 

 2024年5月1日 下院監査委員会特別小委員会が開催した公聴会にエコヘルス・アライアンスのダザック博士を召喚し証言を求めた。
(エコヘルス・アライアンス:感染症対策活動の民間団体、ビル・ゲイツ氏のビル&メリンダ・ゲイツ財団とも共同で活動することが多い)

下記は小委員会のまとめ

・タザック博士は、今後連邦政府からの資金援助を受けるべきではない
・タザック博士は、武漢研究所(WIV)における機能獲得研究を促進していなかったと証明できなかった
・タザック博士は、WIVがCOVID19のサンプルを持っていた可能性を認めたが、遺伝子改変の能力を有していたかは不明と答えた
 しかしタザック博士は、COVID19の自然発生説を支持している
・これまでのタザック博士の証言と委員会が入手した証拠との間に大きな矛盾がある
 2023年11月の彼の証言「COVID19の危険性解除研究は米国で行うつもりだった」と語っていた(WIVへの研究依頼の動機は?)
・WIVとの関係を曖昧にし米政府に誤解をさせ2023年にNIHが助成金を復活させた
 タザック博士は米政府に属すると思われるコロナウイルスを1万5千個以上WIVが保管していると証言した
・タザック博士はNIAIDの上級顧問モレンズ博士と個人的なGmailで連絡していた→FOIA(情報公開法)に違反 

 エコヘルス・アライアンスは、国立アレルギー感染症研究所(NIAID)及び国立衛生研究所(NIH)からの補助金を受け取り、中国の武漢ウイルス研究所(WIV)に資金提供していた。タザック博士の証言をみると、COVID19は米国の研究所が保管していたと認識しているように思われる。