ビスポーク フィッティング
予てより僕がビスポークシューズをお願いしていたMISAWA&WORKSHOPのシューモンスター三澤氏にスタジオにわざわざお越しいただき、仮靴のフィッティングをしていただきました。
デザインからなにから全てお任せの、三澤流靴作りを丸投げしていたのでどんなアッパーになるかワクワクしていましたが、取材時にもことあるごとに「最強の革靴はオックスフォード」とおっしゃっていました。
今回、アッパーのお披露目で「あえて直球のオックスフォードにしました」と。
正直、オックスフォード持ってないんです。
革靴の王、オックスフォードは敷居が高く、且つ内羽根式なので甲高の自分にはなかなかあわせづらいし、事実下の写真でもわかるとおり羽根が開ききっています。
アイレットの横に書き込まれた数字は羽根の型紙調整値で、一番上は5ミリも詰めます。
採寸したけど、通常では考えられないほどの木型になったようで、仮アッパーでは従来木型に寄せてデザインした結果がこの羽根の開き具合です。
どうです?開き過ぎらしいです。この半分位がジャストな内羽根なので、木型の修整が入ります。
直球のオックフォードとは言っても、既成靴では27.5は最低必要なサイズの足ですが、足長は26.5です。
結局幅で靴を選んでいたという残念な43年…
仮靴のままでも非常に履き心地はよく、このままこの仮靴をもらってしまいたい位イケてました。
仮アッパーの縫製は奥様の業とのことです。
本番の革は、非常に緊張感を伴うもので、本番は三澤氏自身がミシンを踏みます。
このシーンは「紳士靴を仕立てる」で取材していましたが、静まり返る工房にクラッチモーターだけが静かに唸り、息苦しささえ感じました。
本では「ミシンで縫い合わせます」と、空気感までは紹介できていませんが、
現場を知る数少ない者の感想は、とても行程紹介では表現しきれないものがあります。
足を採寸して木型を起こしていただき、木型にあわせた型紙でアッパーを縫製、吊り込みと、手間のかかる行程で、これだけでも既に靴として履けるクオリティーです。
衝撃的ですが、僕には足のアーチがほとんど無くて一般的な人と比べて非常に疲れやすい体なのだそうです。
これは生活習慣とかではなく、遺伝とのことで、訓練や矯正によってアーチが復活することはなく、受け入れて「歩く」「立ちっぱなし」などの職業は向いてないので座って続ける職業が向いているとのことです。
うーむ。
カメラマンが仕事中に座るってあんまりないかな〜
ライティングを決めるときや、ライトを動かす時…もちろん立ってるし、歩き回ってる。
アングルを決める時…もちろん立ってるしね〜
ライトとアングルが決まったら後はアシスタントに動いてもらってパソコンからシャッター切るか…な。
まぁ、撮った写真も今は必ずパソコンで何らかの仕事をするし、仕事によっては撮るよりも撮った後の仕事の方が時間かかったりもするから、立ちっぱなし座りっぱなしって感じじゃないか。
でもアシスタントの時は立ちっぱなしだったな〜朝から晩まで立ちっぱなし。
唯一昼飯だけは座ったけど、15分とか20分…噛まないで飲み込んで、午後の撮影に備えてた。
今振り返ると、カメラマンになるのも楽じゃなかったな。
なってからも楽じゃないけどW
で、写真にある通り三澤氏の手により出来上がった仮靴は銀ペンで修正箇所を書き込まれます。
売ってる靴ならなんの違和感もなく履ける靴ですが、正直に違和感を感じる部分を答えました。三澤氏の名誉の為に予め申し上げますが、はっきり言って強いて言えばの箇所です。既成靴なら問題なく履けます。
しかしながら、そこはビスポーク。修整できる最初で最後のチャンスなので正直に(恐る恐る)指摘すると、「正直にドンドン指摘してください」と。
ビスポークのクオリティーはお客との対話の末に得られる唯一無二の靴作りです。
どんなに腕が良くても、自分では履いて試せないのが靴作り。
職人と顧客が共同で作ると言っても過言ではないのでしょうか?
銀ペンで修正箇所を書き込んだら、昼ご飯でも一緒にと思っていましたが、そこは忙しい売れっ子靴職人、「予定があるので今日はこれにて…」
足早に帰ってしまいました。
先日発売されたばかりの「紳士靴を仕立てる」の本の話をもっとしたかったけど、本の打ち上げを後日しましょうという約束をとりつけたので、また面白い靴ネタを貰えるとおもいます。
製靴の街を訪ねて
靴作りをはじめると、頻繁に浅草方面に足を運ぶようになります。
浅草は日本の皮革産業の聖地で、中でも製靴業では最大の地区です。
隅田川をはさんだ反対側の墨田区では、今でも豚革の鞣し工場が国産豚の皮を回転ドラムで鞣しています。
レザークラフトで鞄や、財布など革小物とよばれるアイテムの製作は、浅草よりも浅草橋、蔵前地区での方が材料が揃いやすいです。
革の素材は協進エル、タカラ産業、レザーメイト佐藤と有名どころがひしめいてるし、近所に住んでいても、全ての革屋さんを把握するのは困難なほど小さなお店も沢山あります。
この地区のお話はまた別の機会を設けます。
今回は浅草製靴地区にスポットを当てます。
靴の材料は特殊なモノが多く、同じ革でも鞣し方法や革の厚みが所謂レザークラフトの材料と全然違います。
それらの材料を買いに行き、お店で専門的な材料や道具、消耗品を手に取っている時は結構至福の時間だったりします。
で、この地区には台東区の撤去自転車の収容所があるのです。
台東区は東京23区で一番小さいのですが、この収容所のある清川という地区は台東区の最北端、通りをはさんですぐ足立区になります。
先日我が家の自転車が御徒町駅で撤去されてしまいました。
当初、盗まれたと思っていたので警察に被害届をだそうと思っていたのですが、1週間程届けを出すタイミングを探っていました。と、同時に電動に買い替えるか?っていう案がでて来て、どうせ盗まれた自転車はでてこないだろうからと電動自転車のカタログを集めているタイミングで、撤去通知を受け取ります。
↑自転車収容所 ゴミ収集センターの中にあります。
で、清川に行くことになるのですが、ここは日本を代表するドヤ街、三谷地区と呼ばれるところでもあったんですよ!
自転車を無事に引き取って、清川界隈で昼ご飯を食べようと散策していたら、とうてい東京都は思えない景色に囲まれます。
いろは会は相当ビビりました。
商店街の入り口で、おじさん達が地面にあぐらをかいて将棋!
それも通りの真ん中で何組を将棋を打ってるし!
なんか、寝てる人もいるしで昼間だけど結構衝撃的に怖かった。
隅っこをそーっと通り抜けると、9割の店のシャッターが閉まってます。やってるお店は日用雑貨の店と、男性用衣料品店。パン屋とテイクアウト専門のお好み焼きの店だったかな?韓国居酒屋はやってた。
明日のジョーの故郷らしく、商店街にはジョーや丹下のバナーが吊られてますが、哀愁しか感じません。
商店街を抜けると有名な天丼の店、土手の伊勢屋
この建物…
同じ東京出身の俺ですが、結構衝撃的な地区です。
で、恐る恐る自転車で散策してると東京靴工組合の事務所がありました。
どんな組織かは調べてないので解りませんが、おそらく浅草の製靴工場で働く人の組合だと思います。
最低賃金を守ろう!というポスターに、靴工場で働く人の環境を想像してしまいます。
ここらで昼飯を食べるのにちょっと勇気がでなかたので、雷門の方にもどってからお昼をいただきました。
浅草と三谷地区はせいぜい1〜2キロしか離れてないのに、かたや外国人で賑わう観光地です。大きな隔たりがあるわけでもないのにこんなに雰囲気が変わってしまう独特の土地に興味は一層つのります。
新たに製靴部門を設立いたしました。
今のところ受注生産のみとなっておりますが
ワークブーツの生産と販売を開始しました。
園児ニアブーツ
↑子供のエンジニアです。 7月よりモニターの子供に履いてもらっていますが、
クロムエクセルの質感が3ヶ月でこんなに味がでています。
先芯、月型芯はリアルレザーを用いており、歩行をサポートしつつ、積み木などが落ちてきてもつま先を痛めません。
底付けはウェスコ ボス同様にステッチダウンですが、出し縫いももちろん
ハンドソーン。
ライニングと中底はしっかりと掬い縫いで纏めております。
ヒールの積み革はペースを用いて、通常のベビー用ファーストシューズでは前代未聞の本格仕様!
サイズは13での御仕立てですので、歩きはじめのお子様にジャストフィット。
素材、仕立てとも本格ワークブーツの仕様ですので、サイズさえかわらなければ底を張り替えながら一生モノのブーツとなりますw
納期は3ヶ月〜
参考上代 ¥60,000 (外税)
お子様、お孫様に一生モノのファーストシューズのご案内でした。
ご注文、お問い合せお待ちしております。