●過去音源その3

 Tomorrowは1998年録音。今聴くと顔から火が出るw。
 この年勤務先が変わって、実家から通うことになったので、少し歌が録りやすくなった。(前のアパートでもギター弾いて歌ってたけどw。)
 ハモリの練習をしていた時期で、ハモってない箇所もある(苦笑)。ギターのリズムは揺れたりよれたり、ブツ切れたり。基礎練習は大切です。

○アコギ:CELEBRITY CC57
 樹脂バックの、安めのヤツ。エレアコだけど、マイク録り。ちなみにアメリカではacoustic-electric guitarと呼ばれることが多いとか。

○マイク:SHURE 588SD
 ゴーハチ(ゴッパー?)の廉価版。あこがれの58は当時定価約4万円で実売2から3万円ぐらいしてたと思う。 588SDは確か8000円くらいだったか。

○MTR:ROLAND VS-880
 コンシューマー向け初のHDRだったと思う。確か、アラン・ホールズワースも買ったとGM誌に載ってた(Kellyさんも買ってましたね)。楽器店で「四国でまだ3台目、大人気で品薄になるよ!」と言われ即購入。確かに一時品薄だったと記憶する。今はPCで何でもできて、この手の専用ハードウェアは少なくなったようだ。でも、専用ハードのメリットもあって、物理的なスイッチやフェーダーがあるのは操作しやすい。勿論ミキサーとしても使える。

◎ミックスは、リヴァーブをかけて音量とパンのバランスをとったのみ。イコライジングとかコンプとかはまだどうしていいか分からなかった。

●過去音源その4

 アコギ+歌シリーズ第2弾。2000年頃録音。顔から火ry)。ハモリを頑張りました、ええ。Tomorrowの時から言えば、進歩が見えます、たぶん。歌は全然勉強していないので、声の出し方とか音色とか撥音とか、課題は山ほどあります。

○マイク:RODE NT2
○マイクプリ:ART TubeMP
○コンプ:ART Dual Leveler

 1998年と違って増えた機材。Kellyさんのアコギものの音が違うんで、メールで聞いたらコンデンサマイクとプリンアンプを使っているという。サンレコを読みまくって、最終Kellyさんと同じマイクとマイクプリを購入(笑)、ついでにチューブコンプも。ダイナミックマイクに比べてコンデンサマイクは高音の繊細さが違いますね。
 Kellyさんのレコーディング機材はグレードアップしてます。

○クラギ:MATSUOKA M-25。
 定価25000円のクラシックギター。これもコンデンサマイクで録っています。ファイルは音が悪いですが、ナイロン弦のニュアンスが多少残っていると思います。プレイは荒いので、もっともっと練習すべきです。一番悪いのはリズムです(苦笑)。

◎チューブコンプはヴォーカル、ギターそれぞれ掛け録り。ミックスはそれぞれリバーブ、音量とパンのみ、2ミックスのコンプはかけていないと思う。MTRはROLAND VS-880。
 過去音源その2。

 2001年録音。サイトにアップしていたコピー音源を聞いたB.C.(トルコのギター弾きだったか)クンが、『サイトの音源はホントにキミが弾いているのか?じゃあフリーソロを聞かせてくれ』というので録音したもの。冒頭の"Hi, B.C."というのはこのために入れた。

 ちょっとムッとしつつ、手癖を中心に録った。レコーダーはMD Walkman、SONYの小さいステレオマイクをつなげてアンプ(Fender Superchamp)の上にのっけた。ギターはストラト1976、アンプ直。
 B.C.クンに『君のプレイも聴かせてよ』とメールすると、1ヶ月後ぐらいにJet to jetの決めフレーズを延々繰り返すwファイルを送ってくれた。当時はつたない英語でサイトを更新していたが、時々海外からの反応もあって面白かった。

 アンプはFender USAのSuper Champで、82~85年に製造された。見た目はツインリヴァーブとかに近いけど、中身はポールリベラという人が設計しており、結構歪んだ音も出る(マスターボリューム付き)。リベラはFenderを出てから自分の名を冠したアンプを作成した。
 18Wと小型だけど、オールチューブでパワーがある(値段も高かった)。TOTOのルカサーがレコーディングに使ったこともあるらしい。RATTのウォーレンも自宅の練習用に使っていたとYG誌に出ていた。最近弾いてあげていないので、楽器がかわいそうだ…。
 アンプにシールド1本でオーバードライブなどのストンプボックスはなし。アンプ単体で結構歪む。

 Yngwieにはまってから、自分の演奏を録音した時に「何かが違う」と思って、追求したのがニュアンス。ビブラート(フィンガー&アーム)やピッキング(&フィンガリング)による音色のコントロール、独特のタイム感、ノイズでさえもクール…。
 KELLYは完全にYngwieを完コピしていて、初期のピッキングコントロールが神がかりな時のプレイできるし、事故後にピッキングがあまくなりフレージングも手癖が増えてきた時のプレイもできる。mp3等の圧縮された音源だとその辺がわかりにくいけど、目の前にして聞くと圧倒される。

 私は基本のリズムをおろそかにしてしまったので、このプレイでもやっぱりリズムが良くない。
 リズムが凄い人はギターの演奏だけで「のれる」し、ギターの演奏を聴いているとベースやドラムの音が聞こえてくるような錯覚におちいる。アルカトラズのビデオ(古!)でBig footのイントロを弾いていたYngwieが、ドラマーを見て「ンパパパパパパパ」と言っている(口が動いている)シーンがあるが、彼の中ではドラムの音が鳴り響いているのだろう。

 この録音はポータブルレコーダーと普通の(無指向性)ステレオマイクで、アンプの「上にのせて」録っています。ですので、私の声も入るし、アンプの音も小さめなのでピッキングの生音やピックアップの切り替え音も豪快に入ってます。
 本チャンの録音では、指向性のプロ用マイクをアンプのスピーカーに近づけて録るいわゆる「オンマイク」で録ります。スピーカーが複数あれば状態のいいスピーカーを選ぶし、スピーカーのどの部分にマイキングするかもポイントです。一般的には中央とエッジをさけ、その中間ぐらいにするらしいですが、1cm違うとサウンドも結構変わります。またベタ付けするか、数cm~十数cm離すか。それ以上離すと「オフマイク」録音になり、まろやかな分高音も少なくなり音像もぼけてきます。メタルでは例外を除いてほとんどオンマイクで録音しているでしょう。(アンプシミュでもオンマイクのハズ)

 セオリー通りにSuper Champにマイクを立てて録音すると、これがまたかなりイマイチな音なんですね。で、このアンプで録音する時にはちょっとした工夫をしています。
 普段耳にしているサウンドはアンプのスピーカーから1m以上離れています。オンマイクのサウンドとはどうしても違うので、普段聞いているような音に近づけるためにイコライジング等をするようです。アンプの録音というのはなかなか奥が深いですよね。

 気に入っているプレイは、1分21秒のベンディングからヴィブラート。Kさんを意識してみたよ。

*Recording data;
guitar: Fender stratocaster 1967 modyfied (YJM pickup)
pick: Fender 1.2mm
guitar amplifier: Fender USA SuperChamp
Mic& recorder: SONY MD recording Walkman

 3年前に異動で勤務先が変わり、12時間労働が当たり前に。通勤も遠いこともあいまって音楽できるパワーがなくなってしまい、自分で作ったバンドからも脱退。ギターが楽しくなくなってしまった。おそらく、プチ鬱だったのだろう。3年後、再び異動により、勤務先が変わり、時間の余裕も生まれた。
 2011.7.2のKelly SIMONZのライブや知り合った方々のギタープレイに触発され、ギターを本格的に復活したいと思った。自分にやる気を出させるために、過去の音源を上げてみる。当時Kelly SIMONZの1stが出て、この曲を頑張ってコピーしてサイトにアップしたりしていた時のもの。もう一度、真面目にギターと音楽と向き合いたい。

*Recording data;
guitar: Fender stratocaster 1967 modyfied (YJM pickup)
pick: Jim Dunlop 1.5mm
guitar amplifier: Peavey 5150combo
Mic: SHURE SM57
recorder: ROLAND VS-880

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 第3部は、再びバンドに戻ってのスタイル。
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 1曲目はLIVEより前にWebで公開されていた新曲、Pray For The Moon というインスト曲。泣きのメロディが素晴らしい佳曲だ。2011年2月に急逝したGary Moore、3.11で亡くなった方やそのご家族に送ると告げられた。Garyのスタイルがベースの泣きの曲。熱狂的なGaryファンは認めない人もいるようだが、本当の意味でdedicatedされた素晴らしい楽曲だと思う。KellyのGaryに対する愛情がとてもよく表現されると言っていいだろう。『泣き』と表現される感情のこもった素晴らしい演奏だった。そんなプレイを分析するのは野暮なことだと承知しているが、ギターテクニックの面から見ていると、プレイ自体は非常にオーソドックスである(勿論ハーモニックマイナー等の速いパッセージはあるが)。基本的なピッキングとフィンガリングでメロディを奏でているのだが、これがまた素晴らしい。細かいテクニックを羅列すると以下のようになる。

 ・ピッキングによる音色コントロール
  角度や深さ、右手親指の当て具合による倍音変化
 ・リズムのタメ、ツッコミ
 ・スラー系(プルオフ・ハンマーオン・スライドなど)
 ・ヴィブラート
 ・ピックストップ
 ・音価の調節
 ・フレーズの終わり際の処理
 ・ミュート(いらないノイズ音は出さない)
 ・効果的なノイズ音の使用(ブラッシング、チョッピング、アームダウン等)
 ・ピックアップの切り替え
 ・ギターのヴォリューム調節による歪み、音色の調節
 ・ヴァイオリン奏法(ヴォリューム調節)

 これらの表現系テクニックを駆使して、情感豊かなメロディを紡ぎ上げている。Garyがもし、Kellyのプレイを聴いたらなんと言っていただろうか。
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 続いて、アルバム"Silent Scream"よりAngel Eyes。Kellyはギターの6弦をD音に下げたこの曲で、ESPのノーマルなストラトタイプにチェンジ。見た目に反してヘヴィなサウンドで、驚いた。それでいて低音が暴れるブーミーな音でもなく、重低音が完全にコントロールされている。この曲はベーシストTimのお気に入りらしく、他の曲にもましてアクションが激しい。Yosukeの重いドラミングで、3人が強力なグルーヴを生み出している。この曲の新たな魅力が引き出されていると感じた。この曲で座っているのは勿体ないな、と思っていたらやはり観客の上半身が揺れていた(笑)。
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 KellyはギターCombat社の自身のモデル、ブルーサンバーストが印象的なRenaissance K"Virtuoso"に持ち替える。ライヴでは定番のインスト曲、Cry For You。もの悲しいメロディが会場に響き渡る。一瞬にして、空気が変わる。照明と残響がステージと会場を優しく包む。前述の巧みなギターテクニックで、表現の限りを尽くす。ギターのヴォリューム奏法とディレイを使ったカノン的なフレーズでは、遅れてくるディレイ音と戯れるようにフレーズを紡いでいく。
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 ヴォリュームを絞ったつややかな音色で、時に語るように、時にむせび泣くように、また時には叫ぶようにメロディを奏でる。『泣きのギター』という言葉があるが、彼はまさに体現していると言えよう。鳥肌が立ってくるのが分かった。この曲はライヴで何度か聴いているが、この日のプレイは特に素晴らしく感じた。

 Cry For Youの余韻に浸っていると、カウントとともに超高速アルペジオが耳をつんざく。ギターマニアにも大人気の超絶ハイテクニカル・インスト曲、Opus#1だ!会場は一転してメタルモードに。冷静に考えれば、インスト曲でこれだけ盛り上がるのも面白い。Kellyの曲はどの曲もテクニックを要求されるが、この曲もパネスト、ハンパなく最高に難しい。このスピードで指板を見ずに、時に頭を振りながら、ワイルド&ラフさも表現しながら、且つ正確に弾き、それでいて音楽的に表現するのは並大抵のことではない。ギターを弾く方なら、これがどれほどのことか十分すぎるほど分かっていただけるだろう。このスタイルの曲は、クラシックで言う『常動曲/無窮動』に当たる。プレイに休む暇がないのだ。この曲の素晴らしさは、ギタープレイの難しさなんて知らなくても、ノれるカッコいいインストチューンだということだということを強調しておきたい。
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 第3部セットの最後はアルバム"Silent Scream"よりファストチューン、Fly Away。バッハの曲のモチーフに多いペダルノートで、ハープシコードの音色とギターのユニゾンが心地よい。すぐに6連符のスウィープピッキングを使用したアルペジオに移り、メインリフへ。スピードメタルの王道をいく楽曲であるが、コードの和音構成やコードヴィブラートがKellyらしい。この曲はBメロで歌を歌いながら前述の6連符スウィープアルペジオを行う。簡単そうに見えてこれがなかなか凄いということを付け加えておこう。
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 ヴォーカルはブルージーなメロディライン。Kellyは以前、マイナースケールだけのメロディでなく、ファストチューンであってもブルージーなラインが好みだと語っていた。ライヴではヘッドバンギングで楽しみたい曲だ。激しいアクションとともに本編終了。

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 アンコール1曲目はインスト曲のBlue Monday。この曲もGaryの影響を感じさせる曲である。メタルでは聴くことができないピアノのオシャレなコード・コード進行や、フュージョンに通じるメロディが楽しめる佳曲である。時折ブルージーなラインもまたこの楽曲を盛り上げる。ギターのヴォリュームを少し絞り、つややかなトーンで切々と語っているかのようでもある。『憂うつな月曜日』と題されたこの楽曲にはKellyの悲しい思い出が詰まっているようでもある。静かに始まったこの曲は、静かに終えた。

 Kellyの軽妙なMCに加えてTimも絡む。KellyのMCが長いと感じると、Timが『早く演ろうぜ』というようなアイコンタクトをKellyに送るというようなこともあった。
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 アルバム"Silent Scream"よりタイトルチューン、Silent Scream。分散和音を含んだギターリフとハープシコードが絡むイントロからブルージーなAメロへ。Kellyの歌は調子がよさそうだ。
一転してBメロはマイナーのメロディへ、サビでは徐々に盛り上がり、ソロ前に一端トーンダウン。クラシカルなハープシコードの調べにヴォリュームを絞ったギターが絡む。再び徐々に盛り上がり、ギターはハードなサウンドでメロディを奏でる。再びトーンダウンし、今度はパイプオルガンの音にヴァイオリン奏法のギターが絡む。曲はバッハのメロディへ。あまりに自然につなげられているので、まるで最初からこの曲のために作曲されたようだ。ギターソロはアームダウンから速いパッセージへ、嵐(Scream)を想起させる。この楽曲のようにクラシック、ブルージー、ロック、メタルを上手く融合させたスタイルがKellyのいう"Revolutional Neo Classical Mordern Hard Rock"なのだろう。
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 アンコールラストはなんと教則本『超絶ギタリスト養成ギプス 天下無双の教速DVD編』のインスト曲、Ex.41。『41歳なのでEx.41』と言っていたが、この曲も教則ということもあり、テクニックのオンパレードだ。『難しくて動けないので許してね』と言っていたが、場所を変えたり、頭を揺らすなど突っ立って弾いていない。思わずこちらの息が止まってしまうほどのフレーズの洪水だ。
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 観客もスタンディングで、インスト曲でも大盛り上がり。キメのスウィープアルペジオで曲は終了、ロングトーンでドラムのフリーソロに。ギターやベースを観客に差し出すと我先にと楽器に触りたいファンが殺到。私も触りたかったが写真を撮りたい気持ちが優先してあえて冷静にシャッターを切った。最後にはTimにハイタッチしてしまったが(笑)。
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 Kelly、Tim、Yosukeの3人はお互いが手を握り、高く掲げて自分達がライヴをやりきったことをアピール。良い笑顔が撮れた。
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 ここで予定していた曲は全て終了していたが、ファンのアンコールにより、スペシャルなアンコールが実現した。曲はBlue Murderのカヴァー曲、We all fall down。オケのサウンドがない、3人だけの演奏はロックの醍醐味と言ってよい心地よいバンドサウンドで、観客と一体となった。演奏を終え、去っていく満足そうなメンバー。
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 2011年1月のキネマは"Kelly SIMONZ'S BLIND FAITH"だったが、今回は"Kelly SIMONZ"としてなので"Silent Scream"からの楽曲が中心だったようだ。"Kelly SIMONZ"名義ではより歌を大切にしたプロジェクトということである。今回改めて思うのは、演奏も素晴らしいが楽曲の素晴らしさを感じた。やはりライヴではイイ曲でのりたいのだと思う。色褪せない楽曲群を、もう一度聴きたい。

 メタル系のライヴでは、最近音量を大きくする傾向が多いのかコンプ/リミッターに突っ込みまくりでPA側で歪んでしまって、プレイの良さがかき消されているものもある。今回の東京キネマ倶楽部では、その辺をよく分かっていただいているのか、必要以上に大きすぎることもなく、よい音を届けてくれた。ギターのニュアンスもバッチリ聞こえてギターファンとしては大満足でした。またヴォーカルや楽器のバランス・分離もよく、非常に聴きやすかったと思います。やはり、良いプレイはイイ音で聴きたい。Kellyが『お気に入りの箱、自分の箱』的な発言をする気持ちがよく分かる気がしました。

 ここまで読んでいただきありがとうございました。1ファンのレポートですので提灯記事ではありませんが、多分に偏りがあることは事実です(笑)。百聞は一見にしかずです、是非オフィシャルサイト/ブログで動画を見ることをお薦めします。また、ライヴDVDも発売されております。しかし、ネットの動画やDVD等では感じることができない何かがあることも事実です。ライヴ会場に足をお運びいただき、その何かを感じていただければ幸いです。

LIVE REPORT No.1 Kelly SIMONZ "The NEXT.. EVOLUTION" 2nd July 2011

LIVE REPORT No.2 Kelly SIMONZ "The NEXT.. EVOLUTION" 2nd July 2011

LIVE REPORT No.3 Kelly SIMONZ "The NEXT..EVOLUTION" 2nd July 2011

※写真はオフィシャルの許可を撮って撮影しております。
Kelly SIMONZ Official blog
Kelly SIMONZ Official site
※この記事は自分のbloggerからの転載です。2010年6月30日が初出です。
 ちょっぴりマニアックです。長文失礼。
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 Kelly Simonz(ケリー・サイモン)は、大阪出身のミュージシャン。ミュージシャンがメインだが、マルチタレントである。マルチタレントという言葉の印象はちょっと古く感じるかも知れないが、まさにマルチという言葉がふさわしい。以下に列挙してみよう。

【1】エレキ&アコースティックギター
 ギターを弾く人なら、彼のテクニックがどれほど凄いかわかって貰えるだろう。YouTubeやオフィシャルサイトで映像を見ることができる。
 華麗な左手のフィンガリングや正確な右手のピッキングが凄い。プレイをコピーしてみるとどれほど凄いのかを更に実感するだろう。特にエコノミーピッキングによる上昇や下降の速さや滑らかさ、粒立ちの良さは絶品だ。
 しかし、彼の凄さは速弾きだけではない。ヴィブラートをはじめとした、表現系のテクニックもハイレベルだ。特にトーンコントロールは絶品。ピックの角度や深さで音は千変万化するし、右手の親指の腹の当て具合等で倍音が変わる。また、左手のタッチもあいまって、色気のあるトーンを紡ぎ出す。タッチの良さは特にアコースティックギターで感じることができる。(アルバムはエレクトリックアコースティックギターで録音されていることが多いが、個人的にはそのタッチがいくらか消えてしまうというか、アコースティックギターとは別の楽器だと思う。)
 このタッチやトーンコントロールは、音源が圧縮されるほどニュアンスが消えてしまう。できればmp3やネット上の動画でないCD等で、高音質のイヤフォンやステレオセットで聴いて欲しい。(とはいっても比較的高音質のサイトも出てきてるけど)
 加えて、タイム感が素晴らしい。ノリやグルーヴというか、彼のギター(や他の楽器も)はよく歌うし、ドライヴ感が心地よい。凄く洋楽っぽい。これはアメリカ(MIやバンド、スタジオの仕事、ライブ)での経験が大きいだろうか。

【2】作詞作曲、編曲
 彼の大きな魅力の1つである作詞作曲。曲の完成度が高いこと、編曲が優れていること。現在のところメインはネオクラシカルハードロックというジャンルでCDを出しているが、メタル系にとどまらないロックやフュージョン系、J-POPや演歌といったものまで発表している。

【3】ヴォーカル&コーラス
 彼のヴォーカルの魅力はミドルトーンとブルージー・ソウルフルな歌い回しだと思う。メジャー1st「Silent Scream」のタイトルチューン等は、オクターブ下のロートーンヴォイスもあり、彼の持ち味がよく出ていると思う。ハイトーンのメタルは本来の自分のスタイルとは違うと本人も語っている。
 彼の得意なバラードやブルーズロックのカヴァーを聴いて欲しい。彼のヴォーカリストとしてのポテンシャルを感じられるだろう。また、CDでは彼のコーラスワークも聴けるが、ピッチや音色も素晴らしく、アレンジもバッチリだ。
 彼の楽曲は英語が中心だが、彼は撥音を大切にするため、アメリカ時代にレッスンを受けているとのこと。

【4】エレキベース
 曲をドライヴさせるうねりが凄い。テクニック的にはギターとの速いユニゾン、ヴィブラートはギターにも負けない揺れが超絶。彼のサイトには、完成前のドラムとベースだけの音源が聴けることがあるが、ベースのみに集中すると音の表情が聴けて楽しい。ベースラインもよく練られている。

【5】ドラム
 センスが良く且つテクニックもハイレベル。自身が作詞作曲し歌うということもあるが、歌を引き立てるドラミングだと思う。クラシック曲のロックアレンジ版のフレージングも素晴らしい。単に2バスにクラシックのメロディを乗せるだけでなく、原曲のメロディを盛り立てるフィル(というかドラミング?)だ。ギターに耳が行きがちな彼の曲であるが、ドラムにも是非耳を澄ませて欲しい。彼はアメリカ時代に、テクニカルで有名なロッド・モーゲンスタイン(ex.ディキシー・ドレッグス、WINGER)に手ほどきを受けていたと聞く。

【6】キーボード&打ち込み
 キーボードも速いフレーズでなければ、それなりに弾ける、と語っている(ハズ)。

【7】MIDI & DAW
 PCを中心としたシステムでMIDI経由のハードシンセやソフトシンセも使いこなしているようだ。例えばハープシコードの音色は、ドラムのシンバルサウンドに埋もれがちになるがおそらく音源を2つにして重ねたり、音色をエディットして曲の中でも抜けるサウンドになっている。作曲においてもバリバリ使っているのかと思いきや、アコギと歌で作るとのこと。

【8】レコーディング
 インディーズ1stでは単体HDR(マルチトラックハードディスクレコーダー、ローランドVS-880)から、今はおそらくPCレコーディングに移行していると思うが、ギターは勿論、ドラムのマイキングまでやって自分で演奏して録って…、八面六臂の活躍とはこのことである。

【9】ミキシング
 インディーズ1stの頃は確かYAMAHAの03Dか何かを使っていたと思う。現在はPCでミキシングだと思うが、専門のエンジニアがいる世界である。一般的なメタル系ギタリストでここまでできる人はいないだろう。ドラムの各パートのバランス、スネアやバスドラの音作り、リヴァーブやイコライジング、コンプといった処理も普通に聞いていると全くわからない。そう、ミキシングエンジニアがやっていると思えるぐらい素晴らしい。メタル系ミュージシャンでミキシングにも手を出す人もいるが、ここまでのクオリティは出せていないと思う。適切な文章表現ができないのが悔しいがとにかくスゴイんデス!

【10】マスタリング
 インディーズ1stの頃は専門の業者に出していたと思うが、最近では自分で行っている。ハードやソフトの進歩や高性能化が著しいが、これもミキシングと同じく専門のエンジニアがやっている世界。私のような素人にはその大変さや難しさはほんの少ししかわからないが、このマスタリングという作業はよい耳と高い技術が必要だと思う。マルチバンドコンプで音圧をただ稼げばよいだけでなく、1曲の完成度を高めつつ、曲と曲とのつながりやアルバム全体も考えながら高めていくのだろう。

【11】映像編集
 発売されているDVDやネット上の映像も全て編集しているそうだ。「できるからやる」とは彼の言葉だが、センス良くまとめる彼の感性に驚く。

【12】CD/DVDジャケット制作
 インディーズ1st、メジャー1stのジャケット制作はプロのデザイナーさんの作品だが、その彼がKellyはデザイナーでも「食える」とおっしゃっていた。サイトのデザインもおそらく彼だけで作成していると思うが、本当にセンスがよく、絵心があると思う。

【13】ウェブサイト制作
 ウェブデザイナーでも食っていけるだろう。(笑)今までのオフィシャルサイトのデザインはどれも素晴らしかった。この世界も流れが早く、Web1.0時代はテーブルタグでレイアウトしていたが、現在はCSSが中心である。そういった技術もあっという間にモノにしてしまう。

【14】営業
 いわゆるレコード会社や音楽マネージメントと契約するのではなく、自分でCDを作成しそれを流通に載せCDショップで売っている。ネット上の販売も早かったし、海外のレーベルとも契約して、海外のファンも通販で彼の作品を手に入れることができた。amazonで、iTunesで検索して欲しい。大手と契約していなくともこうやって作品をリスナーに届けられている。彼がもしビジネスマンなら、どういう仕事ぶりだろうか。

【15】トーク
 ライヴではMCも1つの要素である。彼は大阪人であるが、彼にはお笑いの血が流れている(笑)。ある時は2枚目に、ジョークで笑わせる。時にはちょっぴり自虐的?なネタも織り交ぜて楽しませてくれる。オフィシャルブログを読んで貰うとその片鱗を感じることができるだろう。しかし、ブログでは彼の面白さは十分伝わらない。ライヴで、またクリニックで彼の絶妙なトークを体験して欲しい。

 2010年現在、ミュージシャンなら大なり小なり上記のことには手を染めている人も少なくないだろう。PCを中心としたDAWやMA等が個人ベースでできる、まさにそんな時代なのだから。しかし彼ほどの才能に恵まれ、その才能に溺れることなく努力し、結果を出している人は本当に一握りの人間だと思う。
 彼の魅力はイングヴェイに影響を受けた速弾きだけではない。それは本当にほんの一部だ(その部分の成長も著しく驚かされる)。いろんな面から細部を追っていくと、彼がどう自分の音楽を作り上げようとしているか、心血を注いでいるかを感じることができる。

 2010年7月2日(金)大阪で彼のライヴを3年ぶりに見る予定だ。楽しみでたまらない。
ライブレストラン フラミンゴ・ジ・アルーシャ

 彼はまだまだ活躍するだろうし、もっともっと有名になって世界で活躍して欲しい。40歳を迎える彼の今後から目が離せない。

Happy birthday, KELLY!!