指揮者 マリオ・コシックさん
ブラティスラバでマイナス20度の中、私のコンサートに来て下さったスロバキアの指揮者マリオ・コシックさん。
「いつか君と演奏したい」と楽屋にいらしてくださったときはまだ何が始まるか分からず、ただ「ハ・イ・・・」とお返事して名刺を渡しました
その後彼はスロヴァキア放送交響楽団の首席指揮者になられました
何と若い首席指揮者でしょう。
今やスロヴァキア、チェコの音楽界において最も注目を集めている新鋭指揮者のひとりなのです。
彼から連絡が入り私はスロバキア放送交響楽団のソリストとしてコンサートに招かれました
曲目は日本人作曲家:戦前にヨーロッパで活躍し、若くしてこの世を去った天才
貴志康一 のヴァイオリンコンチェルトです
日本的な「こぶしまわし」のような部分もあるこの曲に聴衆は魅了されました。
すっかり意気投合したマリオとは又の共演を誓い合いました。
ヨーロッパではこんな形で演奏の場が広がってくるのです
1回1回の演奏が勝負だなあとつくづく思いました
雪・零下20度の中の熱いコンサート
外は又雪がちらついてますね
スロバキアでバッハのコンチェルトの演奏旅行のときでした。オーケストラと初めてのリハーサルの日、外はマイナス4度でした
なのにオーケストラの団員さんが 「It 's a hot day」というのです
ずい分おかしな人たちだなあ と曖昧な返事をしていたら「明日は冷えるよ」といわれました
翌日理由が分かりました、なんとマイナス20度まで気温が下がったのです
ソリストがころんでケガをされちゃ困るから外にでちゃいかん といわれて散歩もできずにホテルに閉じ込められ、窓から街の雪景色を眺めてました
でもスロバキアのオーケストラの方たちは皆温かい人ばかり、特にバッハを弾きだしたときはアツーイ音で史上最高温のバッハを演奏できました
寒くて熱い思い出の街ブラチスラバです
このコンサートに来て下さった指揮者のマリオ・コシックさんです
この方と後に共演できるなんて
このときは夢にも考えていませんでした
ロマ(ジプシー)音楽
バッハでデビューして発売したCDもバッハ、という私ですが、もうひとつこだわりの音楽があります
それはロマ(ジプシー)の音楽です。
ヴァイオリンの曲には魅力的なロマ音楽がたくさんあります
チゴイネルワイゼン、チガーヌ、カルメン幻想曲、チャルダッシュ・・・
どれも心揺さぶられる曲ですね
それで特別にロマのヴァイオリニストに習うチャンスを見つけました
ルーマニアのオーケストラのコンサートマスターはたまたまロマ系の方でした。
練習場に通い詰め、いくつかの曲を特別レッスンしていただきました
情熱満開のボーイング、哀愁をこめたビブラート、しばしば低めに取るべき音程、フレーズの独特な終わり方・・・
ラヴェルのチガーヌとチゴイネルワイゼンではロマの出所が違うと知ってびっくり
時々共演しているハンガリーのエルノー・フェヒールさんも父親がロマ系で、バルトークを共演した時、踊りの型まで教えてくれました
やりたいことはトコトンやる という私の性分にはロマ音楽はぴったりなのです。
燃えるときは燃える日本のお祭にも似ている、と言われました。
だから日本でカルメンやチゴイネルワイゼンが人気なのかもしれませんね
カルメン
私にとってカルメンは特別な存在でした
小さい時オペラ「カルメン」を見て虜になり、サラサーテ:カルメン幻想曲の楽譜を買ってもらって弾いてみました
ところが難しくて調子よく弾けません
とりあえず踊っておこう、という事になりカルメン風スカートを原宿で買ってもらい毎日毎日踊りを極めました
このドレスを着ていつかカルメン幻想曲を弾いてヤルー と決意をしていました
ルーマニアではロマ(ジプシーのこと)のヴァイオリニストにジプシーダンスの弾き方の猛特訓を受けました
自由な生き方、自由な思想は私にピッタリです
ついにカルメンを大きな舞台で弾くことができました
(このドレスではなかったですけど・・・)
フランスのブルゴーニュ音楽祭でカルメンをイヴ・アンリさんと演奏しました
最後の楽章は二人で興奮して速かったこと速かったこと
ワイン畑の真ん中のホールで熱いカルメンを弾くことができました
日本では2月26日 地下鉄東西線葛西駅の 地下鉄博物館 「メトロコンサート」でカルメンを弾きます
聞きにいらして下さい
日本一のイカを求めて
今日は日本一のイカに出会う予定の日
露天風呂から見る夜明けは最高です
日本一のイカが生息する伊豆半島最南端 石廊崎
イカが餌とするプランクトン、この海では特別なものが発生しているそうです
それでここのイカがおいしくなるんだそうです
先ず船に乗ってイカの生息地を探索しました
一口口に含んで・・・・・・・・・ 甘くて、磯の香りがワイルドにしてお上品
・・・・・・余韻が長いーーー
シアワセ
でした
帰りに伊豆バイオパークに行きました
なんと白いトラがいるというのです。しかも隣り合わせで食事ができるそうです
ノリノリになった姉妹はトラ見物に
トラはというと・・・ご覧の通り無視されました
おみやげに伊豆のカラスミ、伊勢海老の燻製、アジの燻製を買って明日の楽しみに備えました
食べてばかりいるヴァイオリニストと言わないでください
味を司る脳と音を司る脳は隣合わせだそうです
だからおいしいものを食べると音が良くなる、というのが自論です
グルメ旅行
練習から離れて伊豆半島に遊びに行きました
おいしいもの大好き人間の私はウキウキしながら海沿いの地魚料理屋さんを覗きました
金目汁、貝汁、それに珍しいカサゴ汁がありました
金目のふくよかな味と海辺から漂う磯の香りで私の別世界旅行が始まりました
貝汁にはサザエ、ハマグリ、シッタカ、それにカメの手まででてきたのにはでした
カサゴのお味噌汁は隠し味の生姜が引き立てるウマミがいきていて、思わず目を閉じて家族との会話も途絶えがちに・・・
伊豆半島を南に下り、北側温泉に到着
私に負けないグルメのお姉ちゃんと明日の予定をたてました
明日はいよいよ日本一おいしいと言われる石廊崎のイカを求めての旅にしよう、と決定
私は練習魔!?
私は練習魔だとよく言われます
コツコツと練習するのが好きなわけではないのですが
たとえばバッハのテーマを練習する時、一つ一つの音の意味、その音のそれぞれの音程、弓の使い方:速く弾くかゆっくり走らせるか、吸いつき方は、浮かせ方は、上げ方は、弓のどこで弾くか、寝かせるか起こすか、ビブラートは高めにかけるかぶら下がるようにかけるか、速さは、幅は
テーマどうしの関係、全体の構築にまで行くと一日が終わっている・・・
そんな日が続きます
これは私にバッハを教えてくれた人からの影響も大きいかと思います
例えば私の恩師ハンガリーのエステル・ペレーニ教授は4小節のメロディーを2時間かけて教える人です
そして次の日も、又次の日も・・・ 最後に「TAMAMO don't be afraid For the audience
」で終わるのです。
練習というより考えている時間が多いのが私の練習スタイルかもしれません
少しヴァイオリンを弾く、という事から離れて自然の中からエネルギーを得る、という日もあえて作っています。
ということで景色のいいお気に入りスポット 伊豆半島に行くことにしました