(2021年秋、の旅行記です)
ループ橋を満喫後、移動して
次にやってきたのは『上原美術館』
2017年、上原近代美術館と
上原仏教美術館が一つとなり、誕生!
大正製薬株式会社名誉会長の
上原昭二によって寄付を受けた
近代絵画コレクションと
上原氏の両親である正吉・小枝夫妻の
寄付による仏教美術、それぞれを
一度に堪能できる美術館です
訪ねた時に開催されていたのは
特別展『陰翳礼讃』(すでに終了しています)
1933 (昭和8)年、作家・谷崎潤一郎が著した
随筆『陰翳礼讃』
「美と云うものは常に生活の実際から発達するもので、
暗い部屋に住むことを餘儀なくされたわれわれの先祖は
いつしか陰翳のうちに美を発見し、
やがては美の目的に沿うように陰翳を利用するに至った」
(谷崎潤一郎『陰翳礼讃』より)
現代において、光というものは
自由に調整できるようになっていますが
もともとは薄暗い建物内で
鑑賞されていた絵画のように…
あるいは、厨子に納められた暗がりの中で
金色の仏像を目を凝らして拝んでいたように…
絵画や仏像の陰翳の中に潜む
美の魅力に注目した展示です
陰翳礼讃とは、素敵な言葉だなぁと思いました
一般社会では、明るさが正とされがちだけど
実際のところ、光と影は対となるものだし
暗さ(陰翳=影)に対面したときこそ
ヨガは明るい中で、瞑想は薄暗い中で…
っていうイメージ(違うか!笑)
日本人特有の感覚かもしれない…
近代館は撮影NGでしたが
小林古径の『杪秋』も展示)

近現代の仏像に会える『仏教館』
仏教館内は基本的に撮影OK
特別展示品のみはNGでした
近現代の仏師たちによって造られた
約130体の仏像が圧巻です!!!
重要文化財とかではないけれど
数々の仏像の形を展示しているエリア
② 菩薩 (例:観音菩薩)
③ 天 (例:毘沙門天)
④ 明王 (例:不動明王)
⑤ その他 (例:聖徳太子像)
そして、各分類の中には
さらに色々な種類の如来や菩薩
天や明王が存在しているのですが
ここ、仏教館では基本的に
①~④に分類される、さらに細かい種類の
「仏像の形」を見ることができるのです!!
ここにある仏像は、
すべて異なる名前の仏像なのです!!
仏像と言われる造形物の
すべての形を見ることができるのです!
例えば、この仏像↓は薬壺を持っているので…
薬師如来です
その薬師如来の両脇を守るのは
月光・月光菩薩
薬師如来と日光・月光如来をまとめて
薬師三尊と言います
さらにはその周りを十二神将が守ります
十二神将は、それぞれ頭の上に
干支の動物を乗せていることが多く
自分の干支を乗せた十二神将の一つが
自分の守り神とも言われ信仰されています
こちらは、足の速い韋駄天
よく走るので、盗難除けの神として
知られている天部です
中央に不動明王を配す五大明王
不動明王は大日如来の化身(別の姿)です
明王さんたちは、造形がかっこいいので
結構人気ですよね!!
セットで見ることができる有名な
お寺は京都の東寺です
千手観音の周りには二十八部衆
東西南北と上下に各四部
北東・東南・北西・西南に各一部ずつが
配されており、合計で二十八部衆となります
このセットを見ることができる代表的なお寺は
やっぱり私も大好き京都の三十三間堂!
例えば如来と言っても、
釈迦如来・阿弥陀如来・薬師如来・大日如来
などがいらっしゃるのですが、
持ち物や手の形などで、基本的に
何如来かは分かるようになっています
さらには仏像達の組み合わせも
基本的に決まってて…
・釈迦如来+普賢・文殊菩薩(+四天王)
・阿弥陀如来+観世音・勢至菩薩
・薬師如来+日光・月光菩薩(+十二神将)
・千手観音+二十八部衆
といった感じなのですが
お寺によっては違う組み合わせだったり
単体で安置されているお寺もあったりで
それを見つけるのもこれまた楽しい…
知れば知るほど奥が深く
もちろん仏像すべて造形が異なるので
もう、ほんとに見仏は飽きません!
(熱く語り過ぎ…)
そんな仏像、一つ一つの形の違いを
確認できる、最高の展示でした!
すごく立派なパンフも用意されていて
至れり尽くせり
仏像好きにはたまらない、そして
これから仏像好きになる人にも
おススメの展示でした~
仏教館の奥にも絵画の展示
中央の狛犬は平安時代のもので初展示
オディロン・ルドン『読書の女』
特にこの絵がステキでした!
赤という一見明るい色を用いているのに
赤の陰影を表現することで、
派手さは全くないのに、
なぜか惹き付けられる作品でした
こちらは貴重な仏像さん①
貴重な仏像さん②
展示会の案内ポスターも
かわいかったです
今回の旅で初めて知った美術館ですが
コレクションも充実していて、
『陰翳礼讃』というテーマも
私はかなり好きな感じだったので
行ってよかった~と思った美術館でした!