浅葱アゲハさんについて、令和3(2021)年12月中の池袋ミカド劇場の公演模様を、16周年作「OZ」を題材に、「オズの魔法使いの教え」と題して語ります。

 

 

 

 

さっそく、演目「OZ」の概要を述べたい。

聞き覚えのある、懐かしいメロディが流れる。映画『オズの魔法使い』の主題歌「Over the Rainow(虹の彼方に)」である。主役ドロシーを演じたジュディ・ガーランド(当時17歳)の天使のような歌声。

アゲハさんが「ブリキの木こり」に扮して登場。ロボット風に、銀色の三角帽と銀色の衣装に身を包む。長袖の上着、短いスカート、パンタロン風に裾広がりなズボン。ズボンの前面は割れていて、まるで機械ばりに、銀の丸いパイプ管が見える。そして、木こりの道具として銀の斧を持ち、また腰には縁が赤い丸い時計のようなものを付けている。もしかして、これが「こころ」かしら。足元ははだし。

軽快な音楽に変わる。Mrs. GREEN APPLEの「Oz」。作詞:大森元貴,作曲:大森元貴。

(歌いだし)あの城を目指そうか

 OZつながりかな。よくこんな若いグループを知っていたねぇ~感心しちゃう。

音楽に合わせ軽快に踊る。銀の斧を振り上げる。

袖の付近で、一旦暗転。

音楽が変わる。Todrick Hall の「Low」 (feat. RuPaul)。これもOZつながりだね。すごいミュージシャンを知っているねぇ~感心しちゃう。

銀の帽子を取る。銀の上着とスカートを脱ぐ。スカートの下には、銀の細い何本かの浮き輪状のスカートが現われる。縁が赤い丸い時計のようなものを付けたまま。くちゃくちゃ状の銀のマフラーを身体に巻き付ける。

また、音楽が変わる。David Burnieの「Space padding」。

衣装を脱いで、銀の、首輪、パンツ、手足の布、だけの軽装へ。そのままリング演技。リングには蛍光色(緑)の紐が巻き付かせている。ライトの明かりを落とし、蛍光色が浮かび上がる幻想的な演出に拍手。

ここでまた暗転。

袖から、ベールに包まれた衣装で現れる。上部はレインボーカラー。下部は白いベール。

ベッド曲は、YUKIの名曲「Home Sweet Home」。

この曲は、産休をはさんで1年5ヶ月ぶりとなるシングル作品。お子さんを亡くされた事とリンクしており、この曲を聴く度に泣きそうになる。しんみり聴かせる。

立ち上がり曲は、再び映画『オズの魔法使い』より合唱版「Over the Rainow」で締める。

 

 

童話「オズの魔法使い」は、アメリカ合衆国を代表とする童話である。1900年にライマン・フランク・ボームが著した児童文学作品で、アメリカ人で知らない人はいない。

内容は、次のとおり。

ある日、主人公のドロシーはカンザスから東の国へ飛ばされた。

ドロシーはカンザスへ戻るため、願いごとを抱えているかかしやブリキのきこり、ライオンとともに、魔法使いのオズのもとへ向かった。

オズから指令を受け、ドロシーたちは力を合わせておそろしい西の魔女を倒したが、オズの正体は魔法使いではなかった。

最後に南の魔女が現れ、オズの魔法がなくても、かかしたちの願いはもう叶っていると言った。ドロシーも無事にカンザスへ帰ることが出来た。

 

この話のミソは次の三人の家来である。日本の桃太郎の猿・犬・雉みたいだね。

・かかし…わらのつまった頭に、脳みそをほしがっている。

・ブリキのきこり…からっぽになった胸に、新しいこころをほしがっている。

・ライオン…おくびょう者で、勇気をほしがっている。

 

 演目「OZ」では、この三人の中から、ブリキの木こりを取り上げたところである。

ちなみに、この物語は、いろいろ深読みされており、ブリキの木こりは東部の労働者階級を表現しているとされる。19世紀、労働者は機械を動かし続けなければいけなかった。そのためボームは東部の労働者階級が家族をかえりみず働き続けたことをブリキの木こりで表現しているのだと。

 まぁ、そこまで政治的解釈するまでもなく、ボームは本作の序文には「ただ今日の子供を喜ばせる為に書いた」と明言している。

物語の三人は、最初のうち、「知恵」「こころ」「勇気」について、魔法で手に入れようと考えていました。ところが、西の魔女とのこわい戦いに逃げずに立ち向かった結果、知恵やこころ、勇気が手に入ったところです。大切なのは、努力と経験です。がんばった経験は必ず、あなたの中にあなただけの知恵やこころ、勇気を形作ってくれるということを教えています。

 

 この映画『オズの魔法使い』に興味が湧いて、映画の主人公ドロシーを演じたジュディ・ガーランドのことを調べました。

ジュディ・ガーランド(英語: Judy Garland、1922年6月10日 - 1969年6月22日)は、アメリカ合衆国の女優、歌手。子役として出演した『オズの魔法使い』で大人気を博します。『オズの魔法使い』はジュディの才能を大々的に世に知らしめるものとなり、この役でアカデミー子役賞を受賞する。

以後も映画『スタア誕生』などで抜群の歌唱力を披露して1940〜50年代のハリウッドを代表する大スターの一人となった。そしてアカデミー主演女優賞にノミネートされた。が、主演女優賞は『喝采』のグレース・ケリーが受賞し、ジュディの受賞はならなかった。受賞を逃した失意により、彼女の私生活は再び荒れはじめ、数度の自殺未遂を起こしている。

私生活では、結婚と離婚を5回繰り返す。薬物中毒と神経症はさらに悪化。1969年6月22日に滞在先のロンドンで、睡眠薬の過剰摂取にてバスルームで死去。自殺とする説もある。47歳だった。

 

天使のような歌声をもつ世界的な天才歌手が、こんな壮絶な人生を送ったことを知って唖然となった。映画の主人公であるジュディ自身が、オズの魔法使いの大切な教えである「知恵」「こころ」「勇気」をなくしてしまったことがただただ残念でならない。

 

2021年12月                           池袋ミカド劇場にて