熊野あゆさん(ロック所属)の、2019年5月中の大阪東洋ショー劇場における公演模様を、演目「アリスインワンダーランド」を題材に、「アリスというパラレルワールド」という題名で語りたい。

 

 

 

 

今週の出し物は二個出しで、1,3回目ステージを三作目「アリスインワンダーランド」、2,4回目ステージをデビュー作としている。

 

今回は、新作の「アリスインワンダーランド」について観劇レポートしたい。

1,2作目と比べるとずいぶん雰囲気を変えた出し物だと思ったら、これは憧れのお姐さんと言っていたみおり舞さんが作ってくれた作品なんだね。私もみおり舞さんのステージが大好きで、舞さんのステージをたくさん観劇レポートさせて頂いてる。舞さんから「他の踊り子さんにも作品を提供しているので是非観てみてね!」と言われていたので、あゆさんの話を聞いて嬉しくなった次第。観劇レポートし甲斐がある。(笑)

みおり舞さん制作の作品と聞いて、すごく納得がいく。あゆさんとしても、アイドル演目だけでなく、新しい分野への挑戦になるね。この作品は踊り子として成長するいいきっかけになると思う。

アリスの作品はけっこう多くの踊り子さんが演じている、ある意味、ストーリーものの定番といえる演目だ。ダントツが人魚姫で、アリスはその次に人気があるかな。私の思いつくところで例をあげれば、今やロックの10年目のベテラン・鈴木ミントさんも第二作目が「アリス」だった。東洋のアイドル・荒木まいさんも「あっ!らっきーいんわんだーらんど」を2017年8月に披露しているのが記憶に新しい。

あゆさんが「みおり舞姐さんが今回の作品を作ってくれたので選曲は分からない」と言っていたよね。アリスというテーマはあゆさんが指定したのかな、それともみおり舞さんが考えてくれたのかな。いずれにせよ、アリスの物語と選曲をあゆさんなりにお勉強して理解し、演ずるうえでの血肉にしてほしいと思う。そこで、私の知っていることを以下で述べますね。私の友人が選曲名を調べてくれたので、ネット情報なども整理しておくね。少しでも役に立てれば幸甚です。

 

今回の演目名でもあるように、アリスと言えば、2010年公開のアメリカ映画『アリス・イン・ワンダーランド』(原題:Alice in Wonderland)が有名だね。私も観たけど、マッドハッター役のジョニー・デップが好演技してたなー。ちなみに、これはティム・バートン監督の作品で、最近では彼のディズニー作品・実写版の「ダンボ」も人気があるよ。

ともあれ、アリスの原作は言うまでもなく童話「不思議の国のアリス(原題はAlice's Adventures in Wonderlandで映画とは少し違う)」がべース。

イギリスの数学者であり作家でもあるルイス・キャロル(1832.1.27-1898.1.14)は1865年に『不思議な国のアリス』を出版し人気を博した。この作品は、童話を従来の教訓物語から開放し、言語遊戯、論理学、夢(精神分析)などの要素を取り込み全く新しい童話の世界を切り開いたものとして、イギリス文学史上特筆すべき作品とされ、後世の童話に大きな影響を与えた。(この作品には多くの駄洒落、ナンセンス、パロディ、風刺などが散りばめられており、もちろん親父ギャグ好きの私の創作童話にも影響しているよん(笑))

『不思議な国のアリス』は、主人公のアリスが、白ウサギを追って、うさぎ穴に落ち、そこから人間の言語をしゃべる動物や人間のようなトランプの札の住むファンタジーの世界を冒険する物語である。

 

あゆさんの本作品「アリスインワンダーランド」は、(映画ではなく)童話をモチーフにし、童話の最初の部分に登場するアリスと白ウサギを中心に描かれている。

まず、このアリスと白ウサギを解説しておこう。(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)

主人公のアリス (Alice) は、ルイス・キャロルの児童小説『不思議の国のアリス』(1865年)およびその続編『鏡の国のアリス』(1871年)のヒロイン。前者では不思議の国に、後者では鏡の国に迷い込み様々な体験をすることになる少女。年齢は『鏡の国のアリス』では7歳6ヶ月、『不思議の国のアリス』では明言はされていないが、ちょうど7歳と推測される。アリスはヴィクトリア朝イギリスでの、ある程度教育を受けた子供であり、物語の中では優しく、礼儀正しく、好奇心の旺盛な性格の少女として描かれる。アリスは後世には様々な挿絵画家によって描かれ、またいくつもの映画化作品で様々な女優が彼女を演じており、そのイメージの形成にはジョン・テニエルによって付けられた挿絵が大きな役割を果たしている。→ロリータファッション、コスプレの代表だよね!

次に、白ウサギについて。原作では、単に「白うさぎ」としか書かれていないが、時計を手にいつも時間を気にしていることから「時計うさぎ」と呼ばれる。

服を着て言葉を発しながらアリスの傍を横切り、結果的にアリスを不思議の国へ導くことになるウサギ。彼は公爵夫人のもとに急いでいるところであり、2章では扇子(この扇の効果でアリスは体が小さくなる)と手袋を落とし、第4章ではアリスを女中と間違えて使いにやったのち、部屋いっぱいに大きくなったアリスを何とかして追い出そうとする。そして、第8章では、ハートの王と女王とともに現われて、周囲に追従してまわり、11章および12章の裁判の場面では、布告役として姿を現すなど、比較的物語を通して姿を見せるキャラクターである。

後年の解説では、キャロルは白ウサギについて、彼はアリスの対照(「分身」ではなく)として生み出されたキャラクターであり、アリスの「若さ」「大胆さ」「あふれる元気」「決意のすばやさ」に対して、「分別くささ」「臆病」「脆弱」「狐疑逡巡」をその特徴とし、「きっと震え声で話すだろう」と述べている。

最後に、アリスと白ウサギの関わりについて。

『不思議の国のアリス』の物語は、もともとルイス・キャロルことチャールズ・ドジソンが、知人の娘である少女アリス・リデルのために即興で作った物語がその原型となっている。このため一般的には物語の主人公であるアリスも実在のアリス・リデルがそのモデルになっていると考えられているが、しかしキャロルは生前、アリスは純然たるフィクショナルなキャラクターでありいかなる現実の子供にも基づいていないと何度か発言してもいた。

白ウサギのキャラクターは、リデル家のかかりつけの医者であったヘンリー・ウェントワース・アクランドがモデルであるとも言われている。なお、キャロルとアリス・リデルが遊んだオックスフォード大学クライスト・チャーチでは、ウサギを見かけることは珍しくなく、ウサギが穴に飛び込むような場面も驚くようなことではなかったという。

 

前置きが長くなってしまいました。

では、本作品「アリスインワンダーランド」のステージ内容について述べますね。

最初は、盆の上で、アリスが赤褐色の背表紙の本を読んでいる場面からスタート。

定番デザインのアリスの衣装。青色(サックスブルー)の半袖ワンピースの上に付けた白いエプロン姿。エプロンの上部には大きな白いリボンが付いている。髪は背中まで流れる黒いロングヘア。短いスカートの下に白いシューズを履く。

オープニングのオルゴール曲は、ディズニー映画「ふしぎの国のアリス(Alice in Wonderland)のテーマソング。

そして二曲目は、Yann Tiersen (ティエルセン)のピアノソロ「La valse d'Amelie(アメリのワルツ) 」。

この曲の最後で、アリスがうさぎを追いかけまわし、「わーっ!」と叫んで、うさぎ穴に落ちる。

ここで暗転。

音楽が変わり、うさぎ姿で再登場。

大きな長い耳。耳の下には大きなリボン。少しピンクがかった白い上下セパレート衣装。上半身は半袖で、首回りはハート形に開いている。丈が短く、おへそが見える。絵柄の入ったミニスカート。そして、定番の時計をぶらさげる。前と同じく白いシューズを履いて軽快に動く。

音楽は、Jónsi (ヨンシー)の「Go Do」。

ここで場面が変わる。

鐘の音が聞こえる。そして、ディズニー映画「ふしぎの国のアリス(Alice in Wonderland)のテーマソングが続く。

アリスに着替えて登場。水色のワンピースの上に白いレース布をかぶせるてある。胸元に黒いリボン紐。スカートの裾部には黒いスペードと赤いハートが交互に並ぶ。スカートの裾は水色のビニール生地。裸足で駆け回る。

ここが不思議の国での場面になる。舞台の横から最初に小さなキノコを出し、次に大きなキノコを出す。これはアリス自身が小さくなったことを示している。そのため泣き出すアリス。

また、赤い手袋を左手にかぶせる。目玉の付いた赤い鳥だ。そのままボールの入ったバスケット籠を盆の上に運ぶ。赤い手袋が勝手に動き、バスケットの中の赤いボールと青いボールの二個を観客席に投げる。

音楽が、Capsule の「Starry Sky」に変わる。聞き覚えのあるエレクトリカルなサウンドと思ったら、CAPSULE(カプセル)は、なんとあのPerfumeで有名な音楽プロデューサーの中田ヤスタカと、ボーカルのこしじまとしこによる音楽ユニット。

そのまま、ベッドショーへ。赤いパンティを首に巻き付ける。アクセサリーを目で追う。ウエストのガラスのブレスレット。左手人差し指に純金リング。マニキュアがきらきら銀。

立ち上がり曲は、clammbon(クラムボン)の「タイムライン」。選曲センスが光る。きれいな日本語の歌詞と癒されるメロディ。心に残る歌だ。

最後に、鳥の声が聞こえ、本を読んでいる最初のシーンに戻り幕が締まる。

 

アリスはうさぎ穴というタイムラインを通って時空を超えた。でも、不思議の国はたしかにあるように思う。二つはパラレルワールドだ。人間というのは、いつも現実の世界で生きているわけではない。ときに人間は空想により別の世界ファンタジー・ワールドに行くことで生きるための心身のバランスを保っているのだと思う。

 

2019年5月                          大阪東洋ショーにて