もう年の瀬に近い。この一年もあっという間に過ぎた感じがする。

 最近はだいぶ寒くなってきて、冬の気配を覚える。でも例年に比べて暖かい。今年は雪がみれるだろうか。

 そういえばTSミュージックが閉館したときは雪の降る寒い時期だった。今更ながら懐かしく思い出す。

 TS所属の中谷ののかさんのレポートを振り返りながら、引き続きTSミュージックの思い出を辿りたくなった。私のストリップ日記から紹介してみよう。

 

 すでに、本ブログでTSミュージックの思い出をいくつか書いている。

 ・開場前の朝待ち風景

 ・転がる石

 ・観る劇場と感じる劇場

 ・窮屈な幸せ

 

 今回は、それ以外の話を載せてみる。

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  お酒を飲んで夜が深まった頃、まっすぐ帰りたくなくて、劇場に立ち寄る。

  夜のとばりにライトアップされている劇場の看板。吸い込まれるように劇場の扉を開けて中に入ると、ちょうどベッド中だった。丸い盆を囲む男たちのギラギラした視線が踊り子さんの真っ白な肌に降り注ぎ、盆全体から妖しい青白い炎が立ち上っていた・・・

と、小説風に書き出してみた(笑)。

 

  踊り子さんと客が作り出す一種独特な空間、とくにベッドでの静寂が私はたまらなく好きだ。

客は踊り子さんの美しい裸体とエロティズムに酔いしれる。音楽は鳴っているも、静まりかえって物音ひとつしない状態。そこは踊り子さんと客が一体になった桃源郷と化す。

  こうした感覚は不思議にも日中よりも深夜の方が増す。劇場内はつねに暗いものの、明るい日中よりも夜が深まれば深まるほど高まる。きっと夜のもつ闇が感覚を鋭くさせてくれている。

特に四回目のラスト・ステージは、その踊り子さんのファンしかいないので、ステージを見つめる目は純化される。熱くそして真剣である。踊り子さんはその空気を身体全体で感じ、よりエネルギッシュにステージを演じてくれる。ファンと踊り子が作るその空間はとても幻想的で美しい。言葉はいらない。そんな気にさせてくれる。

 

  TSミュージックではトリの踊り子さんのステージがよく深夜24時を過ぎる。もう終電がなくなって泊まりを覚悟しているファンも多い。今夜は踊り子さんと心中だ!みたいな気分かな。踊り子さんも、そうしたファンの熱い想いを理解し、感謝の気持ちでいっぱいになっている。そこには、夜のしじまが創ったひとつのドラマがある。

 

  夜というのは妖しい魅力をもつ。

  私は朝早くから並んで観劇するイメージを持たれているかもしれないが、本来ストリップは夜に観たいと考えている。ストリップは夜ととても相性がいい。ツアー客なんかは除くが、実際ストリップ・ファンの多くは仕事帰りに、仕事の疲れを癒しに劇場に寄る方が多い。(夜に寄る、なんてダジャレをすぐに言いたくなる(笑)) だから、劇場は昼過ぎに開場し深夜遅くまでやるという夜型営業になっている。

  寝る前に、好きな踊り子さんに会って楽しいひとときを過ごす。ストリップこそ、夜のとばりに溶けゆく最高に贅沢なひととき。

  私はそれを求めて今夜も劇場に向かう。

 

                              

 

<参考>

【とばり】 (帳) ①たれぎぬ、幕、②おおい隠すもの

【しじま】①静まりかえって、物音一つしないこと。静寂。②口を閉じて黙りこくっていること。無言。