放送作家集団『ストレンジャー』ブログ by ウノプロダクション -206ページ目

#11 『上村愛子 最後の五輪』

始まりは長野から。
地元、白馬村で育った彼女は初の五輪でいきなり7位入賞を果たす。
それからソルトレイク(6位)、トリノ(5位)、バンクーバー(4位)と
着実に成績を上げながらメダルには手が届かない。
そうして迎えた今回のソチの舞台。

ギリギリ残った決勝では第一走者。これがオリンピック最後の滑り。

スタート!

この一本に全てを懸ける意気込みが伝わる。
準々決勝、準決勝とは明らかに違う。
ターンが速い、着地もブレない、
ジャンプもこの日の誰よりも高いバックフリップを決めてゴール。
タイムもこの日のトップ!

滑り終えた瞬間、見ているこっちまでジワッとくるものがあった。
彼女のこの一本に懸ける思いがはっきりと伝わる滑りだったからだ。

しかし、結果としては4位に終わってしまった。

インタビューでは開口一番、
「聞きにくいかもしれませんが、真っ直ぐ聞いて下さい」と。
長野で見せた「滑ることが楽しくてしょうがない」
というような純真な笑顔ではなくて、
モーグルを突き詰めた努力の結果を
この一瞬に全て出し切れた満足感に溢れる笑顔に変わっている。
これまで5度のオリンピックは、選手をここまで成長させる。

また、「特に決勝は渾身の滑りでしたね」との問いかけに、
「それが皆さんにもし伝わるような滑りが出来ていたとしたら、
今までにできなかったことなので、それがすごく嬉しいことです」と。
いつもと変わらぬ上村スマイルで応えていた。

この16年の間、一人の競技者の人生を日本中が見つめてきた。
五輪のモーグルにはいつも上村がいた。
たった4年に一度かもしれないが、皆が彼女の成長した姿に声援を送った。
今日がその集大成。
最後もメダルにはあと一歩届かなかったけれど、
彼女が5回、オリンピックのメダルに挑戦し続けたことは忘れない。

日本中に愛されながら、
オリンピックのメダルにだけは愛されなかったひとりの女子モーグル選手。
上村愛子、最後の五輪が幕を閉じた。

放送作家 広田山

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#10 『五つ子』

これは、全くウソの話なのですが・・・。

「五つ子ちゃん」の長男坊として生まれた私は、
幼い頃より、特別な自尊心を首にぶら下げ闊歩していた。
ちょいと道を行けば、
「五つ子ちゃんよ」「双子の倍以上よ」と、町の噂のど真ん中。
下の世代の人間達は、羨望の眼差しで私を見つめ、
「いつしか大きくなったら、ボクも五つ子ちゃんになりたいです」
と、無茶な望みを打ち明ける。
私が調子に乗るのも無理はなかった。
・・・しかし、良い時は、そう長く続くものではなく。

ある年。
「遠くの町から、7つ子ちゃんが転校して来た」
私は五つ子ちゃん。明らかに、2ポイント差で負けていた。
失脚。絶対的「五つ子ちゃん」の巨塔が、音を立てて崩れ去っていく瞬間。
「双子」「三つ子」を鼻で笑っていた自分が、急に恥しく、愚かに思えた。
これからは一生、でしゃばらず、
サボテンの様にひっそりと生きていく事にしよう。
さよなら・・・、私の青春。

そして、翌年・・・。
一輪車で日本一周の旅に出た少年が、
アドバルーンに乗って町に帰ってきた
一体何のコトやら分からないが、とにかく町は大騒ぎだ。
ただ・・・、さすがにコレは駄目だと思った。
口出しせずにはいられなかったのだ。
ごったがえす人の群れを掻き分け、私は、「少年アドバルーン」と対峙した。
キョトンとした、周囲の人間たち。
「やい、少年アドバルーン」
私は言ってやった。
「人の気を引く為とはいえ、ウソは付かないで下さい」

・・・・ん?

放送作家 半袖五組


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#9 『普通じゃないもの 02』

戦国時代のポルトガル人宣教師ルイス・フロイス。
彼が遺した手記「日本史」によると、
豊臣秀吉には、手の指が6本あったといいます。

ギターが趣味の自分にとって、
このことがとてもうらやましく感じられます。
ギター初心者にとって、最初の挫折となる「Fのコード」。
指が6本あったら、きっと楽に克服できるでしょう。
ジャズなどで多用される複雑なコードや、
ヘヴィメタルのテクニカルなフレーズにも対応できるかも知れません。

でも、無いものねだりはよくありませんね。
私たち人間には、元来、二本の腕、左右5本ずつの指しかないのです。

しかしながら人類が歩んできた歴史とは、
こうした、かつて当たり前とされていた前時代の常識を
ぶち壊すことで進化してきたのです。

それはギターにも言えることです。
「腕が2本だと、ギターも一本しか弾けないのか?」

ここに、私たちの古臭~い固定観念を鼻で笑う、進化形ギタリストがいます。


マイケル・アンジェロ。56歳・アメリカ人。
「腕は2本でも、俺は4本ギターを弾く」

彼は、長年の鍛錬によって「片手での奏法」を編み出し、
左右のギターを同時に弾くことを可能にしたのです。
下部の2本もたまに弾いたりするので、
実質腕2本で4本弾いてます。間違いありません。

この際、彼の音楽性は問題ではありません。
ヒトがサルから進化したように、
いずれ人間も4本腕に進化するかも知れない。
その進化は、私たちが生きている間に起こることはないでしょう。
しかし!このマイケル・アンジェロが、
来る未来の姿を提示してくれたのです。

その喜びを、我々人類はもっと噛みしめるべきではないでしょうか…。

テレビ界のマイケル・アンジェロを目指す、
放送作家 栗子じょん

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