歳をとってしまった。
医者から最初に病名を聞かされたのは昨年別れた元妻だった。
すい臓がんと診断され、元妻はきっと余命も聞かされていると思うが、
わたしは知らないふりをしている。
訊いても仕方がないからだ。
人の死亡率は100%だ。
残された命を一生懸命生きるしかない。
やりたいことはたくさんある。
口に出して言っていると叶うそうだ。
確かに今まで自分で企画した映画は全て口に出していた。
そういえば、尊敬する俳優・金子正次さんもがんで亡くなった。
わたしはすでに金子さんの倍ほど生きている。
治療しないまま一年過ごした。
髪の毛はすでに抜け落ち、若いころの面影はない。
きっと若い頃を知っている人は今のわたしと会っても、
わからないだろう。
最近、何十年か振りに会う人が増えた。
それも最後を予感させる何かなのだろうか?
先日は30年振り、40年振りに会った人がいた。
眠りにつくと夢の中で亡くなった人がわたしを待っている。
28歳で亡くなった先輩、58歳で亡くなった叔父、69歳で亡くなった父、
団地の屋上から飛び降りて亡くなった叔父もいるなァ。
あ、95歳まで生きたお祖母ちゃんまでいるぞ(笑)。
カアちゃんは88歳、あ、まだ死んでないのになんで登場してくるンだ(笑)。
出たがりか。
まあいい、長生きしてくれ。
48歳で亡くなった佐藤仁……みんな笑顔で酒を飲んでいる。
亡くなった人はみんないい顔している。
待ってろ、今そっちへ行くからナ、
と、一歩踏み出したところで目が覚めた。
わたしは生きている。
そして今日は4月1日、誕生日だ。
みなさん、お付き合い、ありがとう(笑)。
どうせいつか死ぬんだ、頑張っていきまっしょい!