佐々部清監督逝去 | 森岡利行オフィシャルブログ「監督日誌」powered by Ameba

森岡利行オフィシャルブログ「監督日誌」powered by Ameba

脚本家
舞台演出家
映画監督
プロデューサー
文教大学情報学部メディア表現学科非常勤講師

佐々部監督が3月31日に亡くなられた。
62歳だった。
早いなァ。
早すぎますよ、佐々部監督。

 

佐々部監督とは二度ほど面識があった。

私は以前、ある制作会社の社長に
打ち上げで、
「森岡さんはもっと、スタッフに好かれる監督に
ならないと……『半落ち』撮った佐々部監督みたいに……」

と言われたことがある。
その時、面識はなかったが
佐々部監督は助監督あがりで、
俳優にもスタッフにも物凄く気を遣われる方だと
聞かされた。

それから私が監督協会に入った後、
忘年会でお会いし、挨拶させて貰ったのが一度、
その時は高倉健主演の『鉄道員(ぽっぽや)』を撮られた

降籏康男監督を紹介して頂いた。
佐々部監督は『鉄道員』で助監督をされていた。

そして、二度目は昨年、

私が非常勤講師をしている文教大学に
佐々部監督が特別講師として招かれ講演をされた際、
その授業を受けさせて貰った。

『鉄道員』で最後に死んでいる高倉健さんは
実は佐々部監督だったそうだ(笑)。
授業は健さんの話や、

監督の創作術についての話だった。

あっという間の90分だったのを覚えている。

健さんはスタッフ全員の名前を覚え、
名前で呼ぶという。

決して、「照明さん」とか「メイクさん」とか

呼ばなかったそうだ。
「だから、私もそうしています。
名前をちゃんと覚えて読んでいます。
(私の方を見て)……森本さんもでしょ」
と言われて、思わず、
「そうします」と答えてしまった。
心の中で「森岡なんだけど……」
と笑ってしまったが(笑)。

 

授業が終わってから、

以前、「佐々部監督のような監督になれ」と

言われたことを話したら、

「でも、その社長、一度も仕事回してくれないンだよなァ」

と仰っていたのが可笑しく、

年上の方に失礼かもしれないが、

どこか映画少年のような
チャーミングな人だった。

その後も、お礼のメールをしたら、

すぐに返信して下さった。

礼儀正しく、律儀な人だった。

佐々部監督、天国でも映画撮って下さい。
お疲れ様でした。

 

合掌。