オーディション | 森岡利行オフィシャルブログ「監督日誌」powered by Ameba

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脚本家
舞台演出家
映画監督
プロデューサー
文教大学情報学部メディア表現学科非常勤講師

新宿で“STRAYDOG”の新人と次回公演の出演オーディションが

行われた。


ワークショップ(稽古)形式で行われるのだが、

いつも新しい人との出会いはなかなか楽しい。


受けに来る人の中にはすでに養成所に通っていて

事務所を探してくる人も多い。


いつも思うのだが、

養成所はオーディションに対する心構えというものを

ほとんど教えていない。


ちゃんと挨拶すること、

セリフをしっかり覚えてくること、

演出が話している時は演出の話しを訊く、

人が演じているときは人の演技を見ておくという、

基本的なことを教えていないのだ。


みんな台本に目を落とし、

台本を読んでいる。


あのね、

映画やテレビの現場で一流の俳優は

台本なんか持ってこないのよ。


設計図を片手に釘を打っている大工はいないだろ。

地図を見ながら運転しているタクシーの運転手は恐いだろ(たまにいる)。


教えている人が現場に関わっていないから、

現場のことを知らない。

ちゃんとした俳優を知らないから、

優れた俳優がどうしているのかを伝えることが出来ない。



苦しいことから逃げないこと、

続けることが大事だと思う。



なにか「美味しいことはないかな」なんて探している奴は

そういう小ずるい顔してるし、

色んな事を乗り越えてきた奴はいい顔しているもんだ。



そんなことを思いながら、

ヤホーのレビュー試写会へ。



ティーチ・インの後、

プロデューサーの西口典子氏がちょっといい話しを。


「私は小学生の頃、毎年友だちと別れなければいけない生活を強いられました。すごく淋しかったし、今でもあの友だちはどうしているンだろうって、折りに触れては思い出すことがあります。でも、私は会えないンです……。その友だちが今、何処で、ナニをしているのかもわかりません。連絡も取れません。この映画を観て、友だちに会いたいなと思ってくれれば嬉しいし、是非、そんな友だちに連絡してあげて下さい……」


涙ぐみながら話す西口Pは普段はおっさんのようなのだが、

一瞬、女の子に見えた。



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西原さんの壁画の女の子と並ぶ元女の子の西口典子氏。


公開も近づき、いろいろ批評が出ている。

先日言ったキネマ旬報(8月下旬号)にも評論があった。

いい評論だと嬉しいのはあたりまえだが、

ケナしているのも多々見受けられる。


自分の子供のような作品を一刀両断でケナされているのは

やはりムカツク。


「おたくのガキ、ぶっさいくやなぁ」


と大阪弁で罵られているのと同じだ。


「あなたのお子さん、変な顔してるね」


と丁寧に言われてもムカツク。


まぁ、金を払って(今は試写会だからタダ)

見てるンだからナニを言おうと自由なのだが、

この親の気持ちをわからない無神経な言葉を吐くのは

やはりムカツク。



え、ムカツキませんか?

ムカついちゃダメか?



別に私の子供(映画)をケナしてもいいが、

金属バット振り回して喜んでいるような子供や、

角材持って人を殴って平然としているような

子供を褒めるのだけはやめてくれ。



テレビゲーム感覚で暴力や殺人を謳っている映画だけは

褒めないでくれ。



平手でも、拳骨でも、

顔面を殴られた人の痛みや恐怖を知ってくれ。

心にも躰にも傷がつくことを知ってくれ。



中学生の頃、私は顔面を叔父(忠利)に蹴られて顔に傷がついた。

映画『子猫の涙』で山崎邦生が演じた栄治の兄だ。

顔の傷より心の傷はもっと深い。



ケンカでも殴った手が痛いのではない、

殴った心が痛むのだ。



また、高校生の頃、部活の先輩に一年生の応援の仕方が悪いと

正座で黙想させられ、長い説教の後、いきなり腹を蹴られた。

腹を押さえ、蹲る私の顔を踏みつけられた。

立ち上がって殴り返そうとしたら、長い正座で足が痺れて動けなかった。



あのときの事を、私は今でも忘れない。




痛みも知らないで暴力を語らないでくれ。

まぁこんなもんかなと、暴力を表現しないでくれ。




私の子供をケナしている奴らは

そんな痛みを知らない、行間を読めない奴に思えてならない。




それでもまだ、評論のまな板にのっけてくれるだけでも

ありがたいが……。




ケナされていること(それも宣伝として考えれば)

に感謝している自分もいるのだ。

なぜなら、前回の映画や、前々回はそんな批評のまな板にも

乗らなかったのだから。




黙殺されるのも悲しいからね。




『女の子ものがたり』に出てくる金持ちグループの女の子たちは

いじめを見て見ぬふりするのだ。

いじめられている女の子を黙殺するのだ。




宣伝部から作家の伊集院静氏の評論を読ませて頂いた。

好きな方から褒められるのは嬉しい。



もう一人、好きな作家の×××××氏も

朝日新聞に批評を書いてくれるという。




もう、天にも昇る気持ちである。



そんな天にも昇る気持ちを与えてくれた

『女の子ものがたり』の原作者・西原先生と。


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山村紅葉さんではない、ホルモン屋の夫婦ではない、

原作者と監督だ。