BC-458A送信機の動作試験をするには、24V DC 1.5A(真空管ヒーター及びリレー用)、300~400V DC 100mA(主発振と電力増幅用真空管高圧用)程度の電源が必要になることがわかったので製作にとりかかることにしました。
真空管高圧はマニュアルでは500Vが必要なのですが、500Vでは出力が大きすぎる
(取得予定の局免許では、空中線電力10W以下)ので300V程度を予定しています。
1.パネルメータと24V可変定電圧電源の入手
必要な電源トランス、コンデンサなどは手持ちにあるので、電力増幅管のプレート電流とグリッド電圧を監視するメーターをネットで捜していたら、「パネルメータ」の商品名で24V可変定電圧電源が出ているのを見つけました。
価格もパネルメータ2個分だったしケースの大きさも製作予定の電源にフィットしそうだったので購入してしまいました。

上部ケースをはずした24V可変定電圧電源

フロント側裏面のメーターの様子

リア側の電圧制御基板の様子
ざっと点検したところ、動くかもしれないと思いダミー抵抗30Ωを負荷にして試験してみた所正常に動作するようでした。


動作試験の様子
メーター示度は、電圧30Vmax、電流5Amaxとなってますが、電圧調整ボリュームを最大まで回しても24Vまでしかあがりませんでしたので、規格は24V 4A程度なのだと思います。低い電圧から電圧を上げていくと14Vくらいの所でリレーが作動し、トランスの出力端子が18vから24Vに切り換わります。定電圧動作をつかさどる素子の入力/出力の電圧差が大きいと素子がオーバーヒートするので、電圧差が小さくなるようトランスの出力端子を変更しているようです。
「実験用定電圧電源の製作 その1~その4」で紹介している自作機では手動スイッチで切り換えてます。
2.24V可変定電圧電源の分解
この機材はメーターとケースを使うだけなので分解するわけですが、再利用できそうな部品が多いので、分解前に回路図を起こしました。
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まず電圧制御部分を取り外しました
この状態で開いたところに高圧電源部を組み込めればベストなんですが、大きなトランスがぎりぎり入る程度で、フィルターコンデンサなどを入れる余裕がありません。

取り外した電圧制御関連のパーツ
そこで、残っていた24V電源トランスまわりのパーツもとりはずしました。
たまたま24V電源トランスが入っていてラッキーだったのですが、送信機用としては容量も体積も大きすぎる(6A)のもあって外しましたが、プロのからげ配線はんだ付けをきれいに取るのが大変で手こずりました。

メーターとAC100V関係以外すべて取り外しました、ケースはアルミ製なので加工は容易と思います

予定していたトランスとコンデンサをならべてみたところ

反対側から見た様子
予定していた低圧用電源トランスは、6.3V(3A)×2のヒータートランスで、直列接続と倍電圧両波整流で24V 1.5Aを得ようとするつもりでした。
しかしこの配置試案を終えて改めて高圧用トランスを確認したら、6.3V(3A)より大きな容量の巻線がいくつもついていることに気がついて、このヒータートランスは使わないことにしました。

[高圧用電源トランスの巻線表示]
・6.3V(6.5A)巻線と6.3V(4.5A)巻線を直列につなぎ、倍電圧両波整流で24Vを得る
・高圧用には364V(220mA)巻線を使う予定ですが、高すぎるようなら440V(300
mA)巻線の片側(220V)をブリッジ整流しようと思っています。それでもプレート電流が流れ過ぎるようであればスクリーン電圧調整により空中線電力を10W以下に抑えます。目標は 電力増幅管の Vp=300V Ip=30mA プレート入力=9W
です。
SCR-274 サービスマニュアルによると7MHz CW動作時のテストデータはつぎのようになっています。(詳細は本稿末のテーブルを参照)
電力増幅管 Vp=522V, Ip=177mA Vsg=270V
アンテナ電流(A-61-A 5Ω 100PFを使用時)=3A
主発振管 Ip=18mA
3.5Aパネルメータの改造とフロントパネルレイアウト検討
30V電圧計の方は、外付けの倍率器でメータ感度を調整できますが、5A電融計の方は内部の分流器を取り外さないとフルスケール5Aよりメータ感度を上げられません。電流計を分解してメータ端子に並列に入っていた分流器(0.27Ω)とコイル直列の1.3Ωを取り外しました。
またついでにメータ表示板に手を加えて50mA電流計らしくしました。後で考えてみると500mAフルスケールの方がよかったかもしれません。電力増幅管の同調がとれていない場合かなりの電流が流れるので。
BC-458A送信機の場合主発振周波数と電力増幅周波数は連動して同調しているので大きな離調は起きないとは思いますが。

5Aメータを分解したところ

アナログテスター10Ωレンジで感度を確認

改造したメータを取り付けたついでに、フロントパネルの配置を検討しました。
まだ無駄穴があいてますが、ビスナットで隠す予定です。
4.BC-458A本体との接続方法
BC-458A本体の電源供給ソケットは特殊なものでソケット穴にぴったり入るピンなどを見つけることができませんでした。
しかし模型用の2mm径のバナナプラグ用のスリーブはほぼぴったりと合いますしカットしてはんだ付けしておけばコンタクトに問題はなさそうです。


このミニバナナプラグはプリント基板の接続用に持っていたものですがこんなところに役に立ちそうです。
バナナプラグと接続ケーブルの接続部分は熱収縮チューブで絶縁しますが、それでも高圧が露出してしまう可能性があるので全体をゴムカバーで覆う予定です。
バナナプラグがなにかの拍子に抜けてこのプラグが筐体に触れてショートすると電源焼損の事態になりますので正規のプラグを入手したいのですが、e-bayでもみつかりそうもありません。電源の出力側にヒューズを入れて過電流の防止をするつもりです。
電源ユニット側は、4ピンと3ピンの金属コネクタがあるのでそれを使う予定です。
端子盤も考えたのですが、穴あけの手間と高圧の露出防止で金属コネクタにしました。
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付録:VT-136(1619)7MHz CW動作時のテストデータ
(SCR-274 サービスマニュアルより)
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ー END ー
*最後の写真2枚をアップロード、原稿に挿入して気がついたのですが、以前は縦長
のjpg画像は横向きに表示されてしまうためPNG画像に変換してアップロードし
ていました。今は縦長jpg画像でも見たとおりに挿入されるようになっていまし
た。Amebaも進歩しているんですね。