年越し準備も終わったので、電源ユニットの製作を始めました。
1.電源トランスの選定
当初は、スイープジェネレータについていたAC80V(0.15A)出力のトランスを使って3倍電圧整流で240V程度の電圧を得る予定でしたが、同じくスイープジェネレータ(米国製)についていた別のトランスがあることに気がつき、比較してみることにしました。
左が米国製スイープジェネレータのトランスとそれに付属していた整流ボード
右が日本製スイープジェネレータについていたトランス
米国製スイープジェネレータのトランスは出力電圧等不明ですので、付属の整流ボードをはずして回路を確認してみました。(下の図)
上図と使用していたコンデンサにつけたメモ書きによるとこのボードにAC200~240VまたはAC100~120V入力を入力して +32V, -32V, +12V, -24Vの整流出力を得ていたようなので、入力の複巻 巻線を並列接続しAC100Vを入力して開放出力電圧を測ってみました。
[実測値]
入力 10+8 と9+7:AC100V
出力 14-15(チャ-チャアオ):AC136V
16-19 (ミドリシロ-ミドリ):AC28V
18-17(アオシロ-アオ):AC28V
一方、日本製スイープジェネレータのトランスは
80V(0.15A) :AC87.5V
24V(1A) :AC25.4V
電流容量は不明ですが、米国製スイープジェネレータの方が高い電圧が出るので、その14-15(チャ-チャアオ)巻線を使い倍電圧整流で高圧を得ることにしました。
2.高圧電源ボードの製作
使用する部品はすでにそろえてあったので、今回は配線のみの作業でした。
奥が高圧電源ボード、手前はとりあえず配線だけしたフィラメント電圧レギュレータボード(未テスト)
回路及び配線パターンは上のとおりです。
今回 評価しようとしている101Dは、本来 電圧増幅管でプレート-フィラメント間電圧は130V~160Vで使用(下記のデータシート抜粋を参照)するものですが、電力増幅管として使用している例も散見され(下記のアンプメーカー動作例を参照)、この場合プレート-フィラメント間に250V近くかけています。
WE101Dデータシート抜粋
WE101D WE104D アンプ動作例
今回の評価では、250V近くかけた時と170Vくらいかけた時の両方を調べたいので、倍電圧整流出力(H)と通常の整流出力(L)を切り換えられるようスイッチをつけました。
3.高圧電源ボードの試験
H 出力時の試験の様子
L 出力時の様子
無負荷の場合と5KΩの抵抗を負荷としたときの出力電圧は次のとおりです。
ただし、負荷抵抗が1分もしないうちに触れないくらい熱くなるので、負荷試験は1分
以下しかしていません。
H 出力時:
無負荷 358V 5KΩ負荷 315V
L 出力時:
無負荷 184V 5KΩ負荷 174V
Hに切り換えた時の電圧が高すぎるのは後段の平滑回路の抵抗で調整する予定です。
とりあえず高圧電源ボードの製作が終わったので、次はフィラメント電圧レギュレータボードの試験を予定しています。
4.101Dフィラメント電源レギュレータの試験
この項目は、2023.1.1に追加しました
LM338Tを使用したフィラメント電源レギュレータ
直熱3極管のフィラメント電源については、104Dアンプで結構苦労したので今回は3端子レギュレータを使って電圧調整することにしました。上の写真は秋月電子キットの回路をデッドコピーして作ったものです。
入力、出力の接続のために模型工作で使う2.5mmのバナナプラグ接続端子を使いましたがプリント基板に使うには大きすぎた感があります。2mmのものを使えばよかったと反省してます。
使用した回路(片チャネル分)
ユニバーサルボードに部品を取り付け錫メッキ線(抵抗、コンデンサの足を切り落とした)で配線しているので間違いも多いので、パターン図を作ってチェックしました。
その結果3か所も未配線(紫色の線)を見つけ修正しました。取り外した部品を使っているので足が短くて蛇の目基板の穴からほとんど出てこないので見落としてしまいます。
なんとかチェックが終わったので、試験をしてみました。
入力DC電源としては、6.3V3A×2のトランスのAC90V端子に100Vを加えて、6.3V出力をブリッジダイオード S4VB10 50で整流し、10000μ 16WVのコンデンサーで平滑したものを使いました。LM338Tの入出力電圧差は3V以上必要ということで本当は7.5V以上の端子があるトランスが良いのでしょうが。
試験の様子
出力端子に8Ω 100Wと書いてあるダミー抵抗をつないで、1KΩボリュームを回して4.5Vに調整し、ついで8Ω抵抗を並列に追加して出力電圧の変化を確認しました。
101Dのフィラメントは4.5V 1Aなので、4Ω負荷ならほぼ同等になります。
結果の詳細は、回路図の下に書いてありますが、0.5A程度の負荷電流の変化に対して電圧変化は0.05Vに収まっているのでレギュレーションはできていると考えてよいと思います。この時の入出力電圧差は3V以上あるので仕様は一応満足していると考えますが、トランスの 6.3V 3A ×2 出力の片側しか使っていないので、両方使って101D2本分のフィラメント電流 計2Aを取り出した場合、電圧差が小さくなることも考えられます。現状でも1A負荷時の電圧差は3Vちょっとなので。
この状態でも10分も動かすと、LM338Tはやけどしそうなくらい熱くなりますし、ラジエータを取り付けてある放熱板もかなり暖かくなります。
LM338Tのデータでは無限大放熱板で25Wですが、今の3W程度の発熱でも結構熱くなるので、長時間運転ではどうなるかやや心配なところです。
片ユニット、1時間程度の使用では温度は定常状態になっているようには見えましたが。
発熱は、入出力電圧差に比例しますので、3Vを超える範囲でできるだけ小さい方がいいわけですが、3V以下ではどうなるか試験してみました。
ヒータートランスのAC入力をトランスの100V入力端子に加え、他の条件同一で測定したところ、1A負荷時の電圧差は2.3Vくらいに減りましたがレギュレーションはできているように見えます。(負荷電流の0.5A変動に対して、電圧変化は0.06V)
このヒータートランスは前段真空管12AX7(または12AT7)2本のヒーターも賄うので各巻線AC0.3Aの電流増加になります。大雑把にいうとトランス全体の負荷が3割増しになるので、100V端子を利用するとLM338Tの入出力電圧差は2.3Vをさらに下回ることになりそうです。
それやこれやありますので、アンプ組み込み時にはまた検討することにします。
アメーバのおみくじを引いたらこれが出ました。
いつもと違う道を使えというご託宣ですが、
実行できるかどうか















































