昨夜たまたまテレビを見ていたら、最近は子供たちへの影響を考えて、童話の名作のエンディングが大きく変更されているということを伝えていました。
確かに桃太郎は鬼を退治せずに大声でびっくりさせて鬼が降参するとか(←いやいや、さすがに子供でもそれでは対処として弱いって分かるだろうと思うわ)、猿かに合戦も合戦というタイトルすら変えられて、最後は反省して、仲良くご飯を食べるとのこと(←ちょいと前のインド映画じゃあるましし、最後に悪役がニコニコしながら一緒に踊ることにも近いような~)
それを見て、思い出した小説がありました
今回ご紹介するのは、日本に生まれ育った人たちならほぼあらすじも教訓も分かっているにほん昔話をシュールにいじった作品です。
たまたまよくお邪魔するブロガーさんがさらっと触れていらしゃって、まずタイトルのネーミングが面白そうと手に取ったの。
また表紙のイラストが味わい深いですね
決して子供向けの綺麗で可愛らしくはないのが、見て取れます。
改めて読了後に装丁のイラストをみて、どの物語にも夢物語ではなく、現実生活での毒や悪意をも表現しているなって思いました。
作者は青柳碧人さん
むかしむかしあるところに死体がありました。
画像はお借りしました。
青柳作品の公式サイトもあります。
ご関心のある方は、こちらにどうぞ
青柳さんのこの昔話をアレンジした内容はシリーズ化されています。
調べていて分かったのは、青柳さんには『赤ずきん』シリーズもあり、そちらの1作は橋本環奈さんで映像化されているんですってね。
顔立ちもきれいな彼女だけど、青柳さんが想定する毒も良い感じで表現できそうですね。
設定は本当に手を加えていないんですよ。
だけれど、こういう展開の裏には誰も知らなかった背景があるというの着想の見事さですね。
どういう構成かは公式サイトから引用しますね。
【2020年 本屋大賞ノミネート作】
昔ばなし、な・の・に、新しい!鬼退治。桃太郎って……え、そうなの?大きくなあれ。一寸法師が……ヤバすぎる!ここ掘れワンワン。埋まっているのは……ええ!?
「浦島太郎」や「鶴の恩返し」といった皆さんご存じの《日本昔ばなし》を、密室やアリバイ、ダイイングメッセージといったミステリのテーマで読み解く全く新しいミステリ!
「一寸法師の不在証明」「花咲か死者伝言」「つるの倒叙がえし」「密室龍宮城」「絶海の鬼ヶ島」の全5編収録。
私が一番気に入ったのは最後の「絶海の鬼ヶ島」、桃太郎ね。
確かに決してオリジナルの設定は変更していないけれど、主人公は退治される側の鬼たちなのです。
鬼の集落とはいえ、人間社会のように色々とあり、桃太郎を始め、人間との接触を全くせず、自分たちで孤立して生活していたのに…。
ある日、喧嘩した二人の鬼たちが幽閉されたのね。そのうちの一人の鬼が殺されていた
犯人は誰だ?
もしや桃太郎が戻ってきたのか??
そして殺しはこの鬼だけでなく、もう一人、また一人と連続殺人に展開していきます。
生き残った鬼たちは犯人が自分たちの中にいるのか?姿は見えないけれど桃太郎なのか?と追い込まれながらも犯人を捜し続け、そして最後の衝撃シーン
一連の事件と、そして犯人側の心理を追っていくストーリー展開は見事です。
説得力もあり、それ故、本当に切なかった
発想の転換という意味でも、子供のころから馴染みの童話を違うアプローチで楽しむのもお勧めです。
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