サンドアート集団SILT船本恵太のアメブロ -134ページ目

『夏の昼下がり』ポエトリーリーディング

 

 

 

『スマホの充電池を気にして生きるなんてね』 ポエトリーリーディング

 

 

 

「東京に暮らす二人」 ポエトリーリーディング

 

 

 

「東京に暮らす二人」 

作詩・朗読/船本恵太

2019.08.03

 

 

雨の音で目が覚めた

 

真っ白で柔らかなベッドから顔を出し

 

ゆっくりとメガネに手を伸ばす

 

裸の上半身をおこして

 

黒髪の青年は窓の外に目をやった

 

鉛色の空の向こうに

 

新宿の高層ビル群が霞んでそびえ建つ

 

梅雨、まだあけてなかったっけ?

 

あっ、と思い出し

 

そっと上体を反らすと

 

色白で少し年上の女性が

 

同じベッドの中で眠っていた

 

耳をすますと

 

雨の音に混じって

 

寝息が聴こえる

 

長い黒髪がその白い肌にまとわりついている様を

 

青年はジッと長い時間眺めた後に

 

壁にかかった時計に視線だけを動かし

 

もうお昼に差し掛かっていることを確かめた

 

どうせ遅刻なら

 

のんびり行こうと決めた彼は

 

彼女を本当にゆっくりと抱きしめて

 

その頭に顔を押し当てながら

 

おもいきり息を吸って

 

彼女の存在を確かめた

 

小さな寝息の音が止まったの気がつき

 

頭に顔を押し当てたまま声をかける

 

ごめん、起こしちゃった?

 

ううん、おはよう。行かなくていいの?

 

返事をするかわりにキスをして答え

 

彼女の口を塞ぐ

 

雨の音だけが

 

部屋の中の時を

 

淡々と刻んでいく中

 

一羽のカラスが窓の外をよぎり

 

その影が白いベッドの上をかすめた

 

長いキスは終わることなく続く

 

東京に生きる

 

二人の人生の中の

 

1ページの物語

 

 

 

 

 

続編

 

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「パリ近郊の家族」ポエトリーリーディング

 

 

目が覚めてベッドから跳ね起き

5秒で着替えて靴を履く

白いレースのカーテン越しに射す陽光が

少年の栗色の癖毛を光らせている

起きたばかりとは思えない速さで階段を降りる

ママおはよう

おはよう私の可愛い坊や

両頬にキスを交わし

軽く髪を撫で寝癖を整えようとしたが

 

この子の癖毛では

ラチがあかないから諦め

エプロンのポケットから

コインを数枚取り出し手渡した

行ってきます!

行ってらっしゃい。車に気をつけて

と言い終わる前にバタンとドアは閉じられていた

石畳を駆け

朝日を浴びたこの町の空気を吸い込んでゆく

手にコインを握りしめて

 

パン屋の前にくる50mくらい前から

いい香りが漂ってきてので

足の速度を速めた

いつも通りもう長い列が出来ていて

木のカゴを持った近所の老婆に朝の挨拶をする

ちょうどその時

町の教会の鐘の音が遠くから聞こえた

いつもより少しはやくパン屋に到着できた合図

少年は少し飛び跳ねた

 

おはよう

おはよう。バゲットを一つ

ありがとう。またね。

またね。

買い物を終えると再び少年は走り出した

紙袋に包まれたバゲットを片手に

家の近くに見慣れない黄色いシトロエンが止まっていたので歩みを遅め

眺めながらバゲットをかじった

家に戻ると

木製の丸い食卓の上に

 

ナイフと小さなスプーンが置かれ

グラスには水が注がれた

どれくらい食べる?

バゲットを指差すと

ママがその位置までの長さでカットしてくれた

ナイフでバターを塗り口に頬張りながら

おばあちゃんの手作りのアンズジャムの蓋を開けようとしたけど

今日も開けられなくてママが開けた

 

瓶から二杯目の水を注ぎながら

ママ、リンゴ食べてもいい?

もちろんよ

木の籠の中には

洋ナシと青リンゴとバナナが入っていた

青リンゴをかじりながら

コーヒーを淹れに台所へゆく

それも少年の役割だった

チョコ食べる?

ママはまるで一緒に悪さしようという笑顔で見つめた

 

笑顔で見つめ返し

コーヒーのいい香りが部屋中に立ちこめた

いつもと変わらない

パリ近郊の家族の

人生の中の

一ページの物語

「夏を飾れば」 ポエトリーリーディング

 

 

 

 

「汚れてもいい feat. 中原中也」ポエトリーリーディング

 

 

 

「花火」ポエトリーリーディング

 

 

 

写真作品公開 モデル/MIYU

久しぶりの女性モデルを起用した写真作品公開です^ ^

 

モデル/MIYU

写真/船本恵太

 

 

「窓辺で」

 

 

「光と影」

 

 

「移りゆく時の流れに」

 

 

「ポートレート」

 

 

 

 

今回は、 

 

MIYUさんにモデルになっていただき、

 

 写真作品を作りました。

 

 MIYUさん、ありがとうございました^ ^

 

 

船本恵太は21歳の頃に、 父の形見としてニコンF601を手にしてから、 写真を撮るようになり、 2001年に、 アートギャラリー「せらーる」で初個展。

 

 

20代のグラフィックデザイナー時代には、 CDジャケットデザインと共にアーティストのジャケ写も撮影する仕事も行なっていました。

 

 

その後、 女性モデルを起用した フェティッシュなアート写真を中心に 活動を継続しております。

 

 

 

二の腕のクロースアップに 噛み跡を残すシリーズとか 血塗れになった死体に扮した女性のシリーズとか かなりフェティッシュな作品もあります。

 

 

 

好きなもののリクエストを聞いて、 そのものに「埋もれる」シリーズもありました。 

 

実写映画も作っています。

 

 これまでに数多くの女性にモデルになっていただいており、随時モデルを募集しております。

 

 性別、年齢、国籍を問いません。

 

 どうぞよろしくお願いいたします。

「アーミッシュ」ポエトリーリーディング

「アーミッシュ」

作詩・朗読・写真/船本恵太

 

 

遠雷が聞こえる

 

ざわめく心をよそに

 

勢いよく手を引かれ

 

身体を手繰り寄せられた

 

そのしわがれた大きな手は

 

赤らんでいて

 

太い脈は

 

この老人の

 

まだ力強い生気を感じさせている

 

 

すぐに夕立ちが来るぞ

 

 

老人の少し臭い口に

 

私は息きを止めた

 

山間の向こうを見つめる瞳に

 

横たわる厚い雲のシルエットが

 

くっきりと映っている

 

老人は何でも知っているんだと確信し

 

古いズボンの布をギュッと握り

 

皺くちゃの服に顔を埋めた

 

冷たい空気が足元からスカートの中に流れこんできたので

 

私はその汚れた素足を閉じた

 

 

家の中に入ろう

 

 

と老人が言い終わる前に

 

老人の腕をするりと抜けて

 

私は家の中へと駆け出した

 

そのまだ小さい身体は

 

ほとんど音もない軽いステップで

 

木の板に足跡だけを残していく

 

ゆっくりと跡を追う老人のカンカン帽に

 

トンボが止まった

 

老人の素足の足跡の大きさと

 

この少女の小さな足跡が

 

仲良く並んでいる光景を

 

夕立ちが掻き消していったのは

 

老人が家のドアを閉めた瞬間だった

 

大きなカンカン帽と

 

小さなカンカン帽が

 

仲良く並んで

 

ヒビの入った壁にかかっている

 

アーミッシュの家族の

 

小さな人生の

 

一ページの物語

「夏の夜空の向こうに」ポエトリーリーディング