『欧米の自然療法』
日本では、「自然療法」という言葉を口にすると、「非科学的」といった響きがあり、現代医学の医師たちからは副通される傾向があります。しかし欧米では、Natural Therapy(自然療法)という言葉は、確固とした市民権を得ています。
🔶ドイツ・ミュンヘン市民病院の「自然療法科」。オステルマイヤー博士は、いろいろな症例を交えながら「ここでは、診断は西洋医学で行ない、急性疾患には西洋医学を用いることもあるが、慢性疾患には自然療法を行なっている」と説明してくれました。この自然療法の根本理念は、やはり、医学の祖といわれる古代ギリシアのヒポクラテスから来ているといいます。
●ヒルによる吸血…ヒポクラテスは、ヒルによる吸血(浄血)療法を行なったとされていますが、現代のドイツでも、年間50万匹のヒルが、治療用に使われています。ヒルが人体の汚れた血液を吸い取り、また、ヒルの体液が人体に入ることによって血液の循環がよくなり、乳腺炎、関節炎、静脈炎などの炎症性疾患に、さらに、頭痛や術後の回復にも。
●スペインバエの幼虫による療法…免疫増強、痛みの除去。
●吸い玉療法…昔から東西を問わず行なわれていた自然治癒力をあげる民間療法で、ヒポクラテスも愛用者だった。
●黒茶子療法(湿布).....腫れもの、喘息の治療に用いる。
●水療法…膝から下を8°の冷たい水で冷やすと血管が収縮し、その後、弛して血行がよくなり、内臓諸器官に好影響を与える。
●温水療法......36とから40°に徐々に上昇する温水で両手を洗うと、心臓の血管に好影響を与え、狭心症の痛みを除去する。
●発熱療法....人浴で体温を39~40℃に上昇させる。または、体をアルミホイルのようなもので包み、赤外線で温めて体温を40℃くらいに上昇させる。体温が上昇すると新陳代謝がよくなり、副腎皮質からのコーチゾール(ホルモン)の分泌が盛んになって免疫力が増す。ガン、アレルギー、リウマチ、炎症性疾患、喘息の治療に用いる。
また、ここでは、50~60種類のハーブも用いられていました。たとえば、コンフリー(呼吸器の炎症、アレルギーの治療に)、ヤドリギ(ガンの補助療法に。患者のQuality of Life=生活の質=が向上する)、ヨハネス・クラウドの花(鬱病に)、イチョウの葉(脳の血行の改善に)、カモマイル(胃腸病、傷、感染症に)
🔶世界中からガン患者が集まる病院
メキシコにあるゲルソン病院も、ガンの自然療法を行なうことで有名です。アメリカやヨーロッパ、アジアなど全世界から、患者が集まってきています。
1日3回の患者の食事は、野菜と果物が主食で、ほかに黒パンのガーリック・トーストが少々出る程度。1時間ごとに12時間にわたり、1日計13カップのニンジンジュースの飲用と、大腸をきれいにするための1日数回の浣腸がメイン・セラピーです。
「ガンの要因は、要約すればビタミン・ミネラル・酵素などの微量栄養素の不足と、血液中の毒の二つです。毒をつくる要因は、精白食、肉食、精製塩などです。人間は本来、肉食をする動物ではありません。それに、白いパン、スパゲティ、白砂糖などの精白した食物は、体内の微量栄養素を奪って、その欠乏を招来し、血液中に毒をつくります。それに引き替え、野菜と果物のジュースは、微量栄養素を体に供給し、血液中の毒を取り除き、血液を浄化する最良の薬なのです」
🔸スイスのビルヒャー・ベンナー病院は、世界中から集まってくる難病の患者を食事療法で治していました。しかも、その食卓には、病院設立以来、肉類、鶏卵、牛乳、バター、マヨネーズなどは一度も出たことがありません。
ジャガイモ、モヤシなどの野菜、果物、ナッツ、黒パン、漬け物が治療食で、動物性食品は、胚芽と果物と一緒にミキサーでドロドロに混ぜたヨーグルトだけ。
そして、ニンジンとリンゴの生ジュースを、毎朝飲ませることをメイン・セラピーとしている。ニンジンとリンゴの生ジュースには、人間の体に必要なビタミン、ミネラルがすべて含まれていること、また、血液中のリンパ球の機能を活性化させ、免疫力を高める作用があるということがその理由でしたが、同時に、当病院の食事療法が、Raw Food(生の食物)を摂取することを理念としていました。
このことは、東大医学部の名誉教授だった故・二木謙三博士の「生命なき食物は生命の糧とならず」という言葉を想起させます。博士は、玄米と野菜と魚少々の食事で、94歳の生命を全うされました。
以前の日本はこれらのことを誰も信じてくれませんでした。いまでこそ、「ガン治療の代替療法」という言葉も認知されていますが、現在は、西洋医学を極めた欧米の国々でも、西洋医学の限界に気付き、診断学的にはともかく、治療法としては、確実に自然療法志向に変わりつつあるのは間違いありません。
現代医学の殿堂ともいうべきアメリカ・ハーバード大学医学部は、2001年、「代替医療プログラム」、すなわち現代医学に代わる治療計画をスタートさせました。鍼灸、マッサージ、漢方薬、薬草などによる東洋医学的治療法に取り組むことを決定したのです。
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