今となっては、だいたいどうやって待ち合わせの
連絡をしたのか、それすら奇跡に思えてくる。
僕が学生のころには、下宿に電話のあるほうが
少数派だったのだから。悪名高い電話債券を
買ってまで電話をひこうという学生は少なかった。
京阪三条の駅で待ち合わせたことがある。当時
北口と南口と二つ出口があった。僕は南口で
待っていた。彼女は北口で待っていた。
今なら「何してるねん。こっち。こっち」と
言えるのだが、当時はこういう状況になると
もう絶望的である。
30分ほど待ったが来ないので、これはひょっとして
北口で待っているのかなと、さすがにうつけものの
僕も気がついた。
ついでに彼女の下宿に寄って行こうと、南口から
東にまわって彼女の下宿を訪ねるともう出かけたと
いうことだった。
やっぱり間違っていたんだと急いで北口に行ったんだが
彼女も今度は同じ発想で南口に来ていたので
会えないということがあった。
大体デートにこぎつけるまでもが大変なことだった。
電話にはむこうの親父が出る、お袋が出る、今のように
ダイレクトに誘えるなんてことはまずない。たぶん
団塊の世代はそんな苦労を乗り越えてデートを
してきているはずだ。