1・ほぼ10年熱烈恋愛をして、ホテルで
盛大に披露宴をして、2ヶ月で別れた
先輩がいた。
ご馳走するから来い、というので同輩数人で
マンションを訪ねた。後に食べ物屋をした人で
手料理はお手の物。串カツ、酢の物、サラダなど
男ではなかなかできないものもどんどん出てきて
満腹になった。

そのあと、裏ビデオを見るという。別に見たくも
なかったが先輩の言うことだしおとなしく鑑賞した。
当然、かなりきわどいシーンの連続で、女性が
男性に奉仕する場面も出てくる。そのたびに先輩が
叫ぶのである。
「ほら。見てみろ。女はこんなこともするのや。
こんなことも平気でするんや。汚いわ。不潔や。」
だから女は良いのでは・・・と言いたかったが
やめておいた。何故裏ビデオ鑑賞会をしようと
したのかは不明のままであった。


2・焼肉食べ放題の宴会で、前にも横にも
酒癖の悪い部下が席を占め、隣は壁という
緊迫した状況で酒を飲んでいた。
前の席の部下が、皿に山盛りのホルモンを
載せて席に戻り焼きだした。あまり好きでは
ないのだが、好きな人もいるのはわかるし
一生懸命焼くのを手伝った。隣の部下も
一生懸命に手伝っている。やがて、こんがりと
美味しそうに焼きあがった。
「焼けたよ。どうぞ」二人して前の人に勧めた。
そのとき信じられない言葉が。
「俺、ホルモン嫌いやねん。」
クレイジーキャッツならここで、はらほろひれはれ
と出てくるし、吉本なら一斉に倒れるところだ。
僕は顔がひきつるのを抑えながら内心で
「嫌いならなんで山盛り持って来るねん」と毒づいた。

3・三橋美智也の「星屑の町」の歌詞を書いた人

両手を 回して 帰ろう 揺れながら

わからん。何百篇考えても。高校のときラジオで
大論争になったが、結論は出なかった。両手を
回す・・・?ゆれながら???どんな状況やねん。

若さの特権の一つは、権力にこびないで
済むということだと思う。だいたい首に
なることなんか恐くもなんとも無いのだから
考えようによっては性質が悪い。今のように
景気が悪いとそうもいかないのだろうが。

レコード会社は、一日中新譜を聞いている
会議があった。月に2回ほどだが。
本社から常務が新人歌手を連れて挨拶に来る
ということになると、家庭もちは言いたいことも
言えないような雰囲気になるのは、自分でも
家庭を持ったあとは理解出来た。どうしても
切っ先が鈍るものなのだ。

「・・という歌ですが、どうですか?
売れそうですか。ひでまつ君」
「はい。売れ・・・ないと思います。」
次長はすでに顔が青ざめている。
「メロディはありきたり。歌詞もつまらないし、
歌も下手。こんなもの最初から5万枚も
作るなんて自殺行為ですよ。」もう好き放題である。

隣の若い同僚も黙ってはいない。
「わが社の自慢のドルビーシステムですが・・」
「あ、それむちゃくちゃ評判悪いです。音が
籠もるからって」
「そんなわけないでしょ。わが社の自慢の・・」
「自慢もくそも。本当に自分で聞いて言ってるんですか」
こちらも好き放題に近い。

あとで次長に呼び出しをくらう。
「あのなあ。ひでまつ。いくら言いたいことを言えと
いっても常務がおるんやぞ。少しは遠慮を」
「それじゃ次長はあのくだらない歌が売れると
思うんですか?」
「う。それはやな。あんな変な歌売れるか。あっはっは」
僕は次長好きでしたねえ。

プロポーズのあとには、先方の親に、結婚の

許諾を求めに行くという習慣は今でも

あるんだろうと思っている。僕自身の

経験を今でも克明に覚えているところと

見ると、緊張もしたのだろうし、後で

義父になる人の言う事も一言一句真面目に

聞いたんだと思う。



「歌えロレッタ愛のために」という映画の

中で、親の許可を求める場面がおかしかった。

これはカントリーの女王ロレッタ・リンの

伝記映画であるが、嫌味の無い良い映画だった。

ロレッタはまだ14歳だったので、両親は

内心では反対している。しかし男が訪ねてくると

ちゃんと二人だけにしてあげる配慮をするのが

いかにもアメリカらしいと感心する。炭鉱夫の

家で部屋に余裕などないのだが。



父親に許諾を求めると「母親に聞いてくれ」と

逃げる。母親に聞くと「お父さんに聞け」と逃げる。

切羽詰るが、ロレッタが二人そろっているときに

聞けば良いというので、夫婦がベッドに入っている

時間を見計らって許諾を求めにくるのだ。



仕方ないので父は2つの条件をつけて許諾する。

「絶対に殴るな。そして遠くに娘を連れて行くな。」

しかし、最初の約束は新婚初夜に早くも破られ、

二つ目の約束はやがてロレッタは全国的な

人気者になるのでこれも破られた。それでも娘を

送り出す父親の気持ちがよくわかる、印象的な

シーンだった。