大河ドラマ『光る君へ』“勝手に解説”~第十三回(1)ー③受領の出世と功過定 | 愛しさのつれづれで。〜アリスターchのブログ

大河ドラマ『光る君へ』に関して、勝手に、私感含めて書いております。ネタバレは~という方はご注意ください。

読み進む前に「はじめに」をご覧いただければ幸いです。


 


③受領の出世と功過定

一通りの儀式を終えた新任の国司の任国での主な仕事は、前任者とのすり合わせです。この時前任者はいないので、その意向を受けた目代(次官)との間で行われます。

国の官物を引き渡し、新任国司がこれを受け取る手続きを行います。(これを「受領」といい、ここから国司を受領と呼ぶことになります)この手続きだけに長くて80日を要しました。

それが終わると帳簿上の数字と引き継いだ官物とのズレはないかのチェックメモズレがあれば前職から説明を受けます。これは大体20日くらいかかったといいます。その後には文書作成と捺印にまた20日と、大体100~120日を目安に引き継ぎが行われました。

新任国司は運用に問題があればそれを指摘する書類を作成し鉛筆ようやく国務に専念することができます。指摘された前任者は、自分の責任で補填を行うなどして監査を受けることになります。

また中央に収める諸帳簿の監査が主計寮や主税寮の官吏によって行われ、その結果を記した文書が作成されます。※ただし平安後期になるとこの監査も有名無実化していきます。


こうした財政に関する文書がなぜ必要かと言うと、四年の任期を終えると受領功過定という受領の成績判定会議が陣定で行われるからです。藤原公任は自らが編集した儀式書『北山抄』の中で、功過定について朝の要事(重要な事柄)だと頼忠から伝えられたとしています。

この功過定をパス手すると位階が一つ進められるので、とても重要です。有能と認められればまた国司に任じられることもありますが、多くは一生に一度の受領就任でした。

陣定は普通全員一致の結論でなくても構いませんが、この功過定だけは問題がある(過)のか無いのか(無過)を全員が同じになるまで審議が重ねられました。なので、一人が意見を譲らなかったり、紛糾して何年にも及ぶこともありました。


こういうのって、今も昔も変わらないものなんですね(´-ω-`)


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