大河ドラマ『光る君へ』“勝手に解説”~第十三回(1)-②国司決定後の流れ | 愛しさのつれづれで。〜アリスターchのブログ

大河ドラマ『光る君へ』に関して、勝手に、私感含めて書いております。ネタバレは~という方はご注意ください。

読み進む前に「はじめに」をご覧いただければ幸いです。



 

②国司決定後の流れ

国司就任が決まるとさっそく荷造りして赴任地へ・・・とはなりません口笛

その前にいろいろとやることが待ち構えています。

まずは赴任にあたって「罷申」(まかりもうし)という天皇への挨拶を行う儀式があります。

天皇の御前に上がって禄(俸給)を賜り、

「増し爵(こうぶり、爵位・恩賞のこと)給らむ」気づき

という仰せ詞をかけられます。任国の状況についての簡単な説明が行われることもあります。これは「天皇の言葉を受けて地方の統治を行う」という、古代日本独特の姿を表していると言えます。蔵人に関する儀式書『侍中群要』には、天皇から贈られる「禄」は、

二重丸四位には紅染めの袿(うちき、宮中の女性に用いられた袖の広い衣で男性が中着として使うこともある)一領、

二重丸五位にはくちなし染めの衾ふとん1(ふすま、長方形の一枚の布地で現在の掛け布団のように就寝時に体にかけて使う)一条、

二重丸陸奥守には天皇自身の服「御衣」(おんぞ)

と決められていました。袿や衾は衣服やふとんに含まれる天皇の霊魂の分与を意味し、特に御衣は天皇の分身を表すものでした。

※領=一そろいの衣類を数える時に使う単位

※条=細長いものを数えるときに使う単位

 

天皇に対しての「罷申」が終わると、摂関や大臣、公卿にも罷申を行います。このときに餞別として馬馬や高価な衣服などをもらったりもしました。親戚やお世話になった人なども含めた挨拶回りが終わると、吉日を選んでようやく任国へ旅立ちです。

新幹線新幹線も飛行機飛行機もない、現代とは交通環境が異なる中、馬や輿などを従えて赴任地へと向かいます。国境を超える辺りでは「境迎」(さかいむかえ)という入国の儀式が行われます。この境迎は国ごとにやり方に違いがあって、一連について詳細な記録を残した藤原師通の家司・平時範の日記『時範記』には「その国ごとの習慣に従うように」と記されています。国庁・国府に着くと束帯に改めて政始の儀を行います。文書発給の印を捺し、正倉(蔵)の鍵が国司の前に置かれて正倉の管理者として迎えられます。その夜からは宴会日本酒が始まります。この宴会は、新任の国司をもてなす儀礼として三晩!続くのが慣例でした。これが終わると、国内の諸社への神拝神社が行われます。神拝は任国支配の正当性を示すために必要な儀式とされました。一通り終えるとようやく実務が始まります。

 

右矢印(1)ー③に続きますニコニコ