大河ドラマ『光る君へ』“勝手に解説” 〜第十一回(3)ー②『古事談』の説話 | 愛しさのつれづれで。〜アリスターchのブログ

大河ドラマ『光る君へ』に関して、勝手に、私感含めて書いております。ネタバレは~という方はご注意ください。

読み進む前に「はじめに」をご覧いただければ幸いです。



※ネタバレ注意※
第十八回以降のお話しも含みます

②『古事談』の説話

ちなみに『古事談』には行成が藤原実方と口論になった時の逸話が載っています。

二人は殿上の間で口論となりおーっ!怒った実方は行成の冠をつかんで庭に投げ捨て去ってしまう。行成の方はというと、主殿司(後宮の清掃などを掌る役所、またはそれに従事する女官)に冠を拾わせ、これをかぶり直して落ち着いた様子で立ち去ったニコこれを殿上の間と御座所の仕切りの壁の小窓から見ていた一条天皇は、実方は有名な歌人なのに乱暴な行いをすると激怒しイラッ長徳元年正月の除目で陸奥国守へと替えられた。一方、行成の行いには見どころがあると感心し、これがのちに蔵人頭抜擢に繋がったー


実方が陸奥国守に任じられ、そこまでの成果を上げられないまま任地で急逝したのは事実ですが、行成自身が書いた日記、通称『権記』には、任地に赴く実方に対して特別の言葉を贈って正四位下に昇進させたことが記されており、左遷とはいえないものだったと推測されます。また当時不穏な情勢だった東北に、武官を歴任した実方を置いたとの見方も考えられています。京から離れた土地に行かされて馬そこで亡くなってしまうのを憐れむ風潮がこうしたエピソードを作り上げたのではないか、という視点は押さえておきたいところです手