大河ドラマ『光る君へ』“勝手に解説”~第十二回(2)ー②宋人70余人の来着 | 愛しさのつれづれで。〜アリスターchのブログ

大河ドラマ『光る君へ』に関して、勝手に、私感含めて書いております。ネタバレは~という方はご注意ください。

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②宋人70余名の来着

ドラマチックなお話として有名な「為時の任越前守」ですが、実際の交代劇については、『小右記』と『権記』に記された前年九月に若狭に宋の商人を中心とする人々(70余名!)が来着船したことが影響したのではとも言われています。当時の日本では、北陸方面にやって来た(または流れ着いた)人々を一旦大国の越前まで送ることになっていましたから、交渉を任せる越前国には外国の文化に通じた人の方が良いという判断もあったのかもしれません。ドラマ内では天皇や公卿たちが為時についてあまり理解がなかったとされていますが、当時の文化をリードする具平親王のサロンに出入りするなど、高位でもないし文章博士でもなかったけれども漢籍に詳しい人物として知られていました。宋の人々と自国の高い学識を持つ人を交流させてみたい、と考える一条天皇の希望も含まれていたとも考えられています。


任地を交代させられた国盛の話も衝撃的ですが、これも行成の蔵人頭任命の時のように、今まで順調だったように見える人が突然地方に飛ばされたことを聞いた人が憐れんで書いたのかもしれません。遠くの赴任地で亡くなれば更に酷いことと思いますが、当時の交通手段や衛生状況を考えると無理もない気もします。それに意外かもしれませんがこのころの人事は、どの役割や仕事、地方に誰が強いかを重視しています。しかしそうした内実を一般が知ることはなかなか難しいものがありますし、時代が下るにつれて人事に関して融通する政治家が続出したこともあってか、劇的な話が残りやすかったのかもしれません。


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