35冊目。

効率が10倍アップする新・知的生産術 勝間和代 ダイヤモンド社

さすがにあれだけ書店での露出が高いと一冊は読まないとマズイかな、と。
徹底した効率化・能率化についての本。
著者がマッキンゼーや外資系金融で働いていた時からブラッシュアップされ続けている、情報のインプット/アウトプットについてのテクニック論は確かにすごい。が、何よりすごいのは彼女の自己抑制力。

毎日3~5冊の本を読み、書籍代が月に15万。
そんな著者の、5000円までの本は迷わずに買う。2000円以上の本には有益な情報が多い。という主張には妙に納得。だいたい1500円ぐらいまでの本ばっかり読んでる自分に反省。

が、本書を読んでるとこの人は仕事楽しんでるのかな?という疑問が・・・。



効率が10倍アップする新・知的生産術―自分をグーグル化する方法/勝間 和代

¥1,575
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34冊目。

起業家2.0 佐々木俊尚 小学館

エニグモ、mixi、アブラハム・グループ・ホールディングス、ゼロスタートコミュニケーションズ、チームラボ、ルーク19、paperboy&co.、フォートラベル、そして、はてな。
2.0世代のトップランナー9社の起業ストーリーが、著者ならではの愛情に満ちた眼差しと素直な文章で、綴られる。

インターネットベンチャー第3世代と言われる今30歳前後の創業者たちの起業スタイルは、どこかおだやかで驚くほど純粋で、そして力強い。草原の遠くまで見渡せる目を持った背の高い草食動物のイメージ。

象徴的なエピソード。
チームラボの創業メンバーがスタートアップ直後に仕送りや奨学金で食いつないでいたとき、
「誰かが、『おい、炊きたてのご飯は、古いご飯のおかずになるぞ』というすごい発見をした(笑)」
そこには、ペシミスティックな意識や一世代前の悲壮感漂う汗と涙と根性の起業物語は存在しない。
この世代の代表格、はてな・近藤淳也氏のちょっと違う次元から降りてくる様な透徹な思想や言葉の数々に代表されるように、彼らはとても軽やかに企業経営をする。

今年読んだ本の中で最も衝撃的だった「ウェブ国産力」の著者でもある佐々木氏の著作を、近々集中的に読んでみようと思う。本書を紹介してくれた後輩氏に、感謝。


起業家2.0―次世代ベンチャー9組の物語/佐々木 俊尚

¥1,365
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33冊目。

チャーチル 河合秀和 中公新書

ウィンストン・チャーチル伝。
彼の生い立ちから90歳の生涯を閉じるまでを緻密で冷徹なまでに制御された文体で綴る本書。
ドラマティックに装飾された人生物語を期待すると肩透かしだが、一面的な知識しかなかった1900年代前半の世界のフレームの変化を知るにはうってつけの一冊。

日本の義務教育に登場するチャーチルは、第二次大戦でヒトラーとの激戦を戦い抜き、今のヨーロッパ社会の枠組みを作った、不屈の「ヨーロッパを救った」政治家。
一方、本書の約8割を割くイギリス首相になるまでの彼は(実に、全9章のうちの第8章までが首相になるまでの半生を描いている)、どこまでも人間臭く自身の欲求に忠実な政治家であったことがわかる。
幾度もの選挙での失敗、政党を渡り歩く政治思想の変遷・・・。
皮肉なことに戦争が彼を首相にし、戦争が彼を一流の政治家に変えた。
結局、彼が政治家として幸せな人だったのかどうかはわからないままの奇妙な読後感。

チャーチル―イギリス現代史を転換させた一人の政治家 (中公新書)/河合 秀和

¥987
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32冊目。

サービスの「正体」 小山薫堂監修 すばる舎リンケージ

外資系ホテルを取り上げたこのての本は何冊か読んだが、書かれてる内容はあまり変わらないというのが正直な感想。内容の良し悪しはさておき。
本書はホテル好きが高じて日光金谷ホテルのアドバイザーも務める小山薫堂の監修本。
氏の一年半にわたるホテルニューオータニ滞在経験(!)に基づいたカスタマーサービスの本質論が、
ニューオータニのホテルマンの魅力的なエピソードとともに語られる。

歩くスピードまで(階段の昇降スピードまでも)徹底した訓練を受け、客室清掃では使いかけの石鹸を「磨く」。
庭園内の池に棲む鯉に毎日語りかけながら世話をするスタッフから、黙々と客室の調度品を修繕するスタッフまで。
紹介されるエピソードのひとつひとつに感動的な物語性が存在する。

少し大袈裟だけれども、日本人であることの誇りを確認できる一冊。
全ページ、美しく正しい日本語で書かれた文章の質も魅力的。
ちなみに、本書には「ホスピタリティ」という単語は一度も出てこない。


サービスの「正体」―ホテルニューオータニのマニュアルが薄い理由

¥1,575
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31冊目。

宿澤広朗 運を支配した男 加藤仁 講談社

本書冒頭の記述ー。
2006年6月に執り行われた宿澤広朗の通夜には2000人、告別式には4000人の参列があった。
肩書は三井住友銀行の専務執行役員。
大銀行の専務と言えど、この弔問客は桁外れなのだろう(恐らく)。

早稲田ラグビー部のスター選手として活躍、社会人チームも破り二年連続日本一に。
当時ラグビー部のなかった住友銀行入行後も、通常勤務の傍ら日本代表に選出され海外遠征でも活躍。
現役選手引退後、イギリスで「全線全勝のディーラー」として実績を残し、帰国後も次々と要職についていく。各行が不良債権処理に喘ぐ90年代半ば、一時は三井住友銀行の収益の三分の一を宿澤の営業部隊が稼ぎ出していたという。
信じられないのは、このような激務のなかでラグビー日本代表監督、日本ラグビーフットボール協会の強化委員長等の職にもついて実績を残していたこと。
協会から離れた後も、松下電器の巨額の不良債権処理を捌き、近い将来の頭取候補としてどんどん名声は高まっていく。

その矢先の突然の逝去(享年55歳)。

「いつも全力疾走をしていなければ、失速しそうな気がする」というのが彼の口癖だったという。

銀行の仕事やラグビーに関しての知識が深い人が読むと、僕の何倍もの感銘を受けるのだろう、きっと。
そんな思いを差し引いても、感動的な一冊。

宿澤広朗 運を支配した男/加藤 仁

¥1,680
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