33冊目。

チャーチル 河合秀和 中公新書

ウィンストン・チャーチル伝。
彼の生い立ちから90歳の生涯を閉じるまでを緻密で冷徹なまでに制御された文体で綴る本書。
ドラマティックに装飾された人生物語を期待すると肩透かしだが、一面的な知識しかなかった1900年代前半の世界のフレームの変化を知るにはうってつけの一冊。

日本の義務教育に登場するチャーチルは、第二次大戦でヒトラーとの激戦を戦い抜き、今のヨーロッパ社会の枠組みを作った、不屈の「ヨーロッパを救った」政治家。
一方、本書の約8割を割くイギリス首相になるまでの彼は(実に、全9章のうちの第8章までが首相になるまでの半生を描いている)、どこまでも人間臭く自身の欲求に忠実な政治家であったことがわかる。
幾度もの選挙での失敗、政党を渡り歩く政治思想の変遷・・・。
皮肉なことに戦争が彼を首相にし、戦争が彼を一流の政治家に変えた。
結局、彼が政治家として幸せな人だったのかどうかはわからないままの奇妙な読後感。

チャーチル―イギリス現代史を転換させた一人の政治家 (中公新書)/河合 秀和

¥987
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