55冊目。

謎の会社、世界を変える。エニグモの挑戦 須田将啓・田中禎人 ミシマ社

「世界初のサービスを提供する」という高いハードルを自らのアイデンティティーとする、“第3世代”ウェブ企業の雄・エニグモ。
二人の共同経営者のリレーブログの様な体裁で、起業準備の頃から5つの「世界初」のサービスをリリースしヒットさせた今(執筆時点)までを綴る、設立4周年時点での“社史”。
その起業~成功の過程で語られる言葉や、放たれる熱、試行錯誤の数々に目新しいものはないかもしれない。
でも、楽天やサイバーエージェントに代表される“第2世代”企業のスタンスと明らかな相違点を感じるのは、「海外(アメリカ)から(アイデアを)持ってきて日本で広める」という思想ではなく、「世界初を日本から発信する」という志の種類の違い。
設立間もないベンチャーでありながら、この企業がどこか清々しく崇高な佇まいを醸し出しているのは、そこかも。


謎の会社、世界を変える。―エニグモの挑戦/須田 将啓

¥1,680
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54冊目。

気づいた人はうまくいく! 阪本啓一 日本経済新聞出版社

阪本啓一氏、少し久しぶりの新刊。ロサンゼルスを中心に配布されている日本語情報誌ライトハウスに、2004年から連載中のコラムを編集した構成。
「日常の小さな気付きがマーケティングセンスを鍛える」というコンセプトに基づいた、さらっと読めるけどなかなかに深い一冊。年間読書量400冊という読書家なのに、「現地現物現実主義」を貫く行動力。
やはりこの人は、信頼出来る。
例えば、多くのマーケターが小難しく語る、ナラティブマーケの本質を一言でついてみせる。
「カタチもあるものはカタチのないもので売る、カタチのないものはカタチのあるもので売る」

でも、ここのところの著作やメルマガ読んでると、最近、過去の遺産で飯食おうとしてないですか?と言いたくなる。2001年「スローなビジネスに帰れ」で、熱く鋭いけれどどこか爽やかに世の中に切り込んでいった「とんがり」感が少し薄れてるような・・・。

気づいた人はうまくいく!―ビジネス・チャンスの見つけ方57/阪本 啓一

¥1,500
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53冊目。

経営に終わりはない 藤沢武夫 文春文庫

天才を天才たらしめ続けるために、ホンダ経営のリアルな部分一切を取り仕切った経営者、藤沢武夫の回顧録。
藤沢に「お金のことは心配しないで何でも買っていいよ」と言われ、嬉々として次々に工作機械を買う本田宗一郎。
「私は本田宗一郎かぶれしているのです」と臆することなく語る藤沢と、その深い懐で遊び続ける本田。そんな奇跡的な、友情とも親子とも兄弟とも言える不思議な関係が多くのエピソードを交え語られる。

「まあまあだな」
「そう、まあまあさ」
「ここらでいいということにするか」
「そうしましょう」
25年二人で走り続けた経営者二人の、引退を確認しあった朴訥なこの会話が染み入る。


経営に終わりはない (文春文庫)/藤沢 武夫

¥460
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52冊目。

グラミンフォンという奇跡 ニコラス・P・サリバン 英知出版

ちょっと長いけど引用—。
「ジンバブエではコカコーラの販売業者がトラック運転手に輸送料金を支払ったり、消費者がガソリンスタンドやクリーニング店で代金を払ったりするときに、携帯電話でのテキスト送信で支払いができる。ルワンダでは、電気や電話回線のない地域の職人が携帯電話でクレジットカード決済を行う。フィリピンの人々も電話で石けんやピザを買う。フィリピンやインドでは村落に住む人々が電話で海外からの送金を受け取る。バングラディシュの銀行利用者は電話で自分の口座情報を確認する。」

国民一人当たりのGDPが約1ドルの世界最貧国のひとつバングラディシュに、携帯電話ビジネスを。
「つながることは生産性だ」というひらめきを信じてアメリカで成功街道を歩んでいた金融プロフェッショナルとしてのキャリアを捨て、故郷バングラディシュで携帯電話ビジネスを起業したイクバル・カディーア。
その独自のビジネスモデルで同国を成長軌道に乗せる大きな貢献をした情熱の起業家。
政府の腐敗との戦いや外資の投資を得るまでの5年あまりの企業ストーリーは、驚くほどの情熱と高い志に満ちたドラマティックさ。彼の功績は、上記の引用のように他の途上国にも野火のように広がっている。
カディーアは軌道にのった同社を去りハーバードの講師の職を経て、いま新たにエネルギービジネスをバングラディシュで起こそうとしている。
発展途上国を貧困から救うのは、腐敗の温床となるODAではなく働く機会の創出である、という強いメッセージを放つ一冊。

インドで電話ビジネスを大成功させたサム・ピトローダの言葉が象徴的。
「社会で最も平等なのは死で、その次がITだ」


グラミンフォンという奇跡 「つながり」から始まるグローバル経済の大転換 [DIPシリーズ]/ニコラス サリバン

¥1,995
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51冊目。

第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい マルコム・グラッドウェル 光文社

「人は無意識のうちに(理屈以前のひらめきで)素晴らしい判断を下す能力を持っている」
「直感的なひらめきは養うことが可能で、自由に操れるものだ」
これらの仮説の検証が、本書のテーマ。

(僕にとっては)歴史的名著、「ティッピングポイント」の著者マルコム・グラッドウェルの第二作。

心理学か社会学かはたまた生理学なのか、それともマーケティングなのか。
前作同様、読者のそんなカテゴライズ願望を笑い飛ばすような着眼点の機微と、充実した取材ソースをベースに軽やかに思索を展開する。
やや陳腐だけれども、知的好奇心を刺激されまくる読書体験。



第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい (翻訳)/M・グラッドウェル

¥1,575
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